しんじょう君と考えるファンの作り方。ゆるキャラに中の人はいる?

[元超公務員の地方元気塾]

高知県須崎市役所元気創造課で公式マスコットキャラクター「しんじょう君」とともに、須崎市のPR活動を行っている「超公務員」の守時健さんが、地方創生に役立つPR術など、ゆるーく紹介。第2回目は誰しもが気になるアノ事情についてお届けします。

しんじょう君
高知県須崎市ご当地キャラクターしんじょう君

ゆるキャラの中の人は毎回同じ人がいいのか否か

 皆様はゆるキャラとかご当地キャラの中の人が、いつも一緒の方がいいと思いますか?それとも場合によって違う方がいいと思いますか?

 同じ人だと、その人ばっかりしんどいし、同時に複数のイベント出られなくなりますよね。違う人だったら、動き方とかに統一性がなくなって困る…。難しい問題です。

 果たしてどちらがいいのか。まあ、運営元や自治体によって予算やイメージや戦略、それぞれ違うのでしょうけれど、ある程度どれにもあてはまる共通点ってあると思います。私の考えですが、(一応、ゆるキャラグランプリで優勝したことあるキャラクターを運営しているので、ある程度説得力あると思います)ゆるキャラの中の人は毎回同じ方がいいのか否か。

 答えは……

中の人なんていません。

 繰り返します

中の人なんていません。

 まあ、ときどき中に人が入ってらっしゃるゆるキャラさん達もいるにはいるらしいですが、私ももう大人なので私は見たことありません。

「え?ふざけてる?ふざけてるの?」って感じですが、ここ非常に重要なポイントで、皆さんも大人なので理解していただけると思って聞いて欲しいのですが

地域のファンを作る方法

バレンタインデー
バレンタインデーにたくさんのプレゼントを貰うしんじょう君

 観光でもグルメでも町おこしの最終目標は、ここで「その地域のファンを作ること」だと考えているんです。

 例えば、観光客さんが町のB級グルメを食べてそのままお帰りになるより、一歩進んでその地域のファンになってもらって観光や体験、色んな分野も楽しんで欲しいですよね。何かを触媒にして一過性であるより、長く好きになって欲しいですよね。

 あなたがもし、東京とか大阪とか沖縄とか京都とかで町おこしを頑張ってらっしゃるなら、過疎地でなんとか頑張っている私からしたら「もうファンだらけじゃん!町おこす必要ないじゃん!」って感じですけど(実際は、ほかの問題や新規開拓とかいろいろあるんでしょうけど)、そうでない場合。

 我々のように、相対的にあなたの街の地域資源が有名観光地に太刀打ちできない場合、B級グルメとかふるさと納税とかで何かを触媒に町にきてくれた方を自分の地域のファンになってもらうのに何が必要かというと、「覚えてもらう事」がポイントなのかなと思います。

 昔、テレビで偶然見て何だったか忘れたのですが「アイドルの握手会に毎回手袋していく」って方がいて、共演者に「え?握手なんだから素手の方がよくない?」って突っ込まれてその方、「目立って覚えられたかった」っておっしゃっているを見て、なんかこれが真理な気がするんですよね。

 大江健三郎さんの「燃え上がる緑の木」って小説で、重病の子供が主人公に「僕が怖いのは、自分が死んだ後でも、この世界で時間が続いていくことです。」って訴えるシーンがあるんですが、これフランスの哲学者レヴィナスの「イリヤへの恐怖」って考え方(まあ簡単にいうと、自分がいなくなっても普通に存在してる世界への恐怖って意味だと思います。多分。私レヴィナスを正確に理解しうる能力を持ち合わせてなかったようですので、次回の人生に期待)もそうですが、人間って結局誰かに覚えておいてもらいたい生き物だと思うんです。

twitterでお返事
遊びに来てくれてお手紙をくれた方にtwitterでお返事をするしんじょう君

 それで、しんじょう君、驚くほどファンの方々を覚えてるんですよね、twitterでした会話とか、いただいたお手紙とか。人気キャラクターさんみんなそうなんですけど、めっちゃ覚えてるんですよね。

 例えば、地元でしんじょう君が小さな町歩きとかすると普段はこんな感じで全然人いない商店街に

全然人いない商店街

 ありがたいことにこんなにたくさんの方々が遊びに来てくださいます。

町歩き

 そして、この方々のほとんどが県外からいらっしゃるんです。東京から高知県の須崎を往復って5万円とかかかるじゃないですか。そんで安くないお金と貴重な時間使って「会いにきたよー!」って、ゆるキャラちゃんと対面したときに「えっ今日いつもと雰囲気違う…。私のこと覚えてないの…。」ってなったら、ショックじゃないですか。がっかりじゃないですか。「好き」から「嫌い」になるくらいのインパクトじゃないですか。

 なので結論にまいりますが、ゆるキャラに中の人はいないんですが、もしですよ。もし、あなたが仮に中に人間がはいるタイプのキャラクターを作ろうとお考えなら、「ゆるキャラの中の人は毎回同じ方がいいのか否か」、どちらがいいかこれでお解りかと思います。

 でも、まぁそこも程度の問題なんですよね。覚えるのは大事だけど。どこまでやるかって。例えば、私ローリングストーンズとか大好きですけど、もしミックジャガーがなぜか私を覚えてて、ライブ中に「おう守時!元気してっか!?」って言ったら(実際あり得ないし、あり得たとしてもミックジャガーは英語でしゃべると思うんですけど)もう超嬉しくて末代まで語り継いでDVD買ってストーンズの関連グッズ全部買って、来世はバンドマンさんを志す勢いなんですが。

 これがもし、ミックジャガーが毎日うちに遊びにきて、ご飯作ってくれて、それどころかときどきキースリチャーズも呼んで私の家でセッションしてくれたら、それはそれで嬉しいけど緊張するし落ち着かないし、「いや、もっとライブとか収録とかあるんじゃ」ってなるし、そもそも怖いし申し訳ないし多分4日くらいでノイローゼになると思うんですよね。

 なのでそこは程度の問題というか、ここもいくつかコツとかラインがあるんですが……そろそろ文字数に達しましたので残りはそのうち。
本日はこの辺でそろそろ。それでは皆様ごきげんよう。

[元超公務員の地方元気塾]

守時 健
高知県にある須崎市役所元気創造課に所属する「超公務員」。同市の公式マスコットキャラクター「しんじょう君」とともにPR活動を行う。内容は観光PRにとても役立つ(嘘です)ブログもやってます。https://moritokitakeshi.com/