30歳を目前に「海沿いに住みたい!」「一軒家でのんびり暮らしたい!」と考え、岡山県笠岡市へ地域おこし協力隊として移住した女性が日々の暮らしや岡山県の魅力をご紹介。今回は、蔵の古材を利用してDIYを楽しむ古民家の暮らしについてレポート。
移住したのは築100年の蔵つき古民家
私が移住したのは、部屋数8部屋、2階建で畑つきの大きな古民家。隣には古い蔵がついています。賃貸で住んでいるこの古民家ですが「いらないものばかりだから蔵にあるものも自由に使っていいよ」と大家さんからいわれていました。
蔵の中は薄暗くてなんだか怖い雰囲気。ほこりが常に舞い、マスクは必須。
昔使っていたであろう農機具や木材、大家さんや親族の方のいらない荷物などが置かれています。床には虫の死骸やネズミのフンなどが至るところに落ちており、ところどころ雨漏りしているところもあります。
一見足を踏み入れたくない、ただの物置と化しているこの蔵ですが、じつは宝の倉庫なのです!
蔵で見つけた古板をきれいに
蔵を探索すると見つかるのが古い時代の大量の木材。年代は不明ですが、古民家が築100年ということもあり、蔵に眠る木材もおそらく長い年月の経ったものだと推測できます。
今では購入するとなるとかなり値段のはる1枚ものの古板などが、棚として使われていたり、乱雑に壁に立てかけられていたり、床に落ちていたり。
舞い散るほこりと格闘しながら、暗く狭い蔵から巨大な板たちを庭に運び出します。高い位置にある板を運ぶのはかなり大変! 足場にしている古い棚が今にも崩れ落ちそうでヒヤヒヤしました。
また、板の上には今まで見たこともないくらいの大量のネズミのフンが。どこからかネズミが出てくるんじゃないか、と怖がりながらも、友人と2人で重たい板を次々と庭に運び出します。
蔵の前にある広い庭は、井戸があるので大きなものを丸洗いでき、かなり便利なスペースです。洗剤と井戸水を使って、たわしでゴシゴシとこすり洗いしていきます。
木材からは大量の汚水が。1度洗ってもなかなかきれいにならず、3度ほど洗って流して、を繰り返すと、かなりきれいな姿になりました!
作業をした日は快晴! お日さまの下、しっかり乾かしていきます。乾いた木材は、木の節目がしっかり出ていい味わいに。「この木材はこんな風に使うのがよさそう」「これは傷みがひどいから使えなさそう」としっかり吟味しながら、アイデアを膨らませてDIYしていきます。
古い資材を生かして家具をDIY
トレイのような資材を10個ほど蔵で見つけました。これはかつて、養蚕に使われていた道具なのだそう。古民家のある岡山県笠岡市北部は昔、養蚕業が盛んに行われていたらしく、古民家の2階部分でそういった作業を行っている家が多かった、と地域の方から教えてもらいました。
しっかりと重さがあり、かなり丈夫そうなこの道具。ちょうど服を畳んで置けそうだな、と思いハシゴ型の棚をつくることにしました。
ツーバイフォーの木材を両脇に、蚕の道具を均等に間に挟み、ビスで打っていきます。
そして、完成! 1つ1つ風合いが違ったり、大きさも若干違ったり。古いものだからこそ、長い年月を経てきたからこそ出る味わいが、レトロで重厚な雰囲気を醸し出す、1点ものの棚ができ上がりました。
この什器は、笠岡市駅前商店街に4月下旬にオープンする自身の飲食店用に使うことにしました。お店のオリジナルTシャツの販売台として、使われていなかった資材が生まれ変わりました!
また、蔵から見つけた大きな1枚板はホームセンターで購入した資材で脚をつくり、ダイニングテーブルにDIY。
軽くヤスリをかけてささくれを滑らかにしたのみで、オイルやワックスなどは塗らず、素材本来の味を生かしたテーブルになりました。少々ゆがみがあったり、汚れがあったりするのも愛着がわきます。
古いもの好きにはたまらない、蔵の魅力。隅から隅まで探索するのにはかなりの時間や体力が必要ですし、暗い場所にはなにが置いてあるか、なにが出てくるかわからず少し怖さもあります。
しかし、お宝を見つけたときのワクワクはくせになる楽しさ!
まだまだ見きれていないくらい広い蔵なので、時間をかけてゆっくりとおもしろいものを発見していこうと思います。マスクに防護メガネ、軍手に長靴、汚れてもいい服を身につけるのを忘れずに。
<取材・文> mamiko
mamiko
栃木県茂木町出身。大学時代は京都で暮らした後、大阪の老舗ヴィンテージショップにて販売員に。30歳を目前に、岡山県笠岡市へ地域おこし協力隊として移住。ブログやSNS等で笠岡市の情報発信をしたり、地域交流イベントを開いたりなど、さまざまな活動を行っている。