寒さが厳しくなり、温かい鍋料理が恋しいシーズンになりました。今回は、ふるさとチョイス広報部の田中絵里香さんに、この冬注目の鍋にしたい返礼品を紹介してもらいました。いずれの品もおいしいのはもちろん、生産者のこだわりや思いも、ギュッとつまっています。
地元肉職人が目利きした「志方和牛」ですき焼き＝兵庫県加古川市
食肉産業が盛んな兵庫県加古川市は、地元の肉職人が熟練の目利きで牛肉を厳選し、加古川食肉センター（同市志方町）で加工されたブランド牛「志方牛」が自慢です。精肉店「有限会社うらい」は、契約牧場から仕入れた選りすぐりの黒毛和牛の雌牛をすき焼き鍋用として提供しています。
鮮やかな赤身にバランスよく入ったサシ。約1か月間の熟成で引き出された香りとうま味は格別で、リピーターも多いそうです。おいしさのカギはうらい川村将紀店長の「目」。肉職人歴17年の川村店長は「見ただけでどのような熟成の仕方をするのかがわかる」そうです。
そんな川村店長は、市公認の「加古川プレゼンター」として寄付者に地域の魅力を直接届ける「会いに行く返礼品」も手掛けています。川村店長が寄付者宅に神戸ビーフを持参し、肉料理を提供。加古川市のPRもします。川村店長は「加古川の肉のよさを全国の人に知ってもらい、地域を元気にしていきたい」と話しています。
健康も環境も守る能登の猪肉で「のとしし鍋」＝石川県羽咋市
石川県羽咋市（はくいし）は、能登の里山で獲れた猪肉を「のとしし」（＝能登のイノシシ）と名づけて提供しています。能登半島ではイノシシが急増し、田畑を食い荒らすなどの被害が。捕獲するだけではコストが増すばかりか、イノシシを廃棄するたびに猟師さんの心が痛みます。そこで、のとししの捕獲から加工・販売までする「合同会社のとしし団」は、2015年から「のとしし大作戦」と題し、のとししを天然食材として有効活用する事業を始めました。
じつは、のとしし肉は健康にも環境にもよい効果があるんです。イノシシは1年中、能登の里山を駆け回っているため、低カロリー・高タンパク・ビタミン豊富で栄養満点。その味は、ミシュラン掲載店や一流料亭のシェフたちにも評価されています。全国の猪肉を食べ比べて投票する「日本猪祭り」では、2019年準グランプリに輝きました。
同社は猪肉のメニューだけでなく、皮も余すことなく使いレザー製品のお土産もつくっています。「イノシシの特産品化」を若者たちの夢ある仕事にしようと、地域おこし協力隊などと一緒に取り組んでいるそうです。皆さんも、イノシシとの共存に向けて“猪突猛進”する羽咋市を応援してみませんか？
寄付者の声から改善を重ね、花開いた「鱧しゃぶセット」＝鹿児島県志布志市
鹿児島県志布志市は、温暖な気候と黒潮海流の恵みに包まれていることで、農畜産物、豊富な魚介類が水揚げされるなど、食材の宝庫の町です。国産養殖うなぎの生産量が全国1位の町としても有名ですが、ここでご紹介するのは「鱧しゃぶ」です。
志布志湾で水揚げされた希少な天然の鱧は、だしにくぐらすと、花が広がるように身が開き、それを、カボスをしぼったポン酢につけ食べると、身が口の中でふわっと崩れ、濃厚なうま味がいっぱいに広がります。
この「鱧しゃぶセット」を提供している有限会社丸八水産は、元々は水産加工会社として、企業への販売が中心でしたが、志布志市からふるさと納税の話があったことで、一般のお客さんへの対応を始めます。この丸八水産代表取締役の大王光子さんは、ふるさと納税によってある気づきを得ました。
あるとき、ふるさと納税で「鱧しゃぶセット」を申し込まれた寄付者さんから「入っていた鱧のつみれをミートボールと勘違いして揚げてしまった」というお声をいただいた大王さんは、すぐにセットのパッケージを見直し、パックに中身を記載したり、つくり方の説明書を同梱したりするなどの工夫を施しました。
地元では当たり前の出来事も地域が異なればわからないことがあることを学んだ大王さんがおっしゃった言葉は、「なんでもかんでも勉強です。」
※今年は鱧の不漁のため、ご紹介した「鱧しゃぶセット」は在庫数が残りわずかとなっています。丸八水産では、鱧しゃぶセット以外にも、脂がたっぷりのった今が旬のブリと真鯛のしゃぶしゃぶセットもご用意していますので、ぜひ賞味ください。
ふるさと納税のお礼の品の提供事業者のなかには、ふるさと納税によってはじめて一般のお客さんとの取り引きを始める方が多くいらっしゃいます。そういった方にとって、ふるさと納税を通じて自分たちのつくる商品の感想を、全国各地の寄付者からいただけることで、商品の見直しや、商品開発の活力につながるケースも多くあります。
皆さんのお礼の品への感想で、地域を元気にしてみませんか？
＜取材・文／ふるさとチョイス広報部 田中絵里香＞
カラふる×ふるさとチョイス
