―[東京のクリエーターが熊本の山奥で始めた農業暮らし(62)]―
東京生まれ横浜&東京育ち、田舎に縁のなかった女性が、フレンチシェフの夫とともに、大分との県境にある熊本県産山村(うぶやまむら)で農業者に。雑貨クリエーター・折居多恵さんが、山奥の小さな村の限界集落から忙しくも楽しい移住生活をお伝えします。今回は寒い冬の楽しい時間をレポート。
天気予報は温泉で聞くほうがWEBサイトより当たる
冬は毎日毎日クルマで5分の温泉に行くわが夫。そこには大体いつものメンバー(イツメン)が。年齢はさまざまですが上は90代から下はちびっこまで、とても幅も広いです。
まずは会話の基本はあいさつからはじまります。「こんばんは」「お疲れさまー」「今日は早いね!」などなど。そこから今日は寒いだの暖かいだのとお決まりの天気の話になります。「明日は寒いから栽培中の野菜に気をつけろ」とか「雨が降るばい」とか。
温泉友とは毎日毎日そんな風な同じ会話が繰り返えされ、定型文のような会話の後には村の方々の近況話などが繰り広げられます。
なんとも昔のコントのようにリピートされる天気の会話ですが、じつはこれが重宝するのです。
とくにご年配の方々の「今年の冬は寒い」とか「来週は前半が雨」とかは、かなりの高確率で当たる。なんならウェブサイトの天気予報よりも正確だったり(わが家にはテレビがない)。温泉で「明日は雨」と聞いてくれば、天気予報は晴れでも雨の準備をしておきます。
2025年の冬も秋ぐらいから「この冬は寒いよー」といわれていました。まさにその通りで、夜はマイナス11℃で昼間の最高気温もマイナス1℃、そんな寒さが2週間ほど続いたりしました。雪も何度か降り、積もることもしばしば、でした。
経験からわかるのか、独自の情報ソースがあるのか摩訶不思議な話。温泉から帰宅した夫に「明日の天気はどうっていってた?」と聞くほど、私も当てにしています。寒い時季の重要な情報源なのです。
寒い産山村の室内フリーマーケットに参加
そんな寒い冬を楽しく過ごすためのイベント、『うぶやま真冬のフリーマーケット』を産山村が開催しました。村の屋内式多目的施設を会場にし天候に左右されることもなく、数台のジェットストーブで温めた空間での催しです。
私たちasoうぶやまキュッフェもスイーツ販売で出店! グルテンフリー&バター不使用のオーガニックガトーショコラをこの出店のために試作を何度も重ね完成させました。
商品は、大人のガトーショコラ。自家製のスパイスをきかせたジンジャーコンポートを添え、自家製のきな粉をふり、仕上げにはドライのローズマリーとピンクペッパーとブラックペッパーをふった、「スパイシーオーガニックガトーショコラ」です。
セットのドリンクは、スパイシーなガトーショコラに合い、そして寒い冬に温まるように、自家製のレモングラスとカボスとジンジャーのミックスハーブティーを用意。
当日は約30件が出店。寒い日にも関わらず、村内はもちろん村外からもたくさんのお客さまが来場し、とてもにぎわいました。
お久しぶりの人も、はじめましての人も、会いたかったんだよねーの人も、たくさんの笑顔にあふれた会場。ありがたいことに私たちのブースもにぎわい、うれしいことにきれいに完売しました!!
コロナ禍を経て数年ぶりに開催された「真冬のフリーマーケット」は引きこもりがちな寒い里山での温かくて楽しい交流の場になりました。
【折居多恵さん】
雑貨クリエーター。大手オモチャメーカーのデザイナーを経て、東京・代官山にて週末だけ開くセレクトショップ開業。夫(フレンチシェフ)のレストラン起業を機に熊本市へ移住し、2016年秋に熊本県産山村の限界集落へ移り住み、農業と週末レストランasoうぶやまキュッフェを営んでいる。