鹿児島県鹿屋市の本格的なチョコレート
今回取り上げるのは鹿児島県鹿屋市「kiitos」さんのチョコレート。ビーントゥバー(Bean to Bar)のチョコづくりに従事されています。
ビーントゥバーとは、カカオ豆(Bean)から板チョコレート(Bar)までを自社内で一貫して製造するチョコレートの製造スタイル。
アジア、アフリカ、南米の三大陸からカカオ豆を選び、カカオ豆ときび砂糖だけというシンプルさで素材のおいしさを追求されているのだとか。
「kiitos」の6種類チョコを食べ比べ
そんなわけで今回6種の各国のチョコレートが入った「kiitos Collection」を注文。
・ガーナ70%
・ベトナムバリアブンタウ70%
・トリニダード・トバゴ オルティノーラ70%
・コスタリカ70%
・コロンビアアルアコ70%
・コーヒーブレンド70%
このように、それぞれ産地の違うカカオ豆からできたチョコを少しずつ味わえるというわけです。
と、ここで筆者は大事なことに気がつきます。なんと見た目が全部同じッ! 三角形のチョコレートは桜島をモチーフとしているそうで、いや、見た目が同じなことは問題ないのです。原料がカカオ豆ときび砂糖のみなのだから当たり前です。
問題は「産地ごとのカカオ豆の繊細な味わいの違いを、筆者がちゃんと分かるのか?」ということ。もし分からなかった場合、これから読者の皆さんは「おいしいチョコでした」みたいな虚無の文章を延々と読まされる羽目になります。覚悟はいいか?
<ガーナ70%>
世界第2位のカカオ生産量を誇るガーナ。日本が輸入する約7割をガーナ産のカカオが占めているそうですが、たしかになにかなじみのあるお味。苦味とカカオ風味がしっかりしてるチョコですね、おいしいです。
さて1個目はいいんです、果たして2個目以降、味の違いが分かるのか?
<ベトナムバリアブンタウ70%>
…ガーナと全然味が違う!! より酸味、苦味、ラムレーズンのようなフルーティさを感じます。はっきり味の違いがあって驚きました。HPには「ベリー系の酸味、干し柿のようなとろみ、最後はブラックペッパーなどのスパイスような味わいです。」と記載があるので、私の味覚もそんなに的外れではないはず。
同じカカオときび糖でもこんなに違うチョコになるんだ、おもしろい!
<トリニダード・トバゴ オルティノーラ70%>
オルティノーラ農園、というところで取れたカカオのようですね。これはちょっとマイルドで甘め? あと味がフルーティです。「独特のアッシュ系の風味に発酵したようなミルキーな香りがあります。あとから糖蜜の香りを楽しめます」とのこと。
<コスタリカ70%>
ちょっとコーヒーのような風味を感じましたが、「レモンのさわやかな広がりのあとバナナ、そして黒糖のようなふくよかな甘味が続きます」とのこと。レモン~バナナは残念ながらピンと来ず。でも、やはりほかのどれとも違います。
<コロンビアアルアコ70%>
コロンビアの先住民族アルアコ族が最高峰5775mのシエラネバダ山中で育てているカカオでつくったという、すごいチョコ。ベトナムバリアブンタウに似た、酸味強めの味わいを感じます。「マスカットや梨のフルーツの酸味 ナッツのような味わい ほんのりチーズやキャラメルのような甘さも」とのこと。
<コーヒーブレンド70%>
甘さひかえめ苦味強め、後味コーヒーでとてもおいしい! 福岡県久留米市にあるお店のコーヒー豆を使用したコーヒーチョコレートなんだとか。
そんなわけで6種食べ終わりましたが、どれもしっかり特色や味の違いが感じられてとてもいい経験でした。味が濃く、しっかりしたチョコなのでコーヒーに合うなあ! と思いながら食べたのですが、とくに「コーヒーブレンド」が個人的にはおいしかったです。
kiitosさんは障がいをもった人たちの就職支援を行う、就労継続支援B型事業所・特定営利活動法人を母体としています。私はランチのクオリティの高さが気に入って通いつめたカフェが、就労継続支援B型事業所だとあとから知った、という経験がありまして、「ハンディキャップのある人がつくった」という情報を全面に押し出す、ということ自体がもう薄れてきているのだよなあと感じています。隠すでもなく、全面に押し出すでもなく、ただただ高いクオリティのチョコを追求している、という印象をもちました。
kiitosさんでは、今回いただいたスムースタイプのほかにクランチタイプのチョコや、グラノラ、カカオコーラなども取り扱われています。お土産にギフトによし、皆でちょっとずつ食べるもよし、はっきり味の違いの分かるチョコたちを試してみるのも楽しいですよ。
kiitos 「kiitos Collection」 2000円
日もち ★★★★☆
配りやすさ ★★★★☆
私でも分かる産地で違う味の違い ★★★★★
※紹介した商品は、取材時に販売されていたものです。同じ商品がない場合や価格変更、すでに販売終了している可能性もありますので、ご了承ください。
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。コミックエッセイ『ゴミ屋敷住人の祖父母を介護した話』が好評発売中!