海から山までの距離が短く、富山湾に面した平野部から2000m級の山岳地帯まで一気に標高が上がる独特の地形が特徴の富山県魚津市。その地形が生み出す清涼な水や自然の恵みを堪能できるのが魅力です。富山湾と立山連峰を望む魚津で、今夏楽しみたいグルメ、観光、祭りをクローズアップ！
うまい食文化が根づく魚津で美食探訪
富山県でも「うまいお店が多い」と定評がある漁業の町、魚津。天然のいけすと呼ばれる富山湾に面し、魚種豊富な漁場から毎日獲れたての海の幸が港へ水揚げされます。9月から5月頃はベニズワイガニ、3月から6月頃はホタルイカ、11月から2月頃は寒ブリ・汐ブリが旬の味覚。今回、ぜひ味わいたいのが、通年楽しめる「バイ飯」です。
富山湾で多く獲れるバイ貝を使ったうま味たっぷりの炊き込みご飯は、漁師飯が発祥の郷土料理です。バイ貝のだしがきいた風味豊かな逸品をぜひお試しあれ。
手土産の鉄板が、マスの押しずし「鱒寿司」。たっぷり脂ののった肉厚のマスと、粘りと甘味がほどよい富山県産のすし飯が相性抜群。酢飯とマスに使う酢を変えてあり、マスの脂が酢飯に染み込まないよう、「逆さ製法」で仕上げてあるのも特徴です。
また、昆布などをくるりと巻いた「巻きかまぼこ」なども手土産におすすめ。富山のかまぼこは板を使用しないのが特徴だそう。縁起物をデコレーションした「細工かまぼこ」もあり、手づくり体験できるお店もあるのでチェックしてみてください。
魚津のパワースポット「洞杉の森」へ
市街地から車で30分ほどの場所にある「洞杉の森」。魚津市を流れる片貝川上流域（魚津市三ケ杉ノ尾）に、樹齢500年から1000年以上の天然スギの巨木が100本以上群生するスポットです。幹の内部が空洞になっているものが多いことから「洞杉」と呼ばれるようになったそう。
自然保護のため車の乗り入れは手前の南又谷駐車場までで、そこからは緩やかな登りの散策路に。片道約2.5km、往復で約2時間の散策です。森を抜ける風の音や、脇を流れる澄んだ清流の心地よい音を聞きながらリフレッシュを。
富山湾の神秘、埋没林と蜃気楼に出会える博物館
大自然の神秘やエネルギーを感じられる場所といえば、「特別天然記念物 魚津埋没林博物館 」も見逃せません。国の特別天然記念物の埋没林を、発掘したその場で保存、展示している珍しい博物館です。魚津埋没林は、約2000年前、片貝川の氾濫によって流れ出た土砂がスギの原生林を埋め、その後海面が上昇して現在の海面より下になったと考えられているそう。
蜃気楼コーナーでは、大気中で屈折した光が見せる現象・蜃気楼のしくみや、魚津の蜃気楼の歴史などについて学ぶことができます。日本海側最大級の300インチハイビジョンスクリーンに映し出される蜃気楼は迫力満点。鑑賞の合間には、「カフェKININAL」でフルーツを丸ごと使ったフォトジェニックなスイーツを味わっても。
3年ぶりの「じゃんとこい魚津まつり」は必見
魚津最大のイベントが、夏に行われる「じゃんとこい魚津まつり」。2022年の開催は、8月5日（金）、6日（土）、7（日）の3日間。市制70周年を記念してより盛大に行われる予定です。
江戸時代に伝わったとされる「せりこみ蝶六踊り街流し」は、ハイテンポな民謡に合わせた躍動感あふれる踊りが見どころのひとつ。地区や企業、団体などのチームごとに参加し、祭りを盛り上げます。今年は、末広町交差点から漁協前の通りで開催予定。
華麗な山車が引き回される「たてもん祭り」は、海の神様を祭る諏訪神社の祭礼です。
「たくさんの提灯を三角形につるし下げた、船形の万燈『たてもん』。見た目にも華麗で、威勢よくひき回される様子は、迫力満点です。また祭りでは、約5000発（2日間）の花火が夏の夜空を彩ります。周辺には眺めを遮る建物がないので、花火そのものの迫力が存分に満喫できて見応えあり。ほかにも、キャンドルロードやスカイランタン、UO!JAZZなど、魚津の夏をみんなで楽しみましょう」（魚津市商工観光課観光戦略係）
滑川市発、富山湾岸のクルージングも楽しもう
時間があれば、お隣の滑川市まで足を伸ばそう。魚津駅からあいの風とやま鉄道線で約8分。滑川駅から徒歩約8分の滑川漁港から乗船できるのが、2022年11月27日(日)まで運航予定の「富山湾岸クルージング」です。
雄山、剱岳、大日岳など雄大な立山連峰や、立山黒部ジオパークが大パノラマで楽しめるクルージングは夏こそおすすめ。7月、8月はサンセットクルージングなど特別便も予定されているのでぜひチェックしてみて。
■北陸・魚津市観光協会「UO！」
取材協力／魚津市商工観光課、魚津埋没林博物館、WAVE滑川
＜取材・文＞寺川尚美
