スウェーデンBBQに日本酒バー。副業で全国の町おこし始めます

[副業で全国の町おこしをお手伝い]

 津軽海峡を泳いで渡るイベントをサポートしたり、南三陸で隠れ家ロッジを始めたり…。全国各地でイベント企画や運営を行う「Venga」(ベンガ)は、スタッフ全員が本業をもつ社会人。気の合う仲間がアイデアを持ち寄って、その都度、地元民を巻き込んだプロジェクトをベースに活動しています。主なメンバーは北海道出身の山岳ガイド、東京出身のデザイナー、高知出身の旅行会社勤務の3名。ただの遊びでもなく本業でもない、“副業”として活動する彼らの目から見た各地の魅力をお伝えします。

新潟県越後湯沢の魅力を発信する「YUZAWA SESSION」を始めました

湯沢スキー場
湯沢のパウダースノーは最高です!

 はじめまして、島崎裕介です。本業は旅行会社で、インバウンド業務に携わっています。3年前に友人と3人で始めた「Venga」で、ディレクターとして様々な地域でプロジェクトを進めています。本業の収入があってこそですが、自分たちが面白そう!と思うことを、自分たちができる範囲で取り組めるのが、本業とは異なる“副業”の最大のメリット。金銭的に結果が出なくても、経験やスキル、仲間といった「報酬」を得ることができる…つまり「成功」の定義を自分たちで決められるのが楽しくて、気長に活動しています。

 昨年から新潟県越後湯沢でスタートしたYUZAWA SESSION(ユザワ セッション)は、雪国ならではの『雪処』という言葉を音読みした「セッショ」と、英語の「セッション」を掛け合わせてつけたプロジェクト名。メンバーはVengaの3人のほか、湯沢の魅力を発信したいという想いで集まった地元の寿司職人や木こりなど。全員が本業の傍らで関わっています。

 もともと越後湯沢を訪れたのは、本業のインバウンド集客が目的でした。ニセコや白馬など、外国人に人気のスキー場はありますが、もっと「日本」を感じられる場所を探していたところ、落ち着いた雰囲気の温泉街があり、首都圏からのアクセスが良好な越後湯沢に魅力を感じたのです。一番驚いたのは、ご飯と日本酒がおいしいところ。南魚沼産コシヒカリに代表されるお米があり、全国一の酒蔵数を誇る新潟は、食の魅力にあふれた場所でした。

湯沢日本酒バー
酒樽テーブルの設計はVengaのデザイナー、制作は地元の大工さん、台を丸くする加工は、鉄の加工技術に優れた新潟の燕三条の職人さん

手作りの日本酒バーで地元のお客さんとも意気投合

 そこで、海外からのお客さんや日本酒を飲まない人に、新潟のおいしい日本酒をPRしたいと思い、地元の旅館の1階スペースを借り、期間限定のご当地日本酒バー“Japanese Café & Bar YUZAWA SESSION”を設置。日本酒になじみのない人でも楽しめるように、友人のバーテンダーに相談して、桜や抹茶・苺などを使った飲みやすい日本酒カクテルを考えてもらい、旅館の宿泊客や海外からのお客さんにも好評をいただきました。

湯沢カフェ&バー
お店のロゴと店内デザインはVengaのデザイナーが担当

 そのバーに遊びに来てくれた地元の寿司職人さんが、たまたまスノーボードに誘ってくれて、一緒にすべりに行ったところ、地元の人しか知らないスポットをたくさん知ることができて大感激! そこで、「こういう地元の人のガイドで行くスノボツアーあったらいいな」と話したところ、寿司職人もそういうことをしてみたかった、という話になり、じゃあ日本酒バーの名前をそのまま使って、みんなで湯沢の魅力を発信するプロジェクトを始めようか、となったことが、現在のYUZAWA SESSIONの始まりです。

カクテル「金魚」
大葉と赤唐辛子を入れた、人気のカクテル「金魚」

季節を通して湯沢の魅力を発信中

 春には、越後湯沢には冬以外にも楽しめるお勧めスポットがいっぱいあるよ!ということを何とか伝えたいという想いで、越後湯沢駅からサクッと行けるスポットを紹介する「SAKU 1 グランプリ」をWEB上で開催。湯沢の仲間たちがお勧めするスポットの中から、投票で行ってみたいスポットのナンバーワンを決めるイベントです。記念すべき第1回目は、春の湯沢のお勧めスポットを紹介しました。

湯沢中央公園
グランプリの湯沢中央公園。越後湯沢駅から車で7分。

 夏には「湯沢の木こりが切ったスウェーデントーチ付きBBQ」を開催。地元民しか知らない穴場スポットでお客さんにBBQを楽しんでもらいました。仲間の木こりが森林整備の際に出た木材から作ったスウェーデントーチを使い、寿司職人が旬の食材を使って料理を仕込むプランも大好評。スウェーデントーチは北欧の焚き火で、一度火がつくと1~2時間は消えない安定した炎と、見た目の美しさも特徴です。太さのある丸太とバランスのよい切り込みが必要なので、プロの木こりの手が大活躍。

スウェーデントーチ。湯沢の杉を林業に携わる地元の木こりが調達。着火のしやすさと火力が魅力。

 秋には湯沢の仲間と「湘南タイフェスティバル」に出店。「湯沢のスノボと湘南のサーフィンって横乗りつながりでいけるかな?」というノリで参加を決定。このイベントでは、新潟・湯沢の食材とタイ料理のコラボメニューを、たくさんのお客さんに楽しんでもらいました。ここでも、事前に寿司職人が考えたレシピを当日のスタッフに伝授し、クオリティの高い料理を提供することができました。

湘南タイフェスティバル
大人気だったのは栃尾ガパオドック
栃尾ガパオドック
名物栃尾揚げにガパオをサンド!

 このような活動をまとめるために、11月末に「YUZAWA SESSION」を一般社団法人化しました。代表は湯沢の寿司職人。メンバー全員が本業の合間を縫って参加しているので、歩みはとてもゆっくりですが、焦らず自分たちのできることで湯沢を盛り上げていければと思っています。今も、この冬は何をしようか、みんなでワクワクしながら考えています。

 次回は、宮城県南三陸で1万坪の土地を借りちゃった!プロジェクトをご紹介します。

[副業で全国の町おこしをお手伝い]

島崎裕介さん
高知県出身・仙台市在住。旅行会社勤務を本業に、イベント企画運営団体Vengaを仲間と起ち上げて日本各地で活動中。
http://www.venga-japan.com/