「ものも人も大事に」。下諏訪に移住した女性が裁縫で小商い

―[しもすわで小商いヤッテミレバ]―

地域おこし協力隊を卒業し、長野県下諏訪町でまちづくり会社を設立した今野由香里さんと綿引遥可さん。毎回、さまざまな小商いに挑戦する人を取り上げています。今回は卒業メンバーで、縫製に目覚めて下諏訪町に移住し、小商いを実践している女性の活動を紹介します。

手に職をつけ起業と移住に挑戦

3期生のこっちゃん

 自分の好きやワクワクを小商いにする講座「小商いヤッテミレバ!キャンプ」3期生の「こっちゃん」は、2021年3月に山梨県から長野県下諏訪町に移住してきました。下諏訪町の移住お試し住宅「しごと創生拠点施設ホシスメバ」に住みながら、チュニックやエプロンやヘアバンド、そしてつまみ細工のアクセサリーなど、布を形にする小商いをしています。

 こっちゃんは社会人になってから、転職を機に、職業訓練校の服飾科へ通い、基本的なことから、巾着、エプロン、洋服等のつくり方を学びました。じつは小さい頃から「ミシンでつくる」ことに興味があったけれど、手をつけずにきていたことを実践することで、「とにかく、ミシンで布を形にしていくのが楽しかった!」と当時を語ってくれました。

 学校を卒業して、縫製の仕事ができる会社で勤務。仕事をはじめてから、市販の布製品の縫製が気になるように。自分でもお手軽な市販の物は買うけれど、数回洗濯すると、端の方からほつれてきてしまう。よく見ると縫い目が粗い…。

 そこから丁寧な縫製を心がけるようになったそう。毎日同じものをつくり、どんどん技術は上がりましたが、「もっといろいろなものがつくりたい!」と自分の作品を意識し、カバンづくりの専門学校や起業講座に通いました。

 そして、「もっと自分を試してみたい! 今がそのタイミング!」と、仕事を辞め、移住を検討。以前住んだことがあった諏訪地方を目がけ、移住相談をすると、下諏訪町にはモノづくりの人や移住者が多くいると聞き、起業セミナーなどにも参加。「住みながら自分の仕事を育てていける場所だ!」と感じ、移住を決意しました。

出店を実践できる「小商いヤッテミレバ!キャンプ」に参加

出店の様子

 以前に起業講座は受けたけれど、お客さんに売ったことはなかったので、「最後に出店できる」ということに魅力を感じ、「小商いヤッテミレバ!」キャンプに参加。そこで自分と同じように新しいことに一歩を踏み出そうとしている仲間に出会えました。

 自信がないことや、自分では当たり前にできることも、仲間の目をとおして、「すごい!」「すてき!」「いいね!」と言ってもらい、少しずつ自信がついたそう。小商いの相談だけではなく、暮らしや地域のことなどいろんな相談ができる仲間になりました。

 作品づくりでは、手元にある布をどう活用するかイメージし、布合わせやミシン刺しゅうをすることで、個性的な1点モノのエプロンができたり、工夫を試してみたらおもしろい布の表現ができたり、自分の可能性を感じ、ワクワク楽しくできました。さらには、自分の売りが「縫い目のきれいさ、丈夫さ」であることも実感できるように。

 しかし、4月に行われる予定だった講座の出店は感染症拡大により11月に延期。それでも仲間と一緒に小規模な出店を何回か行ったことで、11月の出店ではその経験が生かされ、接客や商品の説明もうまくできるように。同時にお客さんのニーズ調査もできました。また、たくさん出店したことで、商品のよさも伝わり、リピーターのお客さんもできたそう。

「半年前は、自分がつくったものなんて買ってもらえないと思っていたのがウソのよう」と、今まででいちばん、自分が成長している半年間だと教えてくれました。

ものも人も大事にしながら小商いを育てる

店頭に立つこっちゃん

「小商いヤッテミレバ!キャンプは卒業したけど、同期も違う期もつながり、仲間がどんどん増えています。移住してこんなに仲間に会えると思っていなかった。仲間がいるから切磋琢磨もできる。」

「これからも、自分のペースは崩さずに、『ヤッテミレバ!精神』と『ものを大事にする人は、人も大事にする人』という自分のポリシーで、手に入った生地と人の縁を大事に、自分の小商いの実践を続けていきたい」と話すこっちゃん。今後もどんな作品が誕生するか楽しみです。

イベントに出店した様子

―[しもすわで小商いヤッテミレバ]―

今野由香里さん 綿引遥可さん
長野県下諏訪町の地域おこし協力隊として、2017年から在住。2020年、合同会社 chiokoを設立し、下諏訪を「小商い=自分らしい暮らし方・働き方の育つ場所にしたい!」と奮闘中。