―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.1/池田陽子]―
美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。第一回目は「日本橋とやま館」にお邪魔しました。
若返りのブラックパワー「年齢不詳」を目指すなら昆布!
昆布は中国では生薬としても使われるほどパワーのある食材。とくにアンチエイジングに役立つ、うれしいシーフードです。
老化は中医学で「腎」とよばれる臓器との関わりが深いとされています。腎は人の成長や発育、老化をつかさどり、全身のエネルギーをためておく臓器。まさにアンチエイジングの要! ここが弱ると肌も髪も全身も一気に老けこみます。
薬膳の考え方のひとつである「五行説」では、身体の機能と色を関係づけています。腎をつかさどる色は黒。黒食材である海藻類の中でも、とくに昆布のパワーは絶大。生命力や気力を養い、若々しさを保つのに役立ちます。むくみや便秘の改善、美髪にもおすすめ。
魅惑の昆布グルメがずらりと揃う「日本橋とやま館」
富山県は昆布の消費額日本一を誇ります。その金額たるや、なんと全国平均の2倍! ここまで昆布愛に満ちている理由は富山が江戸時代、北海道から大阪まで昆布を運んでいた北前船の寄港地であったことが大きな理由といわれています。富山県アンテナショップ「日本橋とやま館」も他県の追随を許さない昆布の充実度! とろろ昆布、ソフト昆布、昆布巻、昆布〆、昆布かまぼこなど多彩な商品の中から、とっておきの昆布グルメをご紹介します。
もちもちかまぼこと昆布のマリアージュ
河内屋「巻かまぼこ 昆布」(432円)
富山は全国でも有数のかまぼこの産地。とくに、代表的なのが「昆布巻かまぼこ」。すり身を昆布で巻き込み、「板がない」のが大きな特徴です。魚津市「河内屋」は昭和22年に創業、あえて大量生産をせずにこだわりのかまぼこ造りを行っています。「巻かまぼこ 昆布」は厳選した原材料を立山連峰の伏流水で丹念に練り上げ、北海道産の真昆布で巻き上げてあります。もちもちのかまぼこと、旨みいっぱい、噛みごたえのある昆布のマリアージュは最高! 日本酒のお供にもぴったりです。
濃厚で、まるで生ハム!
髙松屋「昆布〆 天然サス(梶木鮪)」(1620円)
富山の食卓に欠かせない料理といえば「昆布〆」。そもそも漁師町で海が荒れて出漁できないときのために、刺身を保存するために作られていました。タイ、白エビ、ヒラメなどさまざまな魚が昆布〆にされますが、定番は「サス」とよばれる「カジキマグロ」。富山市「髙松屋」の「昆布〆 天然サス(梶木鮪)」は、新鮮なカジキマグロの上に良質な昆布を重ね、職人の絶妙な技で程よく旨みが出るように仕上げた逸品。季節によって気温などを見極めながら、熟成させた逸品は身が締まり濃厚で、まるで生ハム! 刻んだ昆布とともにカルパッチョにしても最高の美味しさです。
「ふわふわ黒い」絶品のおむすびを
「越中富山 幸のこわけ おむすび黒とろろ」(324円※白とろろも)
富山ではさまざまな料理に昆布を使いますが、もっとも出番が多いのが「とろろ昆布」。なおかつ、ほぼ富山でしか食べられていないという、昆布の表面を削った「黒とろろ」がスタンダード。「富山県のおむすび」といえば、「昆布おむすび」。中に昆布が入ったおにぎりではありません。とろろをまぶしたおむすびが定番なのです。まさに富山県民の「ソウルおむすび」!
「越中富山 幸のこわけ おむすび黒とろろ」は、創業100余年の歴史をもつ富山市「道正昆布」の黒とろろをキュートなパッケージに詰め込んだ、お土産にもぴったりの一品。醸造酢の酸味と三温糖の甘みを生かした、ふわふわのとろろと、おむすびの相性はバッチリ!
「白とろろ」もあります。
―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.1/池田陽子]―
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。著書に『ゆる薬膳。』(日本文芸社)『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)『サバが好き』(山と渓谷社)『「サバ薬膳」簡単レシピ』(青春出版社)など