缶詰みたいに甘い。沖縄でパイナップルの収穫体験

沖縄で栽培が盛んなパイナップル。今回は、野菜ソムリエ上級プロ、アスリートフードマイスター1級など食に関する資格を持つ津波真澄さんが、糖度の高いパイナップル栽培の様子を紹介します。

糖度の高いパイナップル「ゴールドバレル」を栽培

花

 パイナップル畑を訪れて、まず目に飛び込んだのがパイナップルの花でした。畑に行かないと見ることのできない風景に感動! 店頭で見る緑色もしくは黄色のパイナップルの実からは想像できない美しい紫色の花です。この花が枯れると、実の部分が膨らんできて、数か月でパイナップルになります。

畑

 花のつき方からもわかるように、パイナップルは木から実がぶら下がるのではなく、下からニョキッとなっています。今回収穫体験で訪れた「ふくしま農園」の農園主、福島敬之(たかゆき)さん、そよ子さんご夫婦にお話を伺いました。こちらでは、主に最高級品種の「ゴールドバレル」を栽培しています。

 大きく実ったゴールドバレルは、3kg近くになるものもあり、糖度は16~20度。出荷前に上部・中部・下部すべての糖度を測定するそうです。ゴールドバレルの特徴は、どの部位を食べても甘いこと。一方、一般的なパイナップルは、下部は甘いけれど上部は酸味が立っていることが多いです。

パイナップルの収穫を体験

収穫

 下からなっているパイナップルの収穫は、どのようにするのかが気になるところ。収穫担当のそよ子さんに、収穫の仕方を教わりました。まず、説明を聞きながら、作業を見ます。

作業

 そしていよいよ、パイナップル収穫初挑戦。実の下の茎の部分に鍬で少し切り込みを入れたら、実の重さを利用してポキっと折ります。作業自体は簡単ですぐにできたのですが、1つ1つが大きくて重量があるので、これを何十個、何百個も連続して収穫することを考えると、大変な重労働です。

 ちなみに、収穫の際、とくに手袋をしていなくても、実の部分はトゲトゲしていないので大丈夫です! また、冠芽(パイナップルの頭の部分)がついていないものを選んで収穫体験したのですが、冠芽がある場合は芽があたると痛いので、手袋をしていた方が安心です。

集める

 収穫したパイナップルは、その場に残しておきます。パイナップルの葉っぱは硬くて丈夫なので、葉の上に置いたままでも平気なのです。そして、作業の終わりに集めてトラックに載せていきます。この作業もお手伝いしたのですが、かなりの運動量でした。

まだある作業

 収穫したパイナップルは、そのまま出荷、というわけにはいかず、まだまだ作業が続きます。自宅に戻ったら、底部の余分な葉を取り、たわしで磨きをかけ、計量、糖度測定をします。1日2tほど収穫できるそうなので、気の遠くなるような作業です。その作業を経て、おいしいパイナップルが私たちの元に届くのですね。

まるで缶詰のような甘さが味わえる

試食

 さて、収穫体験のだいご味といえば、収穫したての野菜や果物をその場で味わえること。しかしパイナップルは、丸かじりはできないし、手で皮をむくこともできないため、カットして冷やしておいたパイナップルを用意してくれていました。

 食べた瞬間、缶詰のパイナップルを出されたのかと思ってしまうほどの甘味。福島さんのゴールドバレルは繊維質が少なく、酸味もほとんどありません。とにかくジューシーで甘い! そして、芯もカットせずに食べられます。通常食べている実の部分と遜色なくおいしかったです。

 ふくしま農園では、収穫体験をしつつ、収穫のお手伝いをすることができます。収穫後は、お手伝いのお礼として1玉いただけます! パイナップル栽培の北限は沖縄県。日本では沖縄でしかできない収穫体験を味わってみてはいかがでしょうか(2022年の収穫体験は終了しています)。

<取材協力>
やんばるパイン ふくしま農園
沖縄県国頭郡東村宮城429番地 電話080-6482-2937

<取材・文>津波真澄

津波真澄さん
広島県出身、那覇市在住。外資系企業などに勤務し、海外でも生活。15年ほど前に沖縄に移住。野菜ソムリエ上級プロ、アスリートフードマイスター1級、インナービューティープランナーほか、食に関する資格を持ち、「沖縄」「環境」「食」の知識や経験をもとに、料理教室を主催。企業やメディアからの依頼でレシピ開発やメニュー監修をするほか、通訳や講演・執筆活動も行っている。美と健康の知識を要するミセスジャパン2019世界大会で第3位(2nd Runner-up)を受賞