未知のおいしさ。海藻好きシェフがつくる青のりのチョコケーキが絶品

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第41回:木村彩乃アナ]―

全国47都道府県で活躍する女子アナたちがご当地の特産品、グルメ、観光、文化など地方の魅力をお届け。今回は、キャスター・リポーターを経て現在はスイーツコンシェルジュとして全国で活躍する木村彩乃アナが、海藻にくわしい料理人が開発した、驚きの海藻スイーツをレポートします。

陸上養殖で海藻を広める会社

シーベジタブルのスタッフ

 ワカメや昆布などの海藻が育つ、沿岸域の藻場が近年、温暖化や高度成長期の開発などによって大幅に減少しています。また、日本には1500種以上の海藻が生息していながら、食されているのはワカメ・昆布・のりなど数十種類のみ。さらに調理法もサラダやみそ汁など、ほぼアップデートされていない状況だとか。

 海藻にまつわるこの課題を解決するため、独自の取り組みを続けている会社が高知県にあります。地下海水を利用し、海藻陸上養殖モデルを確立した「シーベジタブル」。日本各地の沿岸地域に生えている海藻から種を取り出して、世界初となる環境負荷の少ない循環型の陸上養殖を行っています。

「『この海藻おいしかったね』という記憶が残れば、別の店でも『これは海藻を使っているから頼んでみようか』と思いませんか? そうやって海藻を愛してほしい、その環境づくりをしています」とシーベジタブルの石坂秀威さん。

 全国各地に研究を行うチーム、種苗を採るチーム、生産するチームのほか、新しくおいしい料理を開発するチームをつくり、ビジネスの循環形成も大事にしているそう。

 なかでも筆者の興味は、新しくおいしい料理を開発することにあるので、2023年1月に開催されたチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」に初出店した「シーベジタブル」のブースを訪ねてきました。そこで、海藻×チョコレートのスイーツを体験したのです。

海藻に詳しい料理人がつくる海藻スイーツ

世界一海藻に詳しいシェフ

「世界一海藻に詳しい料理人」の異名をもつ石坂さんは、ミシュラン2つ星店でスーシェフを務めた後、シーベジタブルに料理開発担当としてジョインした異色の経歴の持ち主です。

 その石坂さんが「サロン・デュ・ショコラ」で紹介したスイーツは、その名も「すじ青のりのチョコレートケーキ」と、「赤い海藻とカカオパルプのミルクムース」。響きだけでは味の想像もつきません。実際に味わうと、海藻の新たな扉を開けたような、衝撃的な感動がありました。

青のりのケーキ

「すじ青のりのチョコレートケーキ」は、青のりガナッシュ・すじ青のりパウダー・青のりカカオバターなどさまざまな個所に青のりが使われています。正直、青のりがスイーツに合うのかしら? 無理やりすぎるのでは? とドキドキでしたが…合いました!

青のりのケーキ

 青のりとカカオは、うま味があり、香りが高く、ほんのり苦味を感じるなど特徴が似ているので合うそうです。すじ青のりの香りの高さもよく感じられました。とくに印象的だったのが中央のキウイフルーツです。キウイ全面を青のりが覆っていて、それがとっても合うんです! まさかの組み合わせですが、家でもやってみようかな? と思うほどぴったりでした。

赤い海藻とカカオパルプのミルクムース

「赤い海藻とカカオパルプのミルクムース」はさらに衝撃的でした。まわりにあるトサカノリという海藻の色の美しさは生産段階から自信をもっていて、調理で一段と色鮮やかに仕上げたとのことです。食感はセミドライのためグミやゼリーに近く、プラムジュースに漬けこんだことで甘酸っぱい風味が加わって、とてもおいしかったです。

 また、ミルクビスケットに青のりパウダーとカカオパウダーがかかっています。ほんのり香りを楽しむ程度かと思いましたが、味がとっても濃いんです。かむたびに香りが爆発します! スイーツとしても充分楽しめましたが、お酒があれば延々と食べられるつまみとしても大活躍してくれそうです。

おしゃれなパッケージでギフトにも

物販の品々

 海藻というと身近なイメージでしたが、実際は知らないことばかりで「未知な食材」ということがよくわかりました。筆者が体験した2つのメニューはイベント限定ですが、今後もポップアップイベントなどに参加を予定しているそうなので、またお会いできる日が待ち遠しいです。

 また、シーベジタブルの海藻自体は全国のレストランで扱いがあり、公式サイトから取扱店が検索できます。オンラインショップでは、そのまま干した海藻やふりかけ、塩蔵や粉末の海藻、「若ひじき」など季節限定商品や、オシャレなパッケージのギフトボックスまで購入できます(写真はイベントでの物販)。今後、新たな海藻もリリースされるようなので、目が離せません。

 さすがに海藻スイーツをつくる挑戦は難しいですが、筆者はこの衝撃体験をきっかけに海藻のイメージが大きく変わり、もっともっといろいろな可能性を知りたくなりました。今度は、青リンゴのフルーティーさが特徴という「ノンアルコール飲料 海のワイン」を試してみたいと思います。

<取材・文・撮影/木村彩乃(地方創生女子アナ47)>

木村彩乃アナ
千葉県出身。宇都宮CATVからNHK釧路放送局キャスター・リポーターを経て現在はフリー。アナウンス業のほか、スイーツコンシェルジュ・ショコラアドバイザーなど製菓関連の資格を活かし全国で食の取材を行う。

―[地方創生女子アナ47ご当地リポート/第41回:木村彩乃アナ]―

地方創生女子アナ47
47都道府県の地方局出身女子アナウンサーの団体。現在100名以上が登録し、女子アナの特徴を生かした取材力と、個性あふれるさまざまな角度から地方の魅力を全国にPRしている。地方創生女子アナ47公式サイト