全国各地で実施している仕事と休暇を兼ねた「ワーケーション」。地域の特性をいかしたさまざまなプランが用意され、その人気が高まっています。今回は「ふくしまワーケーション」から、四季折々の果物や花も楽しめる「中通り」エリアのワーケーションをご紹介します。
福島駅を拠点に気軽なワーケーション
「福島県は、南北に連なる奥羽山脈と阿武隈高地により、大きく3地方に分かれており、地域ごとに異なる特色があります。ちょうど真ん中に位置する『中通り』は、東北新幹線が通っており、首都圏からのアクセスがよいため、気軽に訪れることができるエリアです。また、泉質豊かな温泉が数多くあり、リフレッシュしながらワーケーションを楽しんでいただくこともできます」(福島県 ふくしまぐらし推進課・加藤鉄平さん)
東京駅からは東北新幹線で約1時間30分、福島駅に到着。まずチェックしておきたいのが、駅から徒歩3分ほどのビルの2階にある「福島市クリエイティブビジネスサロン」。コワーキングスペースに60席を備えたビジネス交流拠点です。快適空間の中で、1人1時間200円から気軽に利用が可能。シックで落ち着いたスペースで集中してテレワークができると好評です。
1階には、「福島県観光物産館」があり、ラウンジではコーヒーやソフトクリームを味わったり、お土産の購入もできるので使い勝手も抜群。
福島駅を拠点に、飯塚温泉で湯浴みとフルーツ狩りを
JR福島駅から、福島交通飯坂線で約30分の飯坂温泉へ。ここは、松尾芭蕉が「奥の細道」の途中に立ち寄ったとされる歴史ある温泉地で、豊富な湯量と熱いお湯が特徴。旅の疲れを癒す無料の足湯が4か所にあります。
江戸時代から続いていた豪農・豪商の堀切家の旧家「旧堀切邸」の敷地内にあるのが、「旧堀切邸手足湯」。美しい庭園を眺めながら、源泉かけ流しの温泉をゆっくりと。
飯塚温泉には、ワーケーション利用にも快適な宿があります。おすすめの1軒は、目の前に摺上川が流れる、大正10(1921)年創業の旅館「祭屋湯佐右衛門」。館内は祭情緒にあふれ、毎週土曜日には、飯坂けんか祭りの太鼓ショーなども開催されます。山々を眺めながら和の空間で仕事をした後は、広々とした大浴場と3種の露天風呂でリセットを。
また「旧堀切邸」から徒歩7分にある旅館「湯乃家」は、総ヒノキづくりの展望露天風呂が自慢。信夫山や吾妻小富士をはじめ、奥羽山脈や霊山、阿武隈山地に囲まれた自然の箱庭で、至福のひとときを。落ち着いた和洋室の客室も好評です。
飯坂温泉は「くだものの里」としても知られています。初夏から12月くらいまで季節ごとに、サクランボ、桃、梨、ブドウ、リンゴが楽しめ、フルーツ狩りができる果樹園も多数。とれたての果物を使ったパフェなど、ぜいたくスイーツを味わって。
郡山駅を拠点に、磐梯熱海温泉でリフレッシュ
東京駅からは東北新幹線で約1時間20分、郡山駅を拠点としたワーケーションもおすすめです。まず押さえておきたいのが、JR郡山駅から車で15分ほどのところにある「co-ba koriyama」。郡山エリアの起業家・フリーランス・ビジネスマンの交流の場としても注目されています。1日利用は1100円からで、キッチンやプリンターなどの設備も完備されているスポットです。
郡山駅から磐梯熱海温泉駅(ばんだいあたみおんせんえき)までは、JR磐越西線で約15分ほど。800年以上の歴史をもつ、郡山市の奥座敷「磐梯熱海温泉」へ足を延ばしましょう。
アルカリ性単純温泉は肌触りがよく、「美肌の湯」として親しまれている磐梯熱海温泉郷には、足湯も2か所に点在。まずは、駅前にある無料の「磐梯熱海温泉駅前足湯」に浸かってほっこりと。
ここではおすすめの宿を2軒ご紹介。ひとつは、五百川(ごひゃくがわ)沿いにたたずむ「萩姫の湯 栄楽館」。2021年8月に、和モダンタイプの新客室18室が新設されました。畳式の客室にワ―ケーションデスクやごろ寝ソファなど備えた、居心地抜群の空間です。
もう1軒は、旅館「深山荘(みやまそう)」。1日1組限定の宿で、客室は4室のみ、2名から貸切可能。五右衛門風呂を含む温泉や読書ができるくつろぎスペースなどもあり、周囲を気にせずリラックスした時間が過ごせます。
周辺は観光やアクティビティも充実
周辺には観光スポットも点在。郡山市熱海町(あたみまち)にある20haの「郡山石筵(いしむしろ)ふれあい牧場」では、ポニーや羊、ウサギとの触れ合いや乗馬をはじめ、マウンテンバイクやターゲットバードゴルフ体験もできる。身体を動かした後は、特製牛乳やアイスでエネルギーチャージを。
少し足を伸ばして、日本で4番目に大きい湖「猪苗代湖」で湖水浴を楽しんだり、標高約1000mの「郡山布引(ぬのびき)風の高原」でのんびりと。高原では、日本最大級の風力発電所である33基の巨大風車の下、9月までヒマワリが咲き誇っています。
取材協力/福島県 ふくしまぐらし推進課
<取材・文>寺川尚美