30歳を目前に「海沿いに住みたい!」「一軒家でのんびり暮らしたい!」と考え、岡山県笠岡市へ地域おこし協力隊として移住した女性が日々の暮らしや岡山県の魅力をご紹介。今回は、自身が2024年4月にオープンした店舗の提供メニューや今後の展望などをレポート。
笠岡市初のシェアキッチンをオープン
2024年4月、笠岡駅前商店街にシェアキッチンをオープンしました。店名は「Farmer’s Kitchen Boonies」( 以下Boonies )。
店名のとおり、店では地元農家(Farmer)がキッチンに立って料理を提供したり、地元野菜を使用したメニューを展開するメンバーがいたり。曜日や月ごとに店頭に立つスタッフやメニューの変わる、笠岡市初のシェアキッチンです。
現在店舗を利用するメンバーはnanairo farm、焼き鳥いっちゃん、私の3人。営業は、昼と夜の2部構成です。
地元野菜を使用した栄養たっぷりなお弁当
笠岡市で農業を営むnanairo farmは、もともと農業をしながらイベント出店などでお弁当やスイーツなどを販売していました。現在は週3回Booniesで営業を行っています。
お昼は、取れたての新鮮な野菜を使用したお弁当の販売。旬の野菜を使っているのでお弁当の内容は週替わり! nanairo farmの野菜は甘味が強く野菜そのものの味が濃いので、調理の味つけは比較的薄味です。
おいしいのはもちろん、健康的で値段も 650~800円とリーズナブルなことから、近所のおじいちゃんおばあちゃんや、近隣で働く方などから大好評。
また、お弁当と一緒に店内では野菜の販売も行っています。新鮮さも売りですが、Booniesの魅力はなんといっても生産者から直接商品が買えること!
「今の旬の野菜はなに?」「これはどうやって食べたらおいしいの?」など、生産者のnanairo farmが店頭に立つので直接聞くことができます。こういった会話から、農業や野菜に興味をもつ人が増え笠岡市の農業が盛り上がったらいいな、というBooniesの思いも含まれています。
夜は地域交流を楽しめるスペースに
テイクアウトのみの昼営業と変わり、夜は店内で飲食が可能です。提供されるメニューは、こちらも野菜をたっぷり使った栄養満点のラインナップ!
5月はジャガイモ、レタス、インゲンなど色鮮やかな旬の野菜を串焼きにした「野菜串」。
6月はトマトとズッキーニがたっぷりのった「旬の野菜ピザ」。
トウモロコシができる前の数日間しか味わえない「ヤングコーン」を楽しむ「野菜たっぷりちゃんぽん」。
などなど、夜営業もその時期の野菜を使うのでメニューは週替わりです。毎週異なる野菜や料理に出合えるので、週1回通ってくれるお客さんもたくさんいます。
私は夜営業でお酒を中心としたドリンクを提供しています。笠岡市に属する笠岡諸島の1つ「六島」でクラフトビールをつくっている「六島浜醸造所」のビールの取り扱いもあり、笠岡市に初めて訪れた人にも、笠岡の商品や魅力を知ってもらうきっかけの場となっています。
また、夜営業のBooniesは、お客さん同士でも会話がしやすく、一見さんでもフランクにお店に入れる立地と雰囲気が特徴。笠岡駅前商店街にあり、JR笠岡駅から徒歩約2分。笠岡駅は、福山駅から電車で約15分、倉敷駅からは約25分と市外からでもアクセスがよいです。
店の大きな窓からは外からも店内が見えるようにし、店やお客さんの雰囲気などが伝わりやすくなるようにしました。
地域色や仲間感が強すぎて一見さんが中に入りづらい、というお店が地方には多くないでしょうか。私も実際、笠岡市で「ここのお店気になるけど、外から中の様子が見えないし、地元の人ばかりだったらなんだか気まずいな…」と思った経験が多々あります。
Booniesは、笠岡市内の方はもちろん、観光客や移住者、近隣市町から飲みに訪れる方などバラエティ豊かなお客さんで日々にぎわっています。世代や地域を超えお酒とおいしい料理で人との交流を楽しむスペースを、大きな窓からたくさんの方にこれから見てもらいたいです。
シェアキッチンとしての幅広い活用方法を模索
Booniesのメンバーの焼き鳥いっちゃんは、月に2回ほど焼き鳥屋さんとして登場。nanairo farmの新鮮野菜を使用した「焼き鳥サラダセット」など、お肉と野菜のおいしさを両方味わうことができます。
各々が本職をもっており、活動の幅を広げるため、本業に生かすため、趣味を極めるため、などシェアキッチンを利用する目的はさまざま。今後は、店舗を利用するメンバーを増やしていき、さらに幅広いお客さんに訪れてもらえる店を目指していきます。
とはいえ、今直面している問題もあります。それは「シェアキッチン」という形態への認知が笠岡市ではかなり低いこと。
月ごとに営業日が変わったり、店頭スタッフやメニューが違ったりすることに違和感がある人がとても多く「シェアキッチンなので」と説明をしても、なかなかピンときてもらえないことも…。また、SNSなどを利用しない客層に月ごとに変わる営業日をどのようにお知らせするかなど、日々課題が出てきます。
集客の面では、市内の人口数だけで見ると地方での店は都心よりかなり難しいかもしれません。でも、店の数自体が少ないからこそ、注目度やピックアップされる機会は多く、今までになかった新鮮さを感じてもらえるはず。
地方ならではの問題や難しさもパフォーマンスに変え、店がこれからどのように成長していくのか、自分自身が楽しみながら継続していきたいと思います!
<取材・文> mamiko
mamiko
栃木県茂木町出身。大学時代は京都で暮らした後、大阪の老舗ヴィンテージショップにて販売員に。30歳を目前に、岡山県笠岡市へ地域おこし協力隊として移住。ブログやSNS等で笠岡市の情報発信をしたり、地域交流イベントを開いたりなど、さまざまな活動を行っている。