うま味が強くてふっくら。ひたちなか市の究極の蒸しダコとは?

年間100万人以上が訪れる魚市場がある、茨城県ひたちなか市の那珂湊(なかみなと)。水産加工業が盛んですが、ここにある会社が、近年売り出しているのが「究極の蒸しダコ」。このタコ、どこがすごいのか? おさかなコーディネータのながさき一生さんが教えてくれました。

タコの加工量が日本一の街

 茨城県ひたちなか市の那珂湊といえば、年間100万人以上が訪れるという「那珂湊おさかな市場」があり、活気にあふれています。そこから車で5分ほどのところにある那珂湊水産加工団地には、さまざまな水産加工場が立ち並びます。

 この那珂湊水産加工団地で製造された水産加工品は、全国各地だけでなく世界に向けても流通されており、特にタコの加工量は日本一を誇っているのです。

タコ好き必見。日本のタコ加工の中心部に潜入

 那珂湊水産加工団地に複数あるタコの加工会社の中でも、ひと際歴史も長いのが株式会社あ印です。

株式会社あ印
株式会社あ印

 あ印は1887年3月、海産物の販売業を創業しました。当初は屋号を『あめ屋』と称して水産物の加工にも着手し、木箱に押されていた『あ』の文字をトレードマークに採用したことが社名の由来となっています。その後時を経てタコの加工を始めたのは1950年。煮ダコの製造からスタートしました。

 そして、タコの加工量が日本一になる出来事が1963年に起こります。今回、その理由を含め、あ印の社長である鯉沼勝久さんに伺いました。

なぜ日本一になれたのか

 日本一の加工タコ生産量のキッカケとなったのは、海外産のタコの加工の取り扱いを始めたことでした。元々、目の前の太平洋で揚がるタコを加工していた背景があったなかで、1963年に西アフリカの遠洋漁船に乗っていた親戚から「予想外にタコが沢山獲れているので加工してみてもらえないだろうか」という話を持ちかけられたのです。

 今でこそモーリタニア産など西アフリカのタコは当たり前に流通していますが、当時、アフリカ産のタコを扱うのは初めてのことでした。うまく加工をするためへのさまざまな苦労があったと鯉沼社長は語ります。

鯉沼社長
会社の歴史を語る鯉沼社長

「最初は大量のタコを加工するのに足がうまく丸まらず、いろいろと試していました。そんなときに、ドラム式のタコ洗浄機を誤って掛けっぱなしにしてしまった者がいたのです。すると偶然にも、タコの足がうまい具合に丸まった。大量に加工する技術の足掛けになりました」

 あ印の歴史は長い分、良質なタコを届けるために試行錯誤を重ねた時間がどこよりも多い加工会社です。アフリカ産のタコの加工に成功すると、生産量が自社だけでは捌ききないほど多くなり、地域の産業として広まっていったとか。

 タコ加工量日本一の裏には偶然の重なりとともに、人々のつながりやさまざまな試行錯誤があったのです。

令和元年、究極の蒸しダコ「MarkA」が誕生!

 そんなあ印が歴史を紡いで令和の世を迎えたいま、新たなる究極の蒸しダコを開発しました。その名も「MarkA」と言います。なんとも最先端っぽい名前。

MarkA箱
ロゴがかわいい

「MarkA」は、オーダーを受けてからお客様と電話でやり取りをし、希望に沿った最も良質なタコを選んで加工をするという商品です。「MarkA」のパッケージは高級なアクセサリやアンティークを思わせるエレガントなパッケージ。そして何よりも特質すべきがなのが、タコの蒸し方です。

「MarkA」の秘密、うま味凝縮製法とは?

「MarkA」は、あ印が長年の試行錯誤の上独自に開発した「うま味凝縮製法」という方法で蒸されています。

 通常、蒸しダコを製造する場合には乾いた蒸気を一方から吹きかけて加熱し、ムラを抑えるためさらに茹でて、皮向け防止にミョウバンを使うという工程が一般的です。しかし、この方法だと茹でる際にうま味が逃げてしまい、本来のタコの成分でないミョウバンが入り込むことで雑味が生まれています。

一般的な蒸しだこ製造方法
一般的な蒸しだこ製造方法

 これに対し、うま味凝縮製法では、水分をたっぷり含んだ蒸気を上下から吹きかけます。こうすることでムラなく仕上がるため茹での工程を省くことができ、うま味を逃さずに済むのです。水分も適度に含ませられるため、ふっくらと仕上がります。

うま味凝縮製法による蒸しだこ製造方法
うま味凝縮製法による蒸しだこ製造方法

いろいろある「MarkA」の活用法

「MarkA」は臭みが少なくクセがないため、どんな料理にも合うという特徴があります。そのまま刺身やぶつ切りでいただくのはもちろん、オリーブオイルをかけてカルパッチョにする、香草やトマトと一緒に煮込むなど洋風の調理にも向いています。

「MarkA」は特設サイト(https://marka.base.shop/)にて販売受付をしていますので、誰でも気軽に取り寄せることも可能です。

たこステーキ
たこステーキ

 タコは「多幸」の象徴でもあり、オクトパスの「パス」と掛けて受験合格の験担ぎにも使われます。春先にあるさまざまな行事での食事で、タコは縁起物として活用できます。その際には、最新鋭の蒸しだこ「MarkA」に注目してみてはいかがでしょうか。

〈取材・文/おさかなライターながさき一生〉

おさかなコーディネータ・ながさき一生さん
漁師の家庭で18年間家業を手伝い、東京海洋大学を卒業。元築地市場卸。食べる魚の専門家として全国を飛び回り、自ら主宰する「魚を食べることが好き」という人のためのゆるいコミュニティ「さかなの会」は参加者延べ1000人を超える。