住民11人の大分深島から家族で東京へ。久しぶりの都会に子どもたちは大興奮

大分県南部、佐伯(さいき)市蒲江(かまえ)から船でおよそ30分のところにある住民11人の小さな離島「深島(ふかしま)」。島の周囲は約4km、20分も歩けば集落すべてを回ることができる小さな島で、70匹の島ネコに囲まれ暮らすあべあづみさんに日々のことをつづってもらいます。今回は、先日東京で開催された離島のイベント「アイランダー」に家族で参加しました。

離島のイベント「アイランダー」に家族5人で参加

アイランダー2024

 毎年11月に行われる、日本の離島の祭典「アイランダー」。アイランダーは日本全国のたくさんの離島が集まり、特産品の販売や移住相談、観光案内などを行い、都市の皆さんと離島と交流できるようにと開かれているイベントです。2023年初めて現地(東京・池袋)参加し、たくさんの人に会うことができました。前回は私と息子の2人でしたが、今回は家族5人で参加しました。

 また、前回「みそはもってきてないの?」とたくさんの人に聞かれたので、今回は宿やcafeの案内とネコグッズの販売と合わせて、深島みその販売も行いました。

深島・屋形島のブース
深島・屋形島のブース

 11月16日、17日の2日間のイベントの間、深島を知っている人も知らない人もたくさんの人がブースの前に足を止めてお話をしてくれたり、みそやネコグッズを購入してくれました。

渡嘉敷島のブース前でひろみちお兄さんと
渡嘉敷島のブースでひろみちお兄さんと

 今回のイベントでは、深島を知らない人や島に興味のある人とは島の話をしたり、アクセス方法を説明したりとSNSでは伝えることが難しい島の雰囲気や様子を伝えられたのではないかと思っています。前回の反省をいかして「11人の島」であることを強調して島民全員の写真を飾ったり、島の日常風景の写真を展示。「11人しかいないんですか!?」と驚いてくれたり、「行ってみたいですー!」といってもらえて大成功でした。ただ、普段島にいて、島に来る人とはたくさんお話するのですが、島外で島の話をする難しさを感じたりも。

深島の紹介

 また、毎年島に遊びに来てくれる人や、取材でお世話になったメディアの人、島にお手伝いに来てくれた子たち、いつもみそやネコグッズをとおして島を応援してくれている人もたくさん来て声をかけてくれ、本当にたくさんの人に支えられているんだなと実感しました。

 島には11人しか住んでいませんが、こんなに小さな島を思ってくれる人がたくさんいることはとても心強く、幸せです。いつ無人島になってもおかしくないほどの小さな島にも、こんなに可能性が広がっているということが、ほかの小さな島にとっても希望になればいいなと思っています。

子どもたちにとっては大冒険の2日間

前回飛行機に乗った時の写真
前回飛行機に乗った時の写真
 
たくさんの人に会えて楽しく、うれしかったアイランダーですが、子どもたちにとっては大冒険、私たち大人にとっては疲労困憊の2日間でもありました。

 15日金曜日の朝、深島を出発して宮崎空港へ向かい、宮崎から飛行機に乗りました。子どもたちは初めての飛行機ではないものの、3歳の息子は昨年のことは覚えていないし、長女と次女も飛行機に乗るのは4年ぶりでふたりの記憶には残っていません。

 荷物を預けて、展望デッキで飛行機の離陸や着陸を見学し、滑走路が見えるレストランでお昼ご飯を食べたあと、飛行機に乗り込みました。飛行機の小さな窓から見える景色やシートベルト、前ポケットに入っているパンフレットや注意事項など見るものすべてが新鮮で、下の2人はワクワクがとまりません。飛び立つ瞬間は末っ子が泣くかな?と思っていましたが、少し不安そうな顔をしただけで1人でちゃんと座っていました。さすが、毎日船で登園しているだけあり、飛行機の揺れはあまり怖くなかったようです。ただ、羽田空港に着陸した際、次女が気圧で耳がこもってしまい、しばらくメソメソしていました。

 空港では動く歩道にテンションが上がり、手荷物受取所までの長い道のりも楽しく進むことができました。

子どもたちのアイランダー

 空港から池袋までは、モノレールと山手線を乗り継いで行きました。子どもたちはもちろん、私たちも久しぶりの電車。事前に乗り換えを調べてはいたものの、乗り場や切符売り場がたくさんありキョロキョロ。前回は同行者が一緒だったので乗り換えはついていくだけ、改札はICカードで通りましたが、今回はみんなで切符を買い、1人ずつ改札をくぐりました。切符を入れたら改札の向こうから切符が出てくるからそれを取るとか、電車に乗るときに隙間があるから気をつけるとか、優先席のことや電車のゆれ方など、子どもたちにとってとても大きな経験になったと思います。

 モノレールや電車から見える景色もとても新鮮でした。高いビルやキラキラした窓ばっかりの建物、高速道路や大きな水路、すれ違う電車などずっと飽きずに外を眺めていました。電車でも島育ちの子どもたちはさすがの体幹で、ふらつくことなく乗れました。

 たくさんの乗り物に乗って、普段の日常と違う社会経験ができた子どもたち。こんな風に、できるだけ毎年一緒に参加できたらいいなと思っています。

島ならではのあたたかい雰囲気

アイランダーで大活躍する子どもたち
アイランダーで大活躍してくれた子どもたち

 子どもたちはアイランダーでも大活躍。長女はパンフレットの袋詰めや、お客さんへの配布、会計を手伝ってくれました。次女は弟と遊んでくれたり、佐伯市役所の方とほかの島のブースに偵察(遊び?)に行って報告してくれたり。息子はダンボールで工作をして私の友だちの子のベビーカーを飾ってくれたり。
 会場を何周もまわった次女はいくつかのブースで覚えてもらっていて、試食をもらったり通るたびに声をかけてもらったりと、とってもあたたかい雰囲気。島ならではのアットホームな雰囲気を味わい、たくさんの特産品などにも出会えました。

 本当にたくさんの人に会えて、たくさんの経験をした東京出張。旅の最後は疲れた目と体を癒すため、宮崎県の青島に1泊してゆっくり過ごしました。やっぱり、海が近くにあると安心しますね(どんなに強風でも、荒れた海でも、海は海です)。また次回も、家族で行けたらいいなと思っています。みなさまぜひ、アイランダーへお越しください!

<写真提供・文/あべあづみ>

【あべあづみ】
住民12人の小さな離島「ふかしま」の島民。「深島を無人島にしない」をミッションに、夫と2人でぃーぷまりんとして深島みその製造やinn&cafeの運営をしています。深島にすむ人も来る人もネコもほかの生き物たちも、みんなが今よりほんの少し幸せになれる島を目指しています。尊敬する人は深島のばあちゃんたち。ふかしまにゃんこ(@fukashima_cats)、深島活性化組織Deepblue