地域ネコの増加が問題になっている北九州市にある譲渡型猫カフェ「ぷここん家」。猫ヨガなどを行い、保護活動と地域交流に取り組む同店を取材しました。
猫に癒やされながら食事を楽しめる譲渡型猫カフェ
譲渡型保護猫カフェは、保護された猫に必要なケアを施し、新たな飼い主との架け橋になる場所です。
北九州市城野(じょうの)にある譲渡型保護猫カフェ「ぷここん家」は、動物にやさしい国といわれるトルコをイメージしてオーナーが手づくりした温かみのある内装。もともと空き家だった場所を借り、壁や床の修復は自ら手がけ、「日本もトルコのように動物が人の日常に寄り添う国を目指せたら」という願いが込められています。
猫と同じ空間で飲み物のみ提供する猫カフェが多いようですが、ぷここん家では猫とカフェを巨大なアクリル板で区切って、猫の様子を見ながら落ち着いてお茶や食事を楽しむスタイル。
メニューはオーナーの娘さんがつくる、ノンアルコールのリキュールを使用したなオリジナルスムージーやホットサンド、チキンカレーなどボリュームたっぷりの内容。カレーには猫型のチーズがトッピングされ、猫モチーフのかわいい食器やコースターもインスタ映えしそうなかわいさです。
猫がモチーフのコースターは店内の物販コーナーで購入することができます。知り合いの作家さんからの委託品や、保護猫を支援してくれる方々からの手づくりグッズも並んでおり、収益はすべて保護猫活動への支援にあてられています。
また、猫好きが集うイベントやマルシェも開催。なかでも話題になったのは、福岡県では初の試みである「猫ヨガ」。猫が参加者の足の横をすり抜ける空間でリラックスしながらヨガを習える体験は、参加者にも好評でした。
子どもが拾った猫をきっかけに保護活動に目覚める
「ぷここん家」誕生のきっかけは、オーナーの子どもが拾ってきた1匹の猫。オーナーはその猫を通じて、殺処分や捨て猫といった厳しい現実を知り、動物保護活動への情熱が芽生えたといいます。
その後、白血病を抱える猫に関わったことで、「病気の猫も救いたい」、「私にしかできない保護活動を」との思いから、広いスペースでより多くの猫を保護するための猫カフェを考え始めます。
その際に活用したのがクラウドファンディング。店舗の収益だけでは補えない経費を、多くの人の支援でまかなうことができました。
すべての猫と飼い主が安心できる譲渡を
「保護された猫たちが第二の人生を歩めるよう、もっと多くの譲渡会を開催したい」とオーナー。保護活動だけでなく、猫の飼育方法や病気への理解を深める機会を提供し、猫を飼うすべての人に役立つ情報を発信することにも力を入れています。
また、猫の譲渡を希望する人が安心して迎え入れられるよう、譲渡前はもちろん、譲渡した後やぷここん家に訪れた人とのコミュニケーションを大切にし、健康的なえさや病院選びのアドバイスなども行っています。
「ぷここん家」のあたたかさは、店内のアットホームな雰囲気だけでなく、オーナーとその娘さんが二人三脚で経営していることからも生まれています。親子ならではの温かい心配りや絆が、お店全体にやさしい空気をつくり出しているのです。北九州市の保護猫活動を支える重要な存在として、今後の挑戦を応援したいと思います。
<取材・文/北川志真>