第2の故郷を自分で選べる「ふるさと住民票」ってなに?

[まち・ひと・しごとで、地方創生/第2回]

地方創生や地域活性を語るときに「まち・ひと・しごと」というキーワードがよく出てきます。仕事をつくり、人を呼び込んで、町を活性化するという考え方です。今回は、住んでいる町とは別の自治体に住民票登録することができる「ふるさと住民票」について、博報堂スマートx都市デザイン研究所所長の深谷信介さんに教えてもらいました

住んでいる町とは違う自治体に登録する「ふるさと住民票」

ふるさと

 皆さん、住民票お持ちですよね。どこかの都道府県・市区町村にお住まいになっていて、地元の役所・役場に行って登録しているはずです。

 それでは、もう1つ別の住民票があるのを、ご存知でしょうか?名づけて「ふるさと住民票!」

 平成28年2月22日、日野町という人口3000人の小さな町からはじまった地方創生の取り組みです。あっ、日野町って日本に2つあるんですよ、滋賀県と鳥取県に。(ちなみに日野市は東京都にあります)。ふるさと住民票を初めて採用したのは鳥取県のほうで、私もすこーしだけ普及活動のお手伝いをさせていただきました。

ふるさと住民票カード
鳥取県日野町のふるさと住民票カード

 住所や氏名を記入した用紙を自治体へ送るなど、簡単な登録手続きをすると、ふるさと住民票カードがもらえます(手続き方法は自治体によって異なります)。そして日野町の場合、毎月毎月まちから郵便物が届きます。

 そのなかには、町の広報誌が、イベント情報チラシが、地元メディアでの情報などが同封されている。そう、いまどき「紙」でやってくるのです。

 皆さん、お住いの市区町村や都道府県の広報誌ってご覧になってますか?

「いいえ」って応えたあなた、今度届いたらぜひちょこっと開いて見てください。え~こんなに!って思うほど、地域密着の細かい役立つ情報が「広く・深く・細かく・濃く・丁寧に」集められ纏められています。

月に1回届くこの地域密着の超アナログ・コミュニティ誌。日本全国の都道府県・市区町村で、定期的に発行されているんです

今日本には、
772の市
743の町
183の村

があり、合わせると1718の市町村があります。

 これに東京特別区23を加えると1741の市区町村に、都道府県47を加えると、1788になります。ということは、1788の超アナログ・コミュニティ誌があるということ。

「結構あるなあ」「いやいや意外と少ないなあ」皆さんはどう感じるでしょうか。

広報誌
毎月、広報誌やお知らせが郵便で届く

 ふるさと住民票にはほかにもいろいろなサービスがあり、たとえば公共施設を住民料金で利用できたり、祭りや伝統行事に参加できたり、パブリックコメントにも参加可能だったりします(内容は自治体によって異なります)。

 ちょっと覗いてみませんか、毎月届く広報誌を読んでいると、どんどんそのまちの知識がついて興味が湧いて、いつの間にやら本当の住民になった気がしてくるから、不思議です。

 関係人口のちょっとしたお印にもなりますよね。皆さんのふるさとにも、皆さんが推しているあの町にも、こんな仕組があるかも知れません。
もしなかったら「ふるさと住民票のあるまち」をあなたの第二のふるさとにしてみませんか? 今後も色々な市区町村が、この取組を検討しているみたいですよ。

ふるさと住民票

[まち・ひと・しごとで、地方創生/第2回]

深谷 信介(ふかやしんすけ)さん
博報堂ブランド・イノベーションデザイン副代表、スマートx都市デザイン研究所所長。メーカー・シンクタンク・外資系エージェンシーなどを経て、博報堂入社。事業戦略/新商品開発/コミュニケーション戦略等のマーケティング・コンサルティング・クリエイティブ業務やプラットフォーム型ビジネス開発に携わり、都市やまちのブランディング・イノベーションに関しても研究/実践を行っている。富山市政策参与、鳥取県琴浦町参与(内閣府より派遣)、総務省/地域力創造アドバイザー、千葉県地方創生総合戦略策定懇談会委員、名古屋大学未来社会創造機構モビリティ社会研究所客員准教授、茨城大学社会連携センター顧問なども請け負う。エッセイ、日本トコトコッ(地域連載エッセイ)日本タイダン。(地域連載対談)を執筆中。