高知県須崎市の公式マスコットキャラクター「しんじょう君」とともに、須崎市のPR活動を行っている「元超公務員」の守時健さんが、コロナ禍におけるゆるキャラの役割について語ってくれました。
コロナウィルスのせいで、ゆるキャラたちが大ピンチに
これ、ゆるキャラブームがなぜ発生したかってところにも関わるんですが、人気キャラならちょっとした芸能人くらいの集客力があります。(しかもご当地のPRなら無料で来てくれる→イベント会社さん「えっ!これ芸能人呼ぶより安く済むじゃん」ってのがゆるキャラブーム発生の1つの理由だと思っています。)
そして、新型コロナウイルスが世界中の各産業に甚大な被害を及ぼしていますが、「イベント集客が取り柄であるご当地キャラ」と「人を集めてはいけないコロナ禍」の相性たるや最悪です。
参加イベントはすべて中止、延期となりました。存在自体がピンチです。
ただ、われわれも「ああそうですか終息するまでゆっくりしておきますか」というわけにもいかないし、この状況でどうやってご当地キャラの役目であるご当地のPRを行うか。コロナ禍で甚大な被害をうける地元の観光、産業をどうお手伝いするか。真剣に考えないといけない時代になってしまいました。
全国各地のゆるキャラたちが新しい取り組みを実施
しかし、そこは百戦錬磨のご当地キャラの皆様です。全国各地でさまざまな取り組みが行われています。
品川区大崎のご当地キャラ、大崎一番太郎は「コミケで疲れた人の避難所」として、コミックマーケット開催中に「コミシェル」というイベントをJR大崎駅で毎年開催していましたが、今年はなんとネット上で開催してました。
また、大崎一番太郎、スパンキー、ノン子(いずれも大崎のご当地キャラ)の声優を担当する山口勝平さん、中谷一博さん、林りんこさんがコミケ期間中混雑する大崎駅のために構内放送を提供しているのですが、今回は感染症防止アナウンスを無料配布。SNSでお店の営業時間や休業の告知をお手伝い、イベントで配布予定だったシールやフリーペーパーを通販のおまけにつけたり、大崎駅と戸越銀座でキャラクターの塗り絵を配布するなど、地元に根ざした活動をしています。
ほかにも埼玉県志木市のご当地キャラ「カパル」は地元の魅力を伝えたり、ファンとの交流をインターネット上でライブ配信の形で行っています。しかもなんとVLiver化。しゃべるようになりました。
普段はしゃべるタイプのご当地キャラではないカパルが、ネット上ではしゃべってファンと交流っていうことも、もしかしたらコロナ禍でなければ実現しなかったことかもしれません。
われわれ高知県須崎市も、この状況でなんとか地元の事業者さんの手助けができないかと、急遽しんじょう君のグッズ通販サイトをつくり替え 高知かわうそ市場に。地元の事業者さんの、本来なら高級料亭にいくはずだった魚介類、店舗の休業により行き場を失ったすばらしい特産品を販売できるようにして(2日で。実話。なかなか辛かった)、お得な価格で販売して皆様の自粛生活を少しでも楽しくできるような活動をしています。
これで困ってる事業者を救えるとは思っていませんが、少しでもわれわれにできることをしようと4月22日から始まったこのサイト。ありがたいことに現在で数百万円ほどの売り上げがあります。(一応言っておきますが、この事業でわれわれ手数料はとってません。完全ボランティアというか赤字)
ついでにライブ配信も開始、配信内で地元の事業者さんに出演いただき、直接特産品の魅力をつたえる活動も行っています。こちらもとても好評です。
ゆるキャラに求められるのは、ネットを通じたプロモーション力
集客命のご当地キャラですが、イベントがなくなったからといって、役目がなくなったわけでは決してありません。それどころかSNSの情報発信力(ご当地キャラってちょっとした芸能人さんくらいフォロワーいるキャラ多いので)や、インターネットを活用してさらなる地元のプロモーションが必要となる時代になってきたと考えます。
あとこんな時期にとても間が悪いんですが、この前まで超公務員って呼ばれてましたが市役所やめました。詳しくはブログに記載しています。
※この連載も元超公務員の地方元気塾に変更しました。
ほかの事例もたくさんあって、紹介したい事例はあと65個あるんですが文字数の関係でこの辺で。それではまた次回。
守時 健
高知県にある須崎市役所元気創造課に所属していた「元超公務員」。同市の公式マスコットキャラクター「しんじょう君」とともにPR活動を行う。内容は観光PRにとても役立つ(嘘です)ブログもやってます。