困っている地方をふるさと納税で支援。企業版もあります

 [まち・ひと・しごとで、地方創生]

コロナウィルスの影響で地方経済は大きな影響を受けています。そんな地方をふるさと納税で応援しようという提案を、博報堂スマートx都市デザイン研究所所長の深谷信介さんにもらいました

ふるさと納税を活用して、困っている地方を応援できる

虹がかかる田

 緊急事態宣言で外出自粛となり、ご自宅内で慣れない在宅ワークに悪戦苦闘という方もいらっしゃったのではないでしょうか?

 生活必需品は近くのスーパー・コンビニへ。これも3密を防ぎながらのお買物は結構気を使います。近所のお店も行き尽くしてしまい、若干外出の楽しみも薄らいできているかも知れません。

 大都市にお住いの方は、いわゆる仕事中心から自宅中心の暮らしへ移行し、3度3度のお食事にあらためてありがたさを感じたり、掃除・洗濯・炊事と家事の大変さとありがたさと素晴らしさを感じたり。暮らしぶりを見つめ考えるいいきっかけにもなったのでは。

 こんなときこそ、物流に携わる方々に深く感謝をしながら、日々の暮らしを彩るふるさとの産品を取り寄せてみませんか?

 外から人がぱったりとこなくなっている地域は、あらたな大変さが生まれているのです。いつも出荷できてた農産品・海産物、お肉に加工品までが出荷先を失って、行き場がなくなっているものも少なくありません。
 
 私がお手伝いする鳥取県琴浦町は、米も野菜も果物も、魚も牛も鳥も豚も、そして牛乳も、自然な食べ物の宝庫。皆さんにたくさん味わってほしい、そんな思いから『新型コロナ被害支援プロジェクト』を実施中。ここでは、行き場をなくした豚肉やウィンナー、お菓子などを提供しています。

 また、進学や単身赴任で離れて暮らす家族へ、お米や野菜、加工食品などを贈るキャンペーンも実施中。家族の健康を願う方のニーズもあって、好評だそうです。
 

企業版ふるさと納税制度は、企業が地方自治体を応援できる仕組み

 そして企業にも、地域を支える仕組みが少し前からあるんです。『企業版ふるさと納税制度』と呼ばれるもので、企業が自治体に寄付すると税制上の優遇が受けられるというもの。呼び名の通り、みなさまが慣れ親しんだ「ふるさと納税」とほぼ一緒。

 2016年からスタートした制度ですが、すでに多くの自治体が導入しており、利用する企業も増えています。

 ちょっとした企業の方々の心遣いが、地域をぐいっと元気にする、そんな仕組みです。

 皆さんの日常にちょっとした彩りを、地域にちょっとしたエールを贈るふるさと納税制度。

 今こそ、ふるさと納税で、地域の日々の暮らしにも目を向けて、支えていただければと思うのです。

[まち・ひと・しごとで、地方創生/第3回]

深谷 信介(ふかやしんすけ)さん
博報堂ブランド・イノベーションデザイン副代表、スマート×都市デザイン研究所所長。メーカー・シンクタンク・外資系エージェンシーなどを経て、博報堂入社。事業戦略/新商品開発/コミュニケーション戦略等のマーケティング・コンサルティング・クリエイティブ業務やプラットフォーム型ビジネス開発に携わり、都市やまちのブランディング・イノベーションに関しても研究/実践を行っている。富山市政策参与、鳥取県琴浦町参与(内閣府より派遣)、総務省/地域力創造アドバイザー、千葉県地方創生総合戦略策定懇談会委員、名古屋大学未来社会創造機構モビリティ社会研究所客員准教授、茨城大学社会連携センター顧問なども請け負う。エッセイ、日本トコトコッ(地域連載エッセイ)をまとめた書籍が発売中。