高知県須崎市の公式キャラクター「しんじょう君」とともに、市のPR活動を行ってきた元「超公務員」の守時健さん。公務員を辞め地域商社を立ち上げた彼が、ふるさと納税がなくなったら自治体はどうするのかを考えました。
ふるさと納税は地方と都会の格差を埋めるために生まれた
都会にお住まいの皆様には想像がつかないし、興味もないかもしれませんが…地方と都会って格差がヤバいんですよ。
そんで、しかも地方の若者ってみんな都会に行っちゃうんですよ。地方がない中でたくさんのお金を教育のために使ったのに、税金を納めてくれるあたりで都会に行っちゃうんですよ!
やっぱり子どもにはよりよい教育を受けて欲しいじゃないですか。だから、すごい田舎とかでもがんばってお金を使って図書館とか立てるじゃないですか。その結果が都会行きですよ!!
そんな感じで、地域の格差を埋めるとか、仕事の都合でふるさとを離れたけれど、自分の地元に税金を払いたい。応援する地域を選べるようにしたい。ってことでふるさと納税は生まれました。(たぶんです。つくったの僕じゃないので)
でもこの制度のおかげで、東日本大震災のときには400億円を超える寄付が集まったり、地方の特産品がたくさん流通したり、寄付を有効活用して地域が活性化したり。いろいろありながらも、2018年度には年間のふるさと納税の総額は全体で5000億円を超える規模まで成長しました。
地方からすれば市には寄付が集まり、特産品の事業者さんは特産品をたくさんの方にお届けして、寄付金を有効活用して地域を活性化させたり。とてもいい制度なんですけど、みんな同じことを考えるのが今回のテーマでもある「ふるさと納税が無くなったらどうするのか問題」です。
ふるさと納税がなくなったら自治体はどうなるのか?
私たちの高知県須崎市でも、ありがたいことに年間10億円を超える寄付をいただいております。大体3割くらいがお礼の品代、2割くらいが郵送料とか諸々。5割が市に入って、寄付者様の指定くださった使い道で地域活性化に使われます。
すごい額ですよ。年間3億円とかの事業者さんの売り上げや、5億円の税収がなくなったら地方の自治体は大惨事ですよ。中には、ふるさと納税のお礼の品の販売で生計を立ててる事業者さんだって絶対いるわけですし、ストレートに死活問題なわけですよ。
そこで、ふるさと納税がなくなったときのために、特産品を売る場所をみんな模索するわけですよ。
最初に話にあがるのは、通販サイト(EC)。なんとなくふるさと納税と通販サイトって、見た目やインターネットで注文して何か届くところが似てるじゃないですか。
だから皆様こぞって自治体で通販サイトをつくってみるんですが、まあことごとくうまくいかないんですね。(理由は自治体に限定するとラインナップが貧弱になるとか、そもそもECが地獄のレッドオーシャンとかいろいろありますが、とりあえずおいといて)
自治体がつくった通販サイトが楽天さんとかAmazonさんに勝てるわけないじゃないですか。絶対無理です。そもそもちょっと考えたら寄付と通販って全然違うものなんですよ。
じゃあ直販所をつくってみよう!とか、商圏を広げてみよう!とかいろいろ考えて、まあ成功事例もいっぱいあるんですが、決定打ってあんまりないうちに、ふるさと納税担当者(割と激務)は日々の業務に追われ、繁忙期である年末年始も休みなく働き…。
将来、ふるさと納税がなくなったときのことより、目の前で困ってる事業者さんを助けることや、地元の自慢の特産品を全国に広めることや、寄付金を使って地元の困りごとを解決するほうに力を使うことに注力するわけです。世界の仕組みと同じです。
まあ個人的にはふるさと納税がなくなったときのことより、コロナ禍に公務員やめて地域商社つくっちゃったんで、明日自分が生きてるかの方が全然心配なんですが。
運営を委託されたしんじょう君(須崎市のマスコットキャラクター)は、コロナ前は集客力の強さでひっぱりだこでしたが、今は集客自体が完全に相性が悪いし。
ああ、私たちに安心はいつか訪れるのか。
ああ、誰も傷つかない世界は実現するのか。
ああ、ふるさと納税なくなったらふるさと納税で利益あげてた業者さんたちどうしよう。
って感じだったんですが、ちょっと解決方法見つかったかもしれません。
それは何かというと通販サイトです。
さっき絶対無理っていった通販サイトです。