「ものを生み出す」ふるさと納税を目指す
守時:そこまでふるさと納税に熱くなれる理由って何があるんですか?
小値賀さん:私がやってることって、黒瀬さんが発信してる「ふるさと納税のあるべき姿」を証明することになると思ってるんですね。これはふるさと納税への恩返しなんです。黒瀬さんはじめとする平戸市の職員、寄付者の皆様、一緒にビジョンを共有して走ってきたふるさとチョイス(ふるさと納税サイト)さんのおかげですから。
現状のふるさと納税って「返礼品がどれだけ豪華」「いくら寄付額をあつめた」ばっかりじゃないですか。一方で、平戸は高額寄付者が多かったり、寄付は多いけど見返りを求めていない方が多いんですよね。それにみんな手をつけてないと思うんですよ。
今、平戸の海が乱獲されてて資源が次世代に継承できない。そこで寄付者とコミュニケーションとって平戸の漁師さんを海の環境を守るために雇用したり、寄付者さんが「自分が平戸の海をきれいにした」、そういえるような未来へのコミュニケーションというか、ものを出すのではなく生み出す。そんなふるさと納税にしたいと思ってるんです。ふるさと納税ならそれができる。てゆかそもそもふるさと納税はそれが本質だと思うんです。
守時:私は個人的に、ふるさと納税は最初「お得」だとか「節約」でいいと思ってるんですよね。そして自治体に寄付して、その自治体が使い道を報告してくれたりして、そこから地域のファンになったり、物以外の目的の寄付に繋がったらいいなと思ってます。
だっていきなり「おっしゃ! 見返りいらないけど、この見ず知らずの地域のために寄付するぞ!」ってならないと思うんで。あんまり寄付の文化が浸透していない日本は特にかもしれません。
それと、地域にとって産業の発展にはすごい貢献してると思うんです。それこそ小値賀さんみたいに0から今までなかったものをつくってブランディングしていったり。それって今までは最初から地獄のレッドオーシャンで戦わないといけなかったのが、ふるさと納税っていうほんの少しだけ優しさ溢れる市場で練習できるというか。田舎で暮らしてていきなりスイーツで東京と戦えってまず無理なので。
生産のプロから見た地域商社の必要性
小値賀さん:そうなんですよ! 地方は生産のプロであって、ブランディングとか流通とかネットのプロではないんですよね。地方の高齢者とかにそれやれって無理無理。そんなものに対応する時間もないくらい、いいものをつくることに必死な人たちに、ブランディングが大切だとか都市部でがんばれとか無理。私も若年層ですが死ぬほどがんばってこれなんで、それを高齢の生産者さんにやれとか無理だし、なにより優しくない。
守時:まあ100mを5秒で走るとスポーツ選手になれるからがんばれ!みたいな話ですよね(笑)
小値賀さん:だから、そこに守時さんみたいな、しんじょう君をつくってマーケティングして、流通させてコミュニケーション、ブランディングを行い、生産者さんの魂がこもった特産品を、魂こめてプロモーションして流通させた。それをやってみせたから守時さんってすごいと思うんです。
守時:えっ。なんか突然私の話が始まりましたが。(お金払わないといけないのかな)
小値賀さん:そこは生産者とは別軸のプロセスだと思うんですよ。だからこそ地域商社が必要なんです。生産のプロと、ブランディングや流通のプロの組み合わせみたいな。だから守時さんがやってるような地域商社の仕組みは日本にはまずない。
守時:あ、ありがとうございます!!(ポケットから千円札を取り出しながら)
小値賀さん:そして、臨界点を突破するための積み重ねと継続がいるんですよね。それには地元愛、どうにかしないといけない気持ちが絶対必要。それが都会の広告代理店とかが地域に来てもうまくいかない理由だと思います。
守時:まあ確かに地元のことを理解してないと、プロモーションのやりようがないですもんね。
小値賀さん:みんなそのプロセスを見てないんですよね。高知のものを、守時さんがこんなに売りまくってるのは今までのプロセスがあるから。結果ではなくそれをみないと。
守時:何ていうか地域商社って難しいんですよね。普通の企業なら儲かっても黙っておいたらいいんですけど、地域商社の場合行政や県民に対して一定の成果のアピールも必要というか。じゃないと何やってるかわかって貰えないじゃないですか?なのでメディアで「高知の特産品を何億円売りました」とか「こんなにいっぱいテレビ出ました」っていうんですけど
小値賀さん:いいじゃないですか。
守時:それがですね。皆様からめっちゃ儲かってると思われてるんですよね。
小値賀さん:(笑)
守時:ECサイトとかは生産者応援でやっているんで、ほぼ原価でやってますし、注文がすごい数になったので人員何倍にもしたり、コールセンターを開設したり。送り間違いや不備があれば無償で再発送させていただくんですが、そんなこともあってほぼ儲かってないんですよね。
小値賀さん:それは辛いですけど、地元のためになるんだったらいいじゃないですか。
守時:いや、そこはいいんですが。
小値賀さん:何か困ることでも?
守時:儲かってると思われてるんで、変な電話いっぱいかかってくるんですよね。投資しないか?とか、金貸してくれとか
小値賀さん:知らんがな(笑)
と、いうことで今回のゲストは平戸の小値賀布美華さんでした!
本当にありがとうございます。
もの目当てでも地域貢献でも、ふるさと納税を活用して
皆さん、もう今年のふるさと納税はすまされました? 12/31までなんでまだの方は急いで、初めての方は割と簡単なんで挑戦してみてください。ふるさと納税制度にそもそも反対の方は、これを機にものを目的としない寄付もいいかもしれません。寄付って小額でもめっちゃいいことした気分になれますよ。多分。
そもそもふるさと納税って最初はお得だとかもの目当てでいいと私思うんですよね。そっからいろいろな世界を見て、寄付の文化に1mmでもつながればいいと思ってるんです。
なのでお得やもの目当ての方はふるさと納税人気ランキングから選んだらいいと思うし
「この地域を応援したい!」って方は地域で選んだらいいと思うし
この記事で小値賀さんの生き方がすごいと思った方は平戸ミルクのキャラメルブリュレ8種セットか長崎県特産品新作展最優秀賞受賞 塩生キャラメルMANGETSUセットとか小値賀さんのお礼の品を選んだらいいと思うし
「地域の課題解決に貢献するんだ!」っていう上級者の方は「ものを目的としないふるさと納税」のGCFがいいかなと思うし。
皆さんが家族や恋人と楽しくお食事してるクリスマスイブの夜に、1人ぼっちでこの原稿を書いているバツ1のおっさん守時がかわいそうだと思う方は須崎市に寄付しなさい。今すぐです。
それでは皆さんごきげんよう。
小値賀 布美華
長崎県平戸市生まれ。2016年に母になった事を転機に専業主婦からスイーツブランド「心優-cotoyu sweets-」で起業。平戸市ふるさと納税返礼品にて、2017年通年カタログに採用された初月から5ヶ月連続スイーツ部門1位に。2019年10月に新ブランド「firando」設立。代表を務める。
守時 健
高知県にある須崎市役所元気創造課に所属していた「元超公務員」。同市の公式マスコットキャラクター「しんじょう君」とともにPR活動を行う。内容は観光PRにとても役立つ(嘘です)ブログもやってます。