全国のさまざまな返礼品を取り寄せている、ふるさと納税コンサルタントの小野くみさん。今回は、もし不良品が届いてしまった場合どうするべきなのかを、自治体担当者の意見も踏まえつつ考えてみました。
がっかりな返礼品が届いてしまうこともある
農家さんが丁寧に詰めて送ったはずなのに配達途中で形が崩れた野菜や果物、シーズン終盤で見た目にはわからないけど食べたら水分が飛んでしまっていたかんきつ類など…。ふるさと納税の返礼品で残念な思いをしたことはありませんか? ごくごくまれなことだと思いますが、そんなときは悲しみも大きくなってしまいます。
以前、脂身ばかりのお肉が届いたというニュースを聞いたとき「人気なお品なだけに数ある中からチェックがもれて送られてしまったのかもしれない」と自治体目線で想像したことがありました。実際のところはわかりませんが、そうだとしたら小さな町の事業者さん、ちょっと気の毒です。
私がお付き合いのある自治体の担当者さん、事業者さんたちはとても誠実に仕事をされていますが、事故が発生してしまうことはあり得ます。昨今は、SNSなどの炎上リスクとも隣り合わせで気を抜くことはできません。
一方、そんなお品が届いたとき、寄付者はどうするでしょう?
「寄付なのだから言うのはおかしい?」と悩んでみたり、「伝えもしないけど二度と寄付しない」と悪印象だけが残ったり、ECサイトでは許されないことなのだからふるさと納税も同じことだとはっきりと伝えたり、その対応はいろいろ。
今回はそんなときにお互いが歩み寄れるようなヒントを求めて、北海道栗山町でふるさと納税を担当している「オフィスくりおこ」の金谷美咲さんに話を聞いてみました。金谷さんが「栗山町の場合は」と前置きをしながら教えてくれたポイントは以下の4つ!
不良品が届いたときに押さえておきたい4つのポイント
1 返礼品の情報詳細をよく見る
寄付者の方にベストな状態で届けられるよう詳細ページに大切な情報を掲載しています。今一度、配送時期や注意点をご確認下さい。(状態例:ジャガイモの品質を保つため土つきで発送。大きさにばらつきがある。取扱例:すぐに開封しメロンの状態を確認下さい)
2 受け取り後、すぐに中身を確認する
メロンやトウモロコシなどの生ものは、発送後不在が続くと品質が落ちてしまうことがあります。寄付者の都合で長期受け取りができず品質が落ちてしまった場合、再送ができなくなります。申込時に不在期間を記載していただければ可能な限り対応しますし、申込後に長期不在となった場合には早めに連絡をいただければと思います。まずは受け取り後すぐに中身の確認をお願いします。
3 不良品と思われるものが届いた場合、直接連絡を
よりよい状態で楽しんでいただきたいと強く思っていますので、すぐに廃棄せずまずはご連絡を。寄付者からの意見は改善のヒント。実際、いただいたご意見から課題が見つかり、梱包方法の改善につながったこともありました。
4 届いた状態の写真を残しておく
商品の状態によって再送対応が可能な場合があります。その際に必ず必要となるのが「届いた状態の写真」。痛みなどがみられる場合はその部分を撮影し、報告下されば対応を検討できます。
最後に「栗山町の返礼品の多くは農産物。天候や自然災害などで発送時期がずれてしまうこと、配送中の事故で痛みが出てしまうこともあります。そのような場合、誠心誠意対応させていただきます」とのことです。
栗山町以外にも静岡県焼津市の担当者さんからは、「ご寄付に対してのお礼ですから劣化した物を送ることはないのですが、魚類は肉類と違い、家庭用冷凍庫での保存期間が短く、また宅配業者の保管期間中に商品が劣化することもあります。受け取りはお早めに」という声もいただきました。
まとめてみると長期不在の連絡など寄付者が気をつけることもあることもあるようですし、まずは事務的に必要になるであろう写真などを撮って連絡、見た目にはわからないものについても、相談してみるのがいいかもしれません。
自治体さんも喜んでもらいたいという気持ちで取り組まれていることがあらためてわかりましたが、それでも起こる事故は仕方がないもの。
私たち寄付者は自治体の背景を想像し大らかな気持ちで受け止め、そのかわりモヤモヤは今後のヒントとして共有。そんな気持ちで伝えたらどうでしょうか? 残念を伝えることを躊躇する方も、その自治体を知り仲よくなるきっかけになれば、結果オーライだと思います。
小野くみさん
ふるさと納税コンサルタント。自治体や事業者と寄附者との橋渡し役や、返礼品の開発、記事の執筆、イベントの企画、セミナー、講演などを行う。また、ふるさと納税ブロガーとして『くみくみのふるさと納税返礼品の記録』を運営中。
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