岩手県が全国1位の生産量を誇る「山ブドウ」。栄養価が高く昔は薬代わりに用いられたそう。岩手県出身で俳優の藤原絵里さんが、お気に入りの山ブドウチーズケーキと共に紹介してくれました。ふるさと納税の返礼品でも人気です。
東北の気候が育んだ野生のブドウ
山ブドウは、自然に恵まれた東北北部に多く自生している日本古来の野生のブドウで、今は人の手で品種改良も重ね、畑でも栽培されています。岩手県久慈(くじ)市は生産量日本一の県内でも約40%を占める山ブドウの産地です。
一般的なブドウの収穫時期は8~10月、早いと6月のものもありますが、久慈では冷涼な気候が山ブドウをゆっくり成熟させるため、完熟する収穫時期は9~10月とかなり涼しくなってから。
岩手県では11月半ばには初雪が降るため、冬眠前に栄養を求める熊が食べてしまう前に、収穫するそうです。
鉄分、カルシウム、ポリフェノールがブドウの6~8倍
山ブドウは普通のブドウに比べて酸味や渋味が強いため、生食はあまりおすすめできません。熟成すると甘味が濃く糖度15%以上といわれることもあるのですが、実が小さくてタネが大きく食べにくいため、ジュースやワイン、ジャムやお菓子などに加工されるのが一般的です。
昔は山ブドウの絞り汁を薬として飲んでいたということです。栄養価が高く、鉄分は一般的なブドウの約6倍、カルシウムは約7倍、ポリフェノールは約8倍を含みます。滋養強壮にも効果があるといわれ、産前産後の疲労回復などにも珍重されてきたそうです。
山ブドウを凝縮したソースが決め手。絶品チーズケーキ
筆者のお気に入りは山ブドウのチーズケーキ。ふるさと納税の返礼品にも選ばれている「沢菊」の「Wチーズケーキ」は、1層目がスフレチーズケーキ、2層目はレアチーズケーキになっていて、その表面と中に山ブドウのソースがたっぷり入っています。
小さな山ブドウの実から取れる貴重な果汁を凝縮し、糖度を30%に仕上げたぜいたくなソースを表面にひとつひとつ絞り、「久慈地方の蛍の群舞」を表現しています。ほどよく酸味がある山ブドウとチーズケーキのハーモニーは、食べる手が止まりません。
1930年に開業した「沢菊」は、見た目や味はもちろん、地域の文化や物語に根づいたお菓子づくりをモットーとしたお菓子屋さんで、洋菓子にも力を入れています。
筆者がこのチーズケーキを知ったきっかけは、内祝いにいただいたことでした。それ以来、自分でもお誕生日やちょっとしたお礼などに取り寄せて重宝しています。
お取り寄せは冷凍で届くので、シャーベット状と、解凍してからと、2度楽しめます。サイズは2種類から選ぶことができるのもうれしいところ。自分へのごぼうびにもおすすめですよ。ぜひ、味わってみてください。
<取材・文/藤原絵里>
<取材協力/沢菊、久慈市、食品データ館、ヤマブドウの機能性成分と産業利用(小浜恵子)>
藤原絵里さん
俳優。岩手県盛岡市出身。23年間、岩手県で生まれ育つ。短大を卒業し、地元の温泉旅館の仲居に。着つけや日本文化に興味をもつ。その後、カタール航空のキャビンアテンダントへ転職。約4年、国際線に乗務し世界44か国を訪れる。海外での経験を通して、日本のよさ、岩手のよさを再認識する。現在は、女優として、映画やミュージカルに出演。代表作は速水萌巴監督『クシナ』、榊英雄監督『生きる街』など、多数。日本や東北の魅力を伝えられる作品にかかわっていきたいと思っている。
カラふる×ふるさとチョイス