カボスやチョコが話題に。大分・臼杵煎餅の新フレーバー登場

[くみくみのふるさと納税ダイアリー]

全国のおいしいもの、すてきなものを返礼品でお試ししている、ふるさと納税ブロガーの小野くみさん。今回は大分県臼杵市でつくられる、伝統あるせんべいメーカーの新たな挑戦をレポートしてくれました。

臼杵煎餅はショウガがきいた、甘さ控えめ大人の味

臼杵煎餅をつくる後藤製菓の若専務

 臼杵煎餅を初めて知ったのはふるさと納税イベントでのこと。そこでサッと渡してくれたのがさわやかイケメン、後藤製菓の専務さん。
 せんべいという古風な響きと今風な専務、そのミスマッチはPR作戦か?と思えるほど臼杵煎餅の印象がバッチリと残る出会いで、以来イベントで見かけると遠慮なく声をかけさせてもらっています。

 さて、皆さんは臼杵煎餅をご存じでしょうか? 九州出身の人に見せると、「これこれ!」とパッケージに描かれた石仏のイラストに懐かしさを覚えるお菓子のようです。

臼杵煎餅
 
 袋から出すと、焼き上げでできる楕円状の盛り上がりがそのままに、表面には荒目の刷毛で塗られた無数の砂糖蜜線。手に取ると想像したよりも軽く、その重さを確認するようにたたいてみるとカラカラと乾いた音、砂糖蜜が塗られているのに甘さよりも先にショウガ味を感じるのは、砂糖に混ぜられたショウガ液の絶妙な配合があるのでしょう。

 個包装で湿気から守られたおせんべいはパリンと食感よく崩れ、ショウガの辛さと小麦の甘さが口の中でいい塩梅に混じり合い、甘さ控えめの大人受けするおせんべいなのです。主な原材料は小麦粉、ショウガ、砂糖、卵。たったこれだけの材料で唯一無二のおせんべいをつくるなんてすごいなぁなんて、のんきに感心しながら食べるのでした。

江戸時代から続く臼杵煎餅は職人が1枚ずつ手づくり

臼杵煎餅と石仏の絵

 ここで少し臼杵煎餅の歴史を紹介すると、今から約400年前、参勤交代途上の携行食としてつくられたのが始まりとされ、かつてショウガの一大産地であったことから味付けにショウガが加わりました。

 砂糖とショウガ液でつくった蜜を棕櫚(しゅろ)の刷毛で塗る工程も当時からの伝統製法で、熟練の職人が刷毛目模様を手塗りする数、なんと1日に1人当たり1000枚!
 そういえば以前見かけた実演イベントで、職人さんが見学者の質問にいい笑顔で答えていました。なかなか表に出ることがない職人技を披露できること、認められることは心の栄養。すてきだなぁと思ったことを思い出しました。

 そんな職人さん達を束ねる後藤製菓さんは昨年創業100周年の節目の年を迎え、さまざまな取り組みをされています。そしてそれらを取り仕切っているのが、冒頭紹介した5代目となる後藤亮馬専務。
 

カボスやチョコなど、新フレーバーの臼杵煎餅も登場

臼杵煎餅の新フレーバー

 先日の自粛期間には、「自宅で臼杵煎餅手塗りセット」を提供したり、著名なアーティストとのコラボで石仏のイラストをカラフルに変身させたりと多くのメディアやSNSで話題になりました。

 また、100周年を記念して発表された「IKUSU ATIO(イクス アティオ)」は、女子にプレゼントしたら喜ばれそうなパッケージに、カボスやチョコレート味が加わった新ブランド。食べ比べができるひと口サイズなのも女子にはうれしいポイントです。

 なかでも私のおすすめはかんきつ系のさわやかさを感じるカボス。でも「かぼすはミニサイズに合ったフレーバー、大きなサイズに合うのはオリジナルのショウガ味かなぁ」とも感じ、IKUSU ATIOを通し過去の積み重ねのうえに今があること、後藤製菓さんの歴史が見えたような気がするのでした。

 後藤専務に、「歴史ある企業、若専務の数あるチャレンジを社内ではどう思われていますか?」と質問したところ、「『不易流行(ふえきりゅうこう)』、古く昔ながらのものを守りながら新しいことに挑戦する社風なのでとくに問題はありませんよ」と飄々とした答え。

「臼杵煎餅をたくさんの人に知ってほしい、それは長く続いた伝統を受け継ぎ、先人達が守ってきた灯火を守っていくことにつながりますので」と続けた言葉に、この1年取り沙汰された商品や企画の意味がストンと胸に落ち納得できたのでした。

 さわやかイケメン、そんなミーハーな出会いだったのに、じつは経営感覚をもって家業を受け継ごうとしているのが本当の姿。「せんべい王子」なんて呼んでしまったこと、謝ります。

<写真・文/小野くみ>

[くみくみのふるさと納税ダイアリー/第10回]

小野くみさん
ブロガー。2014年から、ふるさと納税の楽しさに目覚め、返礼品のレビューを中心にブログ「くみくみのふるさと納税返礼品の記録」にアップしている

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