イモ、クリ、カボチャをはじめスイーツがいっそう魅惑的になる秋。今回は北は岩手、中日本から岐阜、南は佐賀と、日本各地から100年以上の歴史を誇る和菓子の銘菓を、ふるさとチョイス広報部が教えてくれました。温かいお茶とほっこり味わうにもいい季節です。
わらび粉100%で手練りにこだわる伝統の「わらび餅」
岩手県西和賀町は「西わらび」が有名な地として知られています。かつて西和賀町ではお米の品種改良が進んでいませんでした。そのため、お米が冷害に見舞われるたび、わらびの根から「わらび粉」をつくり、生活をしのいでいました。「西わらび粉」でのわらび餅は、そんな古くから人々の救世主だったわらびを地域の特産品にしようと、つくられ続けてきました。
今回紹介するのは、お菓子処たかはしさんでつくられた「西わらび餅」。一般的なわらび餅は安価なでんぷんで代用するところが多いのですが、ここでは西わらび粉の本わらび粉を100%使用。根を植えてからわらびができるまでには3年を要するうえ、わらび粉が採れるのは根の5%ほど。1kgのわらび粉の市場価格は2~3万円にもなる高級品です。
「西わらび餅」は貴重なわらび粉をふんだんに使い、手練りにこだわります。その理由は「完成する固さやタイミングを手が覚えているから」。古くから伝わる貴重な「西わらび」と機械に頼らない職人のこだわりがつくり出すわらび餅です。
100年守り続けられた味。岐阜県銘菓「栗金飩(くりきんとん)」
「栗きんとん」と聞くと、おせち料理にある栗の実を甘く煮たものを連想する方が多いのではないでしょうか。しかし岐阜県名産の「栗きんとん」は、栗を炊いて砂糖を加え、茶巾で栗の形に絞ったものを言います。
岐阜県は古くから上質な栗が採れることから、県内の各和菓子屋は9月から翌年1月頃まで栗きんとんを製造します。
創業明治5年の「緑屋老舗」さんは、現在6代目が跡を引き継ぎ、代々受け継がれてきた味を守り続けています。甘さが控えめでほくほくした食感の栗金飩は、短時間で炊き上げる点がポイント。長時間炊くと日もちはしますが甘さがねっとりとしてしまうのだそうです。
じつはこの「栗金飩」という漢字にも、「緑屋老舗に伝わる唯一無二の製法でつくる」というこだわりが込められています。効率よりもおいしさを重視し、あえて店は小規模のまま、手間ひまをかけてお客様にお届けする。100年以上経っても色あせない味を一度お試しください。
「羊羹(ようかん)」の店舗数日本一!佐賀県小城市の老舗の味。
「シュガーロード」をご存知でしょうか。江戸時代に長崎から全国各地に砂糖が運ばれた長崎街道のことで、先日、文化庁の日本遺産にも登録されました。なかでもとくに長崎から福岡にかけての街々では、菓子文化が発展したとされています。
佐賀県の小城市もそのひとつ。小城市は羊羹の街として知られており、羊羹の店舗数は日本一を誇ります。「小城羊羹」という言葉自体は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。小城羊羹には「昔風羊羹」と「練り羊羹」の2種類があります。練り羊羹は一般的に羊羹と呼ばれているもの。昔風羊羹は、表面が砂糖でコーティングされており、シャリシャリとした食感が特徴です。
創業100年以上を誇る「橘屋八頭司」では、昔風羊羹を古くからつくり続けてきました。外はサクサク、中はしっとり。なんとも趣深い本竹皮で包まれて届きます。小城ならではの羊羹は贈り物としても喜ばれるでしょう。江戸から続くシュガーロードに想いを馳せながら、ぜひ昔ながらの羊羹の味をお楽しみください。
<取材・文/ふるさとチョイス広報部>
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