―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.9/池田陽子]―
美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。前回に引き続き岡山アンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」にお邪魔し、とっておきの岡山グルメを紹介していきます。
カキ、のり、ブドウは美髪&増毛の食材
肌の手入れには余念がなくても、後回しになりがちなヘアケア。美しく豊かでつややかな髪のためには、食べて養生することも大切です。
意外かもしれませんが、中医学では髪は「血」と関係があるとしています。古来より「髪は血の余り」=「血余」といわれ、血に余裕があれば髪の状態や量もよく、血が不足してしまうと髪がパサついたり、やせて細くなったり、コシがない、抜け毛などの原因になってしまうといわれます。
血の不足は貧血、めまい、立ち眩みといった症状を引き起こし、さらに美容面においては肌のくすみ、カサつきといったトラブルも招きます。また、中医学では視力低下、不眠も血の不足が関わると考えます。
目の酷使、過度な頭脳労働、夜ふかしは血を激減させてしまいます。現代人にとってはまさに避けられないことばかり。女性だけではなく男性も、血の不足は薄毛の原因に! しっかりと血を補って豊かな頭髪維持に努めたいものです。
おすすめなのはカキ。血を補うとともに、精神を安定させる作用もあります。のりも美髪・育毛効果大。さらに、白髪の改善にも威力を発揮します。フルーツではブドウを。血を増やすとともに、人間のエネルギー源である「気」も補い、免疫力アップにも役立ちます。
今回も、岡山の食の幸がそろう、岡山アンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」からとっておきのカキ・のり・ブドウのグルメをご紹介します。
まるでチーズ!ふっくら濃厚な味わいの「牡蠣のアヒージョ」
カキ生産量全国3位を誇る岡山県。とくに瀬戸内市邑久町(おくちょう)の虫明湾は、瀬戸内海でも有数の美しさを誇る、カキの養殖が盛んな海です。全国名水百選にも選ばれた千種川が流れ込み、良質なプランクトンが発生する豊かな海では、大粒でふっくら、濃厚な味わいの牡蠣が育ちます。
邑久町虫明(むしあげ)地区に位置する「牡蠣の家しおかぜ」の「牡蠣のアヒージョ」(1134円)は、オリーブ栽培が盛んな同町牛窓のエクストラバージンオリーブオイルに、自社で養殖したカキ、ニンニクを加えて、じっくり煮込んだ商品。煮てもなお、ふっくらしたカキは豊かなコクがあり、まるでチーズのよう! ワインのおともにぴったりです。カキのうま味が染み込んだオイルも絶品。バケットにひたしたり、パスタに使えば余すことなく堪能できます。
ピカピカ、風味豊かな「岡山 若のり」
岡山は、のりの栽培も盛んです。全国ベスト10に入るほどの生産量を誇る「岡山のり」は、県東部の備前市日生町(ひなせちょう)から、岡山市・吉井川、旭川の河口域、倉敷市・高梁川の河口域を経て笠岡市沖の島しょ部までの県内13漁協で生産されています。岡山三大河川の水が流れ込んだ、栄養豊富な海で育つのりは、色、ツヤ、風味が上々の逸品です。
JF岡山漁連「瀬戸内のめぐみ 岡山若のり 味付」(705円)は、シーズンはじめに収穫される初摘み、2番摘みの味付きのり。早摘みならではのピカピカで、色ツヤ抜群ののりは、パリッと歯切れよく、とろりとやわらかな口溶け。そしてフレッシュなうま味が口いっぱいに広がります。おしゃれなラベルのスタンドパック入りなので、食卓に常備してみては?
プルプルつるん。ブドウの実のような「フルーツコラーゲンゼリー」
桃とともに、岡山を代表するフルーツといえばブドウ。生産量日本一のマスカットをはじめ、生産者たちの緻密な作業で、味わいだけではなく、見た目も美しい宝石のようなブドウが栽培されています。大粒な紫黒色の果実の中に濃厚なうま味をたたえた「黒い真珠」とよばれるピオーネも、岡山が生産量日本一を誇ります。
倉敷市「果実工房」の「フルーツコラーゲンゼリー 岡山県産ピオーネ&ベリーA」(5本入り 357円)は、ピオーネとジューシーな甘味が特徴の「ベリーA」の味わいを楽しめる、スティックタイプのフルーツゼリー。農園から届いた旬のブドウを手作業で加工した果実100%のピューレにフィッシュコラーゲン、こんにゃく粉を加えて仕上げたゼリーの表面はプルプル、つるん。かじるとジューシー。
まるで、ブドウの実そのものを食べているようなフレッシュな味わいのゼリーです。凍らせて、シャーベット状にして食べるのもおすすめ。
―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.9/池田陽子]―
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)『サバが好き』(山と渓谷社)『「サバ薬膳」簡単レシピ』(青春出版社)など