名古屋だけじゃない。ういろうは全国にあった
名古屋お土産の定番、「ういろう」。米粉をはじめとした穀粉に黒砂糖等を混ぜて蒸したお菓子ですが、ういろうは名古屋だけのお土産ではありません。小田原、伊勢、京都、神戸、山口、徳島、宮崎…。
起源には諸説ありますが、江戸時代には日本中に製法が広まり、それぞれの独自色を加えながら各地の名物となっていったんだとか。今回はそのなかでも「名古屋」と「山口」のういろうを食べ比べレポートしてみたいと思います。
さて用意したのは、愛知県名古屋市で創業140年の老舗「青柳総本家」さんの「青柳ういろう ひとくち」。そして山口県山口市で大正6年創業「本多屋」さんの「おいでませ・外郎」。
名古屋と山口の老舗のういろうを食べ比べ
名古屋「青柳ういろう ひとくち」はさくら・しろ・上がり・抹茶・くろのミニサイズ5種入り。ちなみに「さくら」は桜葉の香り、「しろ」は砂糖、「上がり」は上がり餡=こし餡、「くろ」は黒砂糖のういろうとなっています。
山口「おいでませ・外郎」は「小豆」と季節限定の「栗ういろう」。名古屋は通常のビニール包装ですが、山口は真空でピチピチにパッキングされています。また、「購入より10日以上経過した場合は真空パックのまま湯煎」を勧める文言が。
今回、比較対象として山口のものを選んだ理由がここに現れていまして、山口ういろうの特色は「わらび粉」を使用していること。おそらくその食感を活かすための真空パックなのだと思われます。
包装を解いて比較してみても、既に若干の違いが。山口ういろうの方が水分量が多い感じというか、しっとりしていますね。
名古屋はお米の風味、山口はつるつる触感
ではいよいよ食べ比べ。まずは名古屋の「青柳ういろう ひとくち」から……。うん、何度も食べたこの感じ、安定のおいしさ! 国産米粉を使用し、1時間じっくり蒸し上げるというこのういろう、まさにお米の味と食感が感じられてフワフワもちもちしています。「さくら」はきちんと桜の葉の風味がありますし、「くろ」の黒砂糖の甘さもちゃんと感じられておいしいです。名古屋に取材旅行に行ったときも、アシスタントさんへのお土産はリアルにこれでした。お世話になっています。
さて一方、山口の「おいでませ・外郎」はと言うと……おお、結構違う! こちらの方がさすがわらび粉入りだけあって、プルプルもちもち、甘味も強く感じられます。まさに「わらび餅」を彷彿とさせる心地よい食感です。「栗」も相性抜群でおいしいですね。食べごたえ・お米感は名古屋の方が強いかな?
そんなわけでお米の風味や食べごたえに関しては名古屋の「青柳ういろう」に軍配、つるつる食感と甘味では「おいでませ・外郎」の勝利、と言ったところでしょうか。
同じお菓子でも地域によって異なる発展を遂げているというのは「お土産らしさ」と言いますか、まさにご当地のものを贈る・食べる楽しみに直結する魅力だと思います。次は更にほかの地域のういろうもお試しして、ういろう道を極めていきたいですね。
青柳総本家
『青柳ういろう ひとくち 5個袋入』486円(税込)
日持ち ★★★★☆
配りやすさ ★★★★☆
お米感と食べごたえ ★★★★★
本多屋
『おいでませ・外郎 10本入』1,280円 (税込)
日持ち ★★★☆☆
配りやすさ ★★★★☆
わらび餅のようなプルプル感 ★★★★★
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。