梨や豆腐がおすすめ。美肌をテーマにした鳥取の「白い食材」

[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.10/池田陽子]

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は鳥取のアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」にお邪魔し、美肌をテーマに薬膳グルメを紹介していきます。

乾燥する季節。薬膳で肺に潤いを与えるのは「白い食材」

とっとり館
JR新橋駅徒歩1分のところにある「とっとり・おかやま新橋館」
 
 肌がなんだかカサカサ。粉吹き状態が悪化してシワも気になる…。みずみずしい肌をつくるためには身体の中から潤いをチャージすることも大切です。

 しっとりした潤い美肌の要となるのは、中医学的には「肺」です。肺は皮膚との関連が深いとされ、肌に潤いを与えたり、その表面をガードしたりすると考えられています。よって、肺の働きが弱ると肌にその状態が現れて、肌が乾燥したり、シワができやすくなるのです。

 とくに空気が乾燥する秋冬は、肺も乾燥しがち。恐ろしいことに、秋は1年でもっともシワができやすい季節だそうなので、肺をパワーアップして潤いを与える食材をしっかりと取り入れましょう。

 薬膳において肺に潤いを与えるためには、白い食材がよいとされています。野菜ではレンコン、ナガイモ、大根、魚介類はホタテやカキ、フルーツであれば梨、そのほか豆腐、豆乳などが乾燥肌に役立ちます。

 そこで、今回は鳥取アンテナショップ、とっとり・おかやま新橋館にお邪魔し、鳥取ならではの白食材グルメをご紹介します。

果実感いっぱい。ぜいたくな味わいの「二十世紀梨ジュース」

二十世紀梨ジュース
アグリネット琴浦「贅沢二十世紀梨ジュース」(1998円)
 
 鳥取県を代表するフルーツといえば「梨」。さまざまな品種が栽培されていますが、「二十世紀梨」の出荷量は日本一を誇ります。明治37年(1904年)に、千葉県から導入され、傾斜地でも栽培できることから作付面積を増やし、全国一の産地となりました。

 100年以上の歴史をもち、卓越した技術で栽培された鳥取県の二十世紀梨は、透き通るような美しい淡緑色で、酸味と甘味のバランスがよくさわやかな味わい。シャキシャキした食感、みずみずしくあふれるたっぷりの果汁も魅力です。

 アグリネット琴浦「贅沢二十世紀梨ジュース」(1998円)は、二十世紀梨をまるごと絞ったストレートジュース。一口飲むと、梨をかじったかのような、みずみずしくさわやかな甘味が口の中に広がります。また驚くほどコクがあり、濃厚でまろやか。ぜいたくなまでに「果実感いっぱい」のジュースは、炭酸で割ったり、飲むヨーグルトと混ぜていただくのもオススメです。

驚くほどみずみずしい!「梨とらっきょうのディップ」

らっきょう
田畑商店「梨とフルーツらっきょうのディップ わさび入りタルタルソース」(580円)

 とっとり・おかやま新橋館では、梨を使った調味料も人気商品です。

 田畑商店「梨とフルーツらっきょうディップ わさび入りタルタルソース」(580円)は二十世紀梨と、梨同様鳥取の特産品である「砂丘らっきょう」を使ったディップ。二十世紀梨でつくられたオリジナルソースに漬け込んだラッキョウを細かく刻み、ワサビ風味のタルタルソースに加えた逸品です。

 その味わいはとんでもなくフルーティー! 梨のスッキリ、やさしい風味が加わってみずみずしい仕上がり。シャリシャリとした食感のラッキョウは、独特のにおいや辛味がなく、軽やかな甘味で、まるでフルーツのようです。

 エビフライ・カキフライなどの揚げ物や肉のソテーに添えたり、刺身やアボカドなどの野菜とあえていただくと、フルーティーな味わいが加わってバツグンにおいしくなります。そのままバケットにつけて食べるのもオススメ。白ワインやシャンパンのおともにぴったりですよ。

ほわほわやさしい味わいの脱力グルメ「とうふちくわ」

とうふちくわ
「とうふちくわ 蒸し」(254円)
 
 じつは鳥取市はちくわの消費支出額が日本一。けれど、鳥取市民が愛してやまないソウルフードは単なる「ちくわ」ではありません。その名は「とうふちくわ」。県東南部のみでつくられている、豆腐と白身魚のすり身を混ぜて蒸したちくわです。

 その由来は、江戸時代に鳥取藩主・池田光仲公が、藩の財政が厳しい中、当時はまだ貴重な食べ物だった魚の代わりに豆腐を食べるようにとのお触れを出したこと、という説があります。「質素倹約」を旨とする殿の意向で、魚肉のかわりに豆腐を使った、とうふちくわが誕生したといわれているのです。

 近年では、地元の有志が設立した「とうふちくわ総研」が、その魅力を発信。「B1グランプリ」にも積極的に出場し、全国からも注目を集めています。また鳥取にはとうふちくわでつくった笛「とうふるーと」(!!)を吹くアーティストもいるほど、とうふちくわは鳥取の食文化に欠かせない存在です。

 鳥取市「ちむら」は、慶応元年(1865年)からとうふちくわをつくり続ける老舗。「豆腐の風味があり、食感は極めてやわらかい」という仕上がりにこだわり、創業時から一貫して豆腐と白身魚の割合は「7:3」。伝統の技を受け継ぎ、自家製の豆腐と鮮度バツグンの白身魚を使用したとうふちくわは、多くのファンをもつ名品です。

 定番の「とうふちくわ 蒸し」(254円)は、鳥取県産大豆と市内を流れる千代川の支流を水源とする名水でつくった木綿豆腐と、白身魚のすり身を混ぜて蒸し上げた、とうふちくわ。化学調味料や保存料を一切使わずに、昆布やカツオ、シイタケなどの天然素材エキスを使用し、素材本来のうま味をいかした味わいに仕上げてあります。

 かぶりつくと脱力するほど、ほわほわふわんとした食感。そしてやさしい豆腐の風味、魚のじわじわした旨みが口の中に広がります。1ミリも角がたっていない「脱力グルメ」は一度食べると、やみつきになるはず。

 ショウガじょうゆをつけておつまみにしたり、オリーブオイルやバルサミコ酢をつけてイタリアン風に食べてもおいしいですよ。

ちくわ
さまざまな味で、おつまみにも最適な「とうふちくわ」

[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.10/池田陽子]

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)『サバが好き』(山と渓谷社)『「サバ薬膳」簡単レシピ』(青春出版社)など