―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.13/池田陽子]―
美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は高知県のアンテナショップ「まるごと高知」で見つけたショウガグルメを紹介します。
温かくなったり寒さが戻ったり、体調を壊しがちな季節。「冷え」は万病のもとと言いますが、中医学では免疫力が落ちてかぜを引きやすくなったり、疲労の原因になったりすると考えます。また血行が悪くなることで顔色がくすんだり、肌が荒れたりと冷えは美容にも大敵。食べる温活で、冷えを撃退しましょう。
まず、冷えを改善するためには、身体を温める食材選びが大切です。
中医学では、すべての食べものは、身体を温める「温熱性」、冷やす「寒涼性」、中間にある「平性」に分けられるとしています。冬は当然ながら温熱性の食材、いわば「食べる湯たんぽ食材」を積極的に取り入れることが重要なのです。
薬膳において身体を温める王様的スーパー食材といえば、「ショウガ」。ショウガはじつは、「生姜<しょうきょう>」とよばれる立派な生薬なのです。身体の芯から発汗を促し、寒さを追い払う作用があります。寒気がある段階でのかぜ、冷えによる胃腸の不良や下痢の改善にも役立つとされています。
高知県はショウガの生産量日本一。繊維が少なく、しっかりとした食感、そしてまろやかな味わいが魅力です。今回も高知県アンテナショップ「まるごと高知」にお邪魔し、高知ならではのショウガグルメをご紹介します。
9年連続売上No1の大ヒット商品「万能おかず生姜」
高知市・四国健商の「万能おかず生姜」(324円)は、まるごと高知で、9年連続年間売上NO.1を誇る大ヒット商品。苦味が少なく、香りのよい高知県産ショウガを細かく刻み、しょうゆと黒酢ベースの秘伝のたれに漬け込んであります。
口に入れると弾けるさわやかな香り、心地よい辛さ、カリカリとした食感。コクがあるのにサッパリしたたれとの相性もじつに絶妙で、炊き立てご飯にかけていただくと、「白飯エンドレス」状態に!
ご飯のおともだけではなく、また焼き魚のつけ合わせ、豆腐の薬味、お好み焼きの具に、卵焼きに、肉と炒めてショウガ焼きに、チャーハンの具に…とさまざまな料理に使ってもおいしい「万能っぷり」も人気の秘密。
和洋中どんなメニューにもピタっとはまるので、気軽に取り入れておいしく温活を。
1滴も水を加えずにつくられた濃厚「ショウガシロップ」
須崎市にある吉平商店「吉平の土佐あわせしょうが」(1650円)は、なんと1滴も水を加えず、しょうがと上白糖だけでつくられた高濃度のショウガシロップ。もともとは高知城下で開催される「土佐の日曜市」で販売されていましたが、あまりの人気に商品化されたものだそうです。
シロップは昔ながらの製法で、手間ひまかけてつくられています。厳選したショウガをスライスしたら、2時間かけてミキシング。布を使って手絞りしたのち、さらに機械で3回、徹底的に絞ります。一晩寝かせてえぐ味や雑味を取り除いた絞り汁は、上白糖を加えて窯炊きに。窯につきっきりで火加減を調整、アクをとりながら、2時間30分炊き上げてやっと完成。
4日がかりという気の遠くなるような作業を経て、できあがったシロップは、とろりとした濃厚な飴色。
お湯で割って飲むと、ショウガそのものがギュッと凝縮された味わい。華やかな香り、キリッとした辛味のあとに、まろやかな甘味が広がります。そしてひと口飲むだけで、身体がジワッと温まるのを実感!
ドリンクとしてだけではなく、ショウガ焼き、唐揚げや肉ジャガ、魚の煮つけなどに「ショウガ入りのみりん感覚」で使うのもおすすめです。
ガツンと辛くホッとする甘味。やみつき「ショウガスイーツ」
高知県内でもとくに、ショウガの生産が盛んなのが四万十町。四万十川の中流域に位置する「桐島畑」では無農薬、無化学肥料でショウガづくりに取り組んでいます。しっかりパンチの効いた辛味があるのに、後味はスッキリしているのが魅力です。
「桐島畑 黒しょうが」(540円)は、その味わいがいつでも楽しめるスイーツ。使用しているのは無農薬のショウガと粗糖だけ。時間をかけてゆっくりと煮込み、乾燥させてつくり上げます。
やわらかな仕上がりの黒しょうがは、かみしめるたびにガツンとした辛味! そのあとに、素朴な粗糖の甘味がひろがり、思わずもうひとつ…とクセになる味わい。紅茶やほうじ茶と一緒に楽しみたいおやつです。
―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.13/池田陽子]―
池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)『サバが好き』(山と渓谷社)『「サバ薬膳」簡単レシピ』(青春出版社)など