和歌山の「ねり梅」をちょいたし。いつものおかずをおいしく変身させる技

―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(30)]―

 女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、都内アンテナショップで見つけた「ご飯のとも」やご当地調味料を使ったおいしいレシピを紹介します。

梅干しは日本の伝統的な健康食材

紀州産梅干し

 気温や気圧の変化で、体調がくずれやすい時期です。そんな毎日の食卓に取り入れたいのが、日本の伝統健康食材、梅干し。疲労回復作用があるクエン酸や、インフルエンザなどの抗ウイルス作用がある梅酢ポリフェノール、体の酸性化を防ぐアルカリ性ミネラルなどを多く含み、あらためてそのパワーが注目されています。
 
 そこで今回は、梅干しの産地として有名な和歌山県のアンテナショップ「わかやま紀州館」に行きました。
 
 筆者は毎日1粒の梅干しを食べ続けて10年以上。和歌山県産の紀州梅のファンで「わかやま紀州館」でも何種類か購入したことがあります。いつも選ぶのは、そのままでもおいしくいただける塩分が少なめで、酸味がまろやかなタイプですが、料理に使うとなると、もう少し塩味も酸味もしっかりした味が合いそうです。
 
 今回は種を取って刻むという作業がなく、ほしい分量をだけそのまま手軽に料理にプラスできる、ねり梅を選びました。

農薬を使わない梅肉

 ひかれたのは、パウチタイプの「農薬を使わない梅肉」(648 円税込100g/深見梅店)。無農薬、無肥料の紀州産の梅を使い、塩だけで漬け、3年以上熟成させた梅肉です。
 
 原材料は、自社農園で栽培された南高梅と食塩だけ。創業81年の梅干し屋さんが昔ながらの製法でつくった無添加のねり梅は、塩分22%、すっぱいタイプで、梅干し本来の味がします。
 

●アレンジレシピ「梅きゅう細巻きずし」

梅きゅう細巻きずし

 まずは、のり巻きに。キュウリは細切りにしたのを何本かまとめてのせると、ご飯となじみやすくなります。またすし飯はできるだけ薄く広げて、ひと口を軽い仕上がりに。梅味の細巻きは、お酒の後の締めにもぴったりで、きゅっと酸味がきいた梅肉が、食後をすっきりと演出してくれます。
 
【材料】2本分
すし飯…150g(茶碗1杯)
焼きのり…1枚
キュウリ…1本
青ジソ…3枚
ねり梅…適量
塩…少々

【つくり方】
1 キュウリは両端を切り揃え、半分に切ってから薄切りにし、さらに細切りにする。軽く塩をふり、少しおいて水分を拭き取る。
2 巻きすにのりを置き、すし飯をのせて薄く広げる。青ジソ、キュウリ、練り梅適量をのせる。練り梅の量はお好みで。写真は少し多めです。
 
海苔巻き作り方

3 巻いて、6等分に切る。
 

いつもの料理がねり梅ちょいたしで、ご飯がすすむおかずに変身!

山芋ときゅうりの梅あえ

 ねり梅の酸味と香りが食欲を刺激します。ご飯に合うのはもちろん、揚げ物との相性も抜群。ねり梅の味は商品によって違うので、必ず味見をしてください。ここで使用した「農薬を使わない梅肉」は塩味も酸味もしっかりあるので、あえて塩は入れずにつくりました。

●アレンジレシピ「ヤマイモとキュウリの梅あえ」

 ヤマイモとキュウリのシャキシャキ感と梅の味がぴったりのあえもの。小角切りにすると、納豆に混ぜてもなじみます。ほかに千切りや拍子木切りにしてもいいので、切り方はお好みで。
 
【材料】2人分
ヤマイモ…100g
キュウリ…1本
めんつゆ…大さじ1
ねり梅…小さじ2
削りカツオ節…2g
飾り用削りカツオ節…適量

【つくり方】
1 ボウルにめんつゆとねり梅、削りカツオ節を入れてよく混ぜる。
2 ヤマイモは皮をむいて1㎝角切り、キュウリも同じ大きさに切り、1のボウルに入れてあえる。
3 器に入れ、好みで削りガツオをかける。
  

●アレンジレシピ「鶏つくねの梅ソースがらめ」

鶏つくねの梅ソースがらめ

 レンコンと青ジソを入れた鶏つくねを梅味のソースでからめました。コクのある甘ずっぱいソースでさっぱりといただけます。付け合わせは青菜のおひたしやソテーで。写真は菜の花の辛子じょうゆあえです。鶏つくねは、お弁当のおかずにもぴったり。冷凍保存もできるので、つくりやすい分量でつくっておき、食べきれない分は焼いてからソースをからめず取り分けて冷凍庫に。
  
【材料】つくりやすい分量
鶏ひき肉…300g
タマネギのみじん切り…1/個分
レンコンのみじん切り…70g
ショウガ汁…1片分
卵…1個
塩…小さじ1/2
酒・みりん…各大さじ1
片栗粉…大さじ1
サラダ油…適量
梅ソース(2人分:めんつゆ小さじ2、ねり梅大さじ1/2、みりん・酒各大さじ1、砂糖小さじ2、水大さじ2)
つけ合わせ(菜の花の辛子じょうゆあえなど)…好み

【つくり方】
1 ボウルに梅ソースの調味料を入れて混ぜる。

梅ソース

2 別のボウルに鶏肉、タマネギ、レンコン、ショウガ汁、卵、塩、酒、みりん、片栗粉を入れ、粘りがでるまでよく混ぜる。手のひらにサラダ油をつけて一口大の小判状に丸める。
3 フライパンにサラダ油大さじ1/2を熱し、2の鶏つくねを並べ、両面に焼き色をつけて、中まで火がとおったら、取り出しておく。半分は保存用に取り分ける。
4 フライパンの油を拭き取り、2の梅ソースを入れる。少し煮詰めてとろみがでてきたら、3の半量を戻して、全体にからめるようにして汁気が少なくなるまで煮る。
5 器に盛り、つけ合わせを添える。
※保存用に取り分けたものは粗熱が取れたら、冷凍用保存袋に入れて冷凍する。

●アレンジレシピ「梅とじゃこのスパゲッティ」

梅とじゃこのスパゲッティ

 ジャコ入りなので、意外にボリュームも出ます。鶏のから揚げやサラダを添えれば、ディナーにも。
 
【材料】2人分
スパゲッティ…180g
ちりめんじゃこ…大さじ4
ニンニクのみじん切り…1片分
オリーブオイル…大さじ1/2
ねり梅…小さじ2
しょうゆ…大さじ1
みりん…小さじ1
いりゴマ(白)…小さじ2
青ジソの千切り…適量
塩…適量

【つくり方】
1 鍋にたっぷりの湯をわかし、塩大さじ1を入れて、スパゲッティを袋の表示時間の1分前までゆでる。
2 フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れて熱し、香りが立ったら、ジャコを加えて炒める。ねり梅としょうゆ、みりん、2のゆで汁大さじ2も加える。
3 1がゆで上がったら、湯をきり、2に加えて全体を炒めあえる。ゴマを加え混ぜて、器に盛り、青ジソの千切りをのせる。

今回ご紹介した商品は、東京・有楽町の駅前、交通会館内にある和歌山県のアンテナショップ「わかやま紀州館」で購入しました。梅干しだけでなく、和歌山県の物産や観光情報が揃っています。
 
アンテナショップわかやま紀州館

撮影・文・料理制作/坂口明子

―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案]―

坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。