海の幸、山の幸が豊富な新潟県村上市のさまざまな食材を使って、ホテルのシェフがプレゼンを行うイベントに参加しました。野菜や卵、肉が本来もっているおいしさを引き出す工夫がされた料理はどれもおいしかった! その様子を紹介します。
歴史ある町の生産者が協力して、おいしいものをつくっています
村上市は新潟県のいちばん北に位置する町で、山形県と隣接。県内一広い面積の市内には5万9000人が暮らしています。
市内を流れる三面川を遡上する鮭が古くから有名で、平安時代には京都の貴族にも献上されていたのだとか。秋に獲れた鮭は塩引きや酒浸しにして保存し1年じゅう食卓にのぼるなど、独特の鮭文化を引き継いできました。
そんな村上市では近年、地元の食に関わる生産者がネットワークをつくって、さまざまな取り組みを行っているそう。今回はセルリアンタワー東急ホテル副総支配人・総料理長の福田順彦シェフが、腕を振るってそれらの食材のおいしさをアピールしてくれました。
●放し飼い鶏の卵「素王卵」ポーチドエッグ
「今日は村上の食材のおいしさを引き出すために、オーソドックスな料理をお出ししますね」という福田シェフが最初につくってくれたのは、放し飼いの鶏が生んだ卵を使用したポーチドエッグ。「朝食というよりはブランチとして、ゆっくり楽しんでいただきたい」という一皿です。
柔らかくなりすぎないようにゆっくりと火を通したゴボウ、ニンジン、ジャガイモに、ニンニクとクリーム、ハーブのソースをかけ、そこに卵を割り入れ、粉チーズをふります。
それをオーブンで加熱して、半熟卵の状態でいただきます。
とろりとおいしい卵と濃厚なソースが、噛み応えを残した根菜に絡んで、お酒がほしくなる味わい。
このソースなら、野菜がいくらでも食べられそうです。
●ブロッコリーのスープ「こめんぼう」を浮かせて
野菜のブイヨンで煮たブロッコリーのスープに、コシヒカリでつくった「こめんぼう」という保存食を浮かせたスープ。「栄養たっぷりのブロッコリーの茎を煮込んでいて、食材を無駄なく使えますよ」と福田シェフが言うように、村上でつくった野菜のうま味がたっぷりの優しい味わいです。
今回は、クリームの代わりに豆乳を使ってあっさりと。鮭の酒浸しとドライトマトも加えてアクセントにしました。
●越乃黄金豚のシンプルロースト 酒粕風味 黒ニンニクソース
「脂のおいしさを味わってください」と福田シェフも言うように、甘味のある良質な脂と柔らかくコクのある赤身が特徴の越乃黄金豚。
酒粕に漬けたロース肉を低温調理したのちローストして、黒ニンニクとエシャレット、白ワイン、白ワインビネガーを合わせたソースをかけました。
豚肉はしっとりジューシーで噛むほどにうま味が口に広がり、そこにまったく臭みがなく、まるで酢みそのような黒ニンニクソースが見事に調和。
とても印象的なひと皿でした。
試食後には今回のプレゼン会に食材を提供した生産者の方々も登壇し、生産品への熱い思いを語ってくれました。
おいしいものがいっぱいの村上市。新潟に行くことがあれば、ぜひ立ち寄ってみてください。
<撮影・取材・文/カラふる編集部>