ふわふわのもっちもち。コッペパンの常識を変える「福田パン」の魅力

コッペパンと言えば、学校給食に出てきた、冷たくてちょっとパサパサなパンを思い浮かべる人も多いでしょう。岩手県民に愛されて50年以上の「福田パン」は、ふわっふわでもっちもちのコッペパン。概念が変わるようなコッペパンなのです。

岩手県民のソウルフード、福田パンのコッペパン

ミルクサンド
筆者が一番好きな「ミルクサンド」 139円(税込)

 岩手県で知らない人はいないほど、県民の生活にとけ込んでいるのが「福田パン」のコッペパンです。1948年の創業以来、「ソウルフード」「市民食」と呼ばれています。

 県内の主要なスーパーや駅構内で簡単に購入でき、高校や大学の購買部でも買えるので、子どもの頃から慣れ親しんでいるのです。人口約127万人の岩手県で、1日約1万個のコッペパンを製造・販売しているのだそう。

 じつは、筆者が大人になり、福田パン以外のコッペパンを始めて食べたとき、そのおいしくなさに驚きました。コッペパンと言えば、世界中のコッペパンが「福田パン」のように、ふわふわもちもちでおいしいものだと思っていたのです。

60種類以上のクリーム、具材が選べる

コッペパン
スーパーでの実演販売の様子。好きなクリームを2種類まで選べる。クリームの種類で価格が異なります

 帰省した際、職場にお土産として買っていったところ、あまりのおいしさにみんなが驚いて、帰省するたびにリクエストされたほどです。「次はいつ帰省するの?」とよく聞かれていました。

 オープン当初は2~3種類しかなかったそうですが、現在は60種類以上の具やクリームがあるので、自分好みのトッピングを選べるのも楽しみのひとつ。その60種類以上のなかから好きなクリームや具材を2種類組み合わせて、オリジナルのコッペパンをつくることができるので、お店に行く度迷ってしまいます。

 注文をすると、目の前で具材やクリームを挟んでくれるライブ感も楽しみ。本店では常に対面販売ですが、盛岡市内のスーパーで実演販売をすることがあるので、幼い頃はスーパーで見かけると、とてもわくわくして両親におねだりしたのを覚えています。

東京、福岡にも姉妹店が出店

ピーナッツバター
あんバターと並んで一位二位を争う人気の「ピーナツ・バターサンド」139円(税込)

 コロナの影響で県をまたいでの移動が難しい最近。でも、岩手以外でも福田パンのコッペパンを味わえます。お弟子さんたちが、2013年に東京に「吉田パン」、2018年に福岡に「山本パン」をオープンしたのです。

 お土産としてもらった「福田パン」を食べて、あまりのおいしさに衝撃を受けた店主の吉田さんが、「福田パン」に弟子入りをして東京・亀有にオープンしたのが「吉田パン」です。「福田パン」の思いや製法、材料まですべてを初めて継承したお店だそうです。

 また、「山本パン」は雑誌の特集記事で、山本さんの妻が「福田パン」の記事を見つけ、アポも取らずに盛岡の本店へ行き、社長さんに弟子入りを直談判したそう。1年間毎月泊まり込みで修業に行き、2018年に福岡でお店をオープンしたのが「山本パン」です。岩手のソウルフード、機会があればみなさまもぜひ味わってみてください。

 きっとコッペパンのイメージががらっと変わりますよ。

<取材・文/藤原絵里>

藤原絵里さん
俳優。岩手県盛岡市出身。23年間、岩手県で生まれ育つ。短大を卒業し、地元の温泉旅館の仲居に。着付けや日本文化に興味を持つ。その後、カタール航空のキャビンアテンダントへ転職。約4年、国際線に乗務し世界44ヵ国を訪れる。海外での経験を通して、日本の良さ、岩手の良さを再認識する。現在は、女優として、映画やミュージカルに出演。代表作は速水萌巴監督『クシナ』、榊英雄監督『生きる街』など、他多数。日本や東北の魅力を伝えられる作品にかかわっていきたいと思っている