うま味と甘味、タンパク質がギュッ! 山形県のおいしい「ひたし豆」

―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(33)]―

 女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、山形県のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」で見つけた「ひたし豆」を使ったおいしいレシピをご紹介します。

だだ茶豆でつくる、おいしいひたし豆料理

ひたし豆料理

 青大豆をゆでて、だし汁につけた常備菜、ひたし豆は、東北地方の郷土料理です。植物性タンパク質と食物繊維が多く、いろいろな味に応用できるので、おうちでの食事が多い今は、つくりおきしたい料理としておすすめです。

 せっかく手づくりするなら、おいしい豆でつくりたいと訪れたのは、だだちゃ豆が特産の山形県のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」。東京の銀座1丁目にあります。

「ひたし豆」コーナーでどの豆にしようか迷っていると、目に入ったのが「秘伝豆」(864円税込 300g/戸田商店)のパッケージでした。青大豆の品種のなかでも甘味と豆の香りが強いと人気の秘伝豆。こちらを購入して早速、ひたし豆をつくりました。

秘伝豆

●アレンジレシピ「ひたし豆」

ひたし豆

 ひたし豆につけるだしの味は、薄味から甘辛のしっかりめの味まで、家庭によって違うようです。今回は和洋中、カレーとなんにでも応用できるように、甘さ控えめで薄味のだしにひたしました。そのままビールやお酒のおつまみにもなります。薄味なので3日以上保存したい場合は、1回の使用分量ずつを目安に密閉冷凍保存袋か容器に入れて冷凍しておくと、いつでもすぐ使えて便利です。

【材料】つくりやすい分量
秘伝豆…300g
だし…400ml
みりん…小さじ2
塩…小さじ1
しょうゆ…大さじ1

【つくり方】
① 豆は、さっと洗って水気をきり、直径約20㎝のボウルに入れる。

緑豆

たっぷりの水にひたして一晩冷蔵庫におく。
 
ひたし後

約3倍にふくらむ(写真はわかりやすくするため水をきっています)。

② 鍋に①を入れ、たっぷりの水をたし、中火にかける。煮立ってから15~20分、豆がやわらかくなるまで煮る。
③ 別の鍋にだし、みりん、塩、しょうゆを加え、ひと煮立ちしたら火を止める。
④ ボウルか保存容器に②の豆をざるに上げて水気をきって入れ、③の汁をかける。

だし汁ひたし

そのまま冷めるまでおく。

⑤使用分以外は100gずつくらいに小分けして、冷凍保存用袋に入れて、冷凍保存する。そのまま食べてたり、ひじきの煮物に入れたり、カレーに加えても。

ひじき煮

混ぜるだけ。暑い時期におすすめ、ひたし豆と梅のさっぱりご飯

豆ごはん

「ひたし豆」にしておけば、混ぜるだけでおいしい豆ご飯が完成します。下記にご紹介した以外にもカレーは豆とバターの組み合わせ、お弁当には豆とジャコ、焼肉なら豆とキムチなど、組み合わせは自由自在です。

●アレンジレシピ「ひたし豆と梅の混ぜご飯」

 アツアツのご飯にひたし豆と梅肉、いりゴマを混ぜるだけ。豆の甘味とポリポリの食感、梅干の酸味と塩味で食欲をそそります。夏の日のランチや夕飯には、鶏や魚のから揚げを組み合わせて、どうぞ。

【材料】2人分
ご飯…軽く茶碗2杯分
「ひたし豆」…50g
梅干し…大1個
いりゴマ(白)…小さじ2

【つくり方】
① 梅干しはたねを取り、みじん切りにする。
② アツアツのご飯に①と汁気をきったひたし豆、ごまを加えて混ぜ、器に盛る。

ひたし豆にタコとトマトでイタリアンに

豆とタコのマリネ

 ひたし豆は、イタリアンとの相性も抜群。もともとイタリア中部地方は、豆食いトスカーナといわれるほど豆をよく食べます。こちらは白インゲン豆ヤレンズ豆ですが、ひたし豆だって相性はいいはず。

 サラダに散らしたり、ミネストローネスープに入れたり、煮込みに入れたりと楽しめます。ここではタコとトマトと組み合わせました。同じ材料でも生はさっぱりマリネ風、火をとおすとうま味のある炒めもの、どちらも違うおいしさです。

●アレンジレシピ「ひたし豆とタコ、トマトのマリネ風」

 材料を合わせて、最後にニンニクを熱したオリーブオイルをジュッとかけます。キリリとした白ワインとともに。ご飯に合わせるなら、お好みでしょうゆ少々をたらしても。

【材料】2人分
ゆでタコの足…1/2本
トマト…1/2個
ひたし豆…大さじ2
塩・コショウ…各適量
レモン汁…1/4個分
オリーブオイル…大さじ2
ニンニクのみじん切り…1/2片分
赤唐辛子の輪切り…1/2本分
バジルの葉…適量

【つくり方】
① タコは薄切りにする。トマトは1㎝の角切りにする。バジルの葉数枚は千切りにする。
② ボウルに①と汁気をきったひたし豆を入れ、白、コショウ、レモン汁を入れてあえる。
③ 小鍋にオリーブオイル、ニンニク、赤唐辛子を入れて熱し、香りが立ったら、②にかける。全体をあえたら器に盛り、好みでバジルの葉を飾る。

●アレンジレシピ「ひたし豆とタコ、トマトのイタリアン炒め」

 こちらは上記のマリネ風とほぼ同じ材料ですが、さっと炒め合わせます。そのままおつまみや前菜に、炒めたときに出るスープもおいしいので、パンにつけたり、パスタとからめても。仕上げの粉チーズがコクの出るポイントです。

ひたし豆とタコ、トマトのイタリアン炒め

【材料】2人分
ゆでタコの足…1/2本
トマト…1/2個
ひたし豆…大さじ2
タマネギのみじん切り…1/4個分
ニンニクのみじん切り…1/2片分
塩・こしょう…各適量
オリーブオイル…大さじ1/2
粉チーズ(パルメザンなど)…適量
バジルの葉…適量

【つくり方】
① タコとトマトは1㎝の角切りにする。タマネギはみじん切りにする。
② フライパンにオリーブオイルとニンニクを熱し、香りが立ったらタマネギを入れる。
③ タマネギが透きとおったら①とひたし豆を入れてさっと炒め、塩とコショウで味を調える。
④ 器に盛り、粉チーズをふり、好みでバジルの葉を飾る。

 秘伝豆でつくったひたし豆は、やみつきの味。ぜひお試しください。この秘伝豆、9月下旬には乾燥ではなく、生の枝豆として出回るとか、きっとそれもおいしいに違いありません。忘れずに味わってみたいですね!

山形アンテナショップ
山形県アンテナショップ「おいしい山形プラザ」

<撮影・文・料理制作/坂口明子>

―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案]―

坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。