むっちり触感のもち麦麺やほっくり小豆。梅雨に食べたい兵庫のグルメ

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.17/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は兵庫県のアンテナショップ「兵庫わくわく館」から最新グルメをお届けします。

梅雨どきは「脾」のケアで健康を意識しよう

兵庫わくわく館
兵庫県アンテナショップ「兵庫わくわく館」

 テレワークで会議だというのに、なんだかむくんだ顔…。こんなときには薬膳の力で、しっかり体の中から脱水しましょう。

 中医学では、消化をつかさどる「脾(ひ)」とよばれる臓器の働きが低下すると水の巡りが悪くなり、むくみを引き起こしやすくなると考えます。脾は、湿気に弱い臓器。じつは高温多湿の地に住む日本人は、脾が弱いタイプが多いのです。

 脾の働きが弱ると疲れやすい、朝なかなか起きられない、下痢といったトラブルも表れがちです。このタイプはとにかく湿気に弱く、雨の日にむくみが悪化します。梅雨の時期にはむくみばかりか、頭や体が重だるい、消化不良、じんましんなどトラブルだらけになりやすいのです。

 むくみを解消し、梅雨どきのトラブルを撃退するためには脾の機能を高め、体の中から湿気を取り除く、利尿作用の高い食材を取り入れることが大切です。

 おすすめは、もち麦。脾の働きを高めるとともに、余分な水分を排泄して体内の湿気を払うパワーを備えているのです。

 また、優れた利尿作用があるのが小豆。顔が激しくむくんで困った! というときに、ぜひ取り入れていただきたい「脱水ビーンズ」なのです。

 豆そのものもさることながら「ゆで汁」にも、その効能がたっぷりと含まれています。ゆでたら捨てずに、塩や砂糖で味つけした「小豆スープ」として取り入れると、強力な水ヌキ効果を実感できるはず。二日酔いや吹き出ものにもおすすめのスープです。

 海藻類も水分代謝をアップしてむくみの改善に役立ちます。

 今回は兵庫県アンテナショップ「兵庫わくわく館」を訪ねて、むくみと梅雨のトラブル改善に役立つ兵庫ならではのグルメをご紹介します。

吸いつくようなもち肌食感が楽しい「もちむぎ麺」

もちむぎ麺
福崎町・もち麦食品センターの「もちむぎ麺」(税込648円)

 兵庫県南西部に位置する福崎町。民俗学者・柳田國男の生誕地としても知られる自然豊かな町は「もち麦」の特産地。「福崎もち麦生産組合」では、全国でも最高品質ともいわれるもち麦を栽培するとともに、加工品の開発にも力を入れています。

 福崎町・もち麦食品センター「もちむぎ麺」は、もち麦本来の味と性質を損なわないように、試行錯誤を重ねて完成したという商品。古来の石臼製法に基づいて製粉、丁寧に手延べで練って仕上げてあります。

 太めの冷や麦のような麺は、少し茶色くてそばのような色合い。そしてその見た目どおり、「そばのようなうどんのような」個性あふれる味わいが楽しめます。

ゆでもちむぎ麵

 麺をゆでるとなんともしっとり、つややか、むちっとしたゆであがり。口に入れるとそばのようにしっかりとしたうま味、香ばしい風味。そして、口当たりはなめらかでうどんのよう。けれど、うどんにはない独特のぷるんとした口当たり、もちもちと吸いつくような「もち肌」感が楽しめます。食欲がないときでも、するっとおなかにおさまってしまうはず。

一度食べたら止まらなくなる、淡路島の名物味つけのり

あわじ大江のり
南あわじ市・大江海苔の「あわじ大江のり」(税込778円)

 兵庫わくわく館で高い人気を誇るのが、南あわじ市・大江海苔の「あわじ大江のり」。淡路島の食卓には欠かせないという、名物味つけのりは有名人のファンも多く、一度食べるとそのおいしさにハマるリピーターが続出するという商品です。

 一番つみののりを、しょうゆやみりん・酒に昆布、カツオ節、干しエビ、唐辛子を加えた特製の調味料で味つけ。つやつやに輝く厚みのあるのりは、見事なまでのパリパリ食感。噛んでもへたらず、シャキシャキ音をたてるほどの爽快な歯ごたえです。

あわじ大江のりのおつまみ

 風味のよいのりと、少し濃いめのピリ辛な味つけが絶妙で、一度食べだすと止まらない! やみつきになるおいしさです。ご飯のともにもよいのですが、ビールなどお酒のつまみにぴったり。ラーメンに添えたり、みそ汁に入れるのもおすすめです。

風味豊かな幻の小豆「春日大納言」

春日大納言
播磨町・松井食品「春日大納言」(税込518円)

「春日大納言」は兵庫県北部に位置する丹波市春日町周辺でつくられている在来品種の小豆。国産小豆のなかでも最高峰とされ、大量生産が難しいため「幻の小豆」ともいわれています。

 春日町は山間地域で、昼夜の温度差が大きいため霧が多く、粘土質の土壌という風土がその栽培に適し、古くから栽培が行われています。江戸時代の文献にも記されているという歴史あるブランド小豆は、味が濃く、豊かな甘味が魅力。

春日大納言小豆

 播磨町・松井食品「春日大納言」のパッケージを開けて豆を取り出すと、その鮮やかな色合いと光沢は、見とれてしまうほどの美しさ。四角い俵型も麗しい小豆は、お赤飯や、ぜんざい、あんこに使うとワンランク上の味わいに仕上がります。

 また、風味豊かな春日大納言は、ゆでたものをそのまま食べても驚くほどの美味しさ。風味が豊かなので塩をふって食べると、上品な甘味、ホックリやさしい食感が楽しめます。

ゆであずき

【アンテナショップ情報】
★兵庫わくわく館

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池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)