―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(36)]―
女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、石川県のアンテナショップ「いしかわ百万石物語 江戸本店」で見つけた、「ふぐの子のぬか漬け」を使ったおいしいレシピをご紹介します。
トラフグの卵巣を3年かけて毒抜きした製品
まだ食べたことがない、おいしいご飯のおともを探しに訪れたのは、銀座2丁目にある石川県のアンテナショップ「いしかわ百万石物語 江戸本店」。冷蔵コーナーで目を引いたのが、「ふぐの子ぬか漬け」。フグって、毒があって取り扱い要注意のはずですが、石川県だけにゆるされた製法とあります。
猛毒のトラフグの卵巣をまず1年間塩漬けにしてぬかと麹の順に詰めて、さらに2年自然発酵させると毒が抜けるという、古来受け継がれた奇跡のような製法。販売まで丸3年もかかる発酵食品「ふぐの子ぬか漬け」(1296円税込 200g/株式会社あら与)を購入しました。
濃厚な香りとプチプチ食感のふぐの子
まずは、そのままぬかを落とし、薄切りにして白飯にのせました。濃厚な香りと塩味ですが、同じ発酵食品として名産の滋賀県のふなずしよりは風味にクセがなく、からすみに近い味。粒がたらこより大きめの感じですぐほぐれるので、ご飯がすすみます。
お茶漬けには、少しあぶってのせると、香ばしさも加わり、おいしくいただけました。青ジソの千切りといりゴマ、ワサビをのせて、熱湯かお茶をかけましょう。
●アレンジレシピ「炙りふぐの子ぬか漬け」
「ふぐの子ぬか漬け」を、酒の肴仕立てにしてみました。こちらは食べる分だけを切って炙り、ほぐしてから大根やキュウリの薄切りにのせます。さらにレモンを小さく切ってのせ、さわやかさをプラス、あぶった香ばしさもあり、日本酒やワインにとてもよく合う1です。
【材料】1~2人分
「ふぐの子ぬか漬け」…2cm長さ
キュウリ、大根…各適量
キャベツの葉…2枚
レモンスライス…1枚
【つくり方】
①「ふぐの子ぬか漬け」はアルミ箔で包んで、オーブントースターに入れ、約2分焼く。出したらほぐす。
② キュウリと大根は薄切りに、レモンは小さなくし形に切る。
③ 器にキュウリと大根を並べ、その上に①とレモンをのせる。
パスタや野菜料理に明太子感覚で使える
「ふぐの子ぬか漬け」の使い方は、からすみや明太子と同じに考えると、応用が広がります。パスタや、サラダに散らしたり、ポテトサラダに加えたり。ここではニンジンと炒めて常備菜仕立てに。火がとおるとぬか漬け効果でほんのり甘さもでて、冷めてもおいしく、お弁当のおかずにも使えます。
●アレンジレシピ「ニンジンのふくあえ」
ニンジンを千切りにして、「ふぐの子ぬけ漬け」と炒めるだけ。ほかに調味料も不要です。サラダ感覚でいただける常備菜です。
【材料】つくりやすい分量
ニンジン…1本
「ふぐの子ぬか漬け」…4cm
サラダ油…大さじ1/2
【つくり方】
① ニンジンは皮をむき、4㎝長さの千切りにする。「ふぐの子ぬか漬け」は薄皮を取る。
② 鍋にサラダ油を熱し、ニンジンと「ふぐの子ぬが漬け」を入れて炒める。ニンジンがしんなりして、ふぐの子が全体にまぶされたら、器に盛る。
初めて食べた「ふぐの子ぬか漬け」。現在でも専用の許可証がないと取り扱えない猛毒のフグをおいしく食べるために考えた先人のこだわりと工夫には、頭が下がるばかりですね。ぬか漬けの発酵力も素晴らしい!日本の伝統食、おいしさを知って、ファンになりました。ぜひこれからも守り続けてほしい食品です。
<撮影・文・料理制作/坂口明子>
―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案]―
坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。