ハマグリ、カツオ節、大豆。アンテナショップで見つけた薬膳グルメ

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.18/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は三重県のアンテナショップ「三重テラス」から美肌グルメをお届けします。

肌改善は食べて体の中からケアすることが重要

三重テラス
三重県アンテナショップ「三重テラス」

 美肌を目指すなら、外からのお手入れも大切ですが、食べて体の中からケアすることも重要。薬膳は気になる「肌のたるみ」「乾燥肌」「肌のくすみ」の改善にも役立ちます。

● 弾力肌を目指すには「大豆」で気をチャージ

 肌のたるみは、中医学において人間のエネルギー源である「気」の不足が大きく関わるとされています。気は体内を巡る目にはみえない生命エネルギー。いわば「元気の源」ともいえる存在です。

 それ以外にも、皮膚や内臓を本来あるべき位置から下げないように維持する働きも併せもっています。よって気が不足すると、この働きが衰えてたるみの原因になってしまうのです。リフトアップのためには、しっかりと気を補うことが大切。

 おすすめは大豆。すみやかに気をチャージするとともに、肌の新陳代謝を高めてハリのある弾力肌づくりに貢献します。

● 潤い肌をつくるなら「ハマグリ」で水分チャージ

 乾燥肌は、体内の水分不足が原因。全身にたっぷりと潤いを与える食材を取り入れて、しっとり肌を目指しましょう。おすすめはハマグリ。体内に水分をしっかりと補う効能が高いのです。シワの改善にも役立ちます。

● 肌のくすみを取り払うには「カツオ」で血をチャージ

 くすみのない、明るく健康的な肌をつくるには、血を補うことがポイント。血は女性にとって肌に栄養を与える、いわば「体内美女美容液成分」。血の不足は肌のくすみ、肌荒れを引き起こします。

 血を補うのにおすすめなのがカツオ。さらに、皮膚につやを与えるといううれしい働きもあるのです。カツオ節でも同様の効能が得られます。

 そんな肌にいいものを探しに、三重県アンテナショップ「三重テラス」を訪ねました。今回は三重県ならではの素材を生かした美肌グルメをご紹介します。

老舗豆腐店が復刻した三重在来種の「蒸し大豆」

野瀬商店 旨豆
松阪市・野瀬商店「旨豆」(税込370円)

 松阪市・野瀬商店は、1926年創業の老舗豆腐店。地元の大豆を使ってつくった安心・安全な豆腐は、多くのファンをもつ逸品です。

 野瀬商店では、豆腐の原料として使用している「嬉野大豆」を蒸し上げた「旨豆」も販売しています。じつはこちら、三重テラスで、欠かさず購入していく人が多いという人気商品なのです。

 嬉野大豆のルーツは、三重県津市(旧美里村)の美里在来大豆。野瀬商店のご主人が、いくつかの三重固有の大豆の種を県から譲り受け自ら栽培。もっともおいしかったという美里在来大豆を選び、なんと12年の月日をかけて品種改良を重ね、嬉野大豆として復刻させたのです。

蒸し大豆

 大粒で糖度が高く、豆腐やみそなどの加工品にすると甘味、うま味が出やすいという嬉野大豆は、そのままいただいても絶品! 旨豆を口に入れると、シルキーでなめらかな食感。なんともエレガントなまろやかさ、やさしい甘味が楽しめます。塩をかけてそのままいただいてもよし、サラダや煮物、スープなどに使っても最高のおいしさです。

あっさり上品な味わいの「はまぐりラーメン」

桑名市_はまぐりラーメン
桑名市・IT foodsの「はまぐりラーメン」(税込648円)

 三重県桑名市の特産品といえば、ハマグリ。桑名は『東海道中膝栗毛』にも登場する、歴史あるハマグリの産地です。木曽三川河口域で漁獲されるハマグリは、海水と淡水が混ざり合う生育環境によって、ふっくら身が大きく上品な塩味が魅力。

 ハマグリの卸問屋であるとともに、ハマグリをメインとした飲食店を展開する桑名市「IT foods」の「はまぐりラーメン」は、ハマグリのうま味を存分に味わえる逸品。

はまぐりラーメン

 品質を徹底管理したハマグリから抽出したエキスを使ったスープは、うま味とコクがしっかりあるのにあっさりした上品な味わい。まるでうどんつゆのようなやさしさに驚きます。特製の細麺との相性もバッチリ。後味が軽やかで、スルスルいただけるおいしさです。冷やしラーメンにしていただくのもおすすめ。

昔ながらの手作業で仕上げた絶品カツオ節

波頭軽軽削り
志摩市・かつおの天ぱく まるてんの「波頭 軽軽削り」(税込648円)

 三重県伊勢志摩地方はカツオの水揚げが豊富。美しいリアス式海岸や「大王埼灯台」で知られる志摩市波切地区は、歴史あるカツオ節の産地です。波切のカツオ節は、「波切節」の名で古来より、朝廷や神宮へ献上され、江戸時代には味にうるさい江戸っ子からも高い評価を得ていたとされています。

 この地で、今なお当時と変わらぬ昔ながらの手作業で、カツオ節をつくり続ける「かつおの天ぱく まるてん」のカツオ節商品は、三重テラスで高い人気を誇ります。

 まるてんのカツオ節は1本釣りのカツオを使用。それぞれのサイズや身質などを見極めて、「手火山製法」といわれる方法で丁寧に製造します。備長炭の原料となるまきを使い、火加減を手で調整しながら、じっくりと燻されたカツオ節は、極上の香りと味わい。味の深みが違います。

かつおぶし

「波頭 軽軽削り」は、本枯節を輪切りにして繊維を切って削り上げた商品。うつわに盛ってみると、まさにひとつひとつが「波頭」。波が盛り上がった先端のようです。芳しい燻し香を放つ「波の頭」を口に含むと サクサクとした食感、続いてみずみずしいうま味、余韻のあるコクにうっとり。

 冷ややっこやおひたし、お好み焼き、サラダやパスタなどにトッピングして、食感と料理の味わいに深みを添えるうま味が楽しめます。

【アンテナショップ情報】
★三重テラス

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)