岩手じゃ当たり前。新鮮なウニや海鮮丼の具は牛乳びんに入ってる

岩手県内のスーパーや鮮魚店には、初夏になると牛乳びんが並びます。その中身はなんと、生ウニ。岩手県では、ウニといえば牛乳びんに入った状態が主流なんです。岩手県出身で元CAの女優、藤原絵里さんが紹介してくれました。

とれたてウニを海水と一緒にびん詰め

店頭の牛乳瓶入りウニ

 牛乳びん入りのウニは、岩手県山田町発祥といわれています。といってもそのきっかけは偶然で、ウニをたまたま牛乳びんに入れたところ、外からの衝撃に強く、形くずれを防ぐのに最適で、びっしり詰めることで真空状態にもなり、保存にも最適だったということです。

 とれたての生ウニを、滅菌処理した海水と一緒にびん詰めしていて、フタを開けるとこぼれてしまいそうなほど。ぎっしり詰まってびん1本でウニ丼が2杯分くらいできます。

 これが岩手県の沿岸地方に広がり、今では「生ウニ=牛乳びん入り」となっています。筆者は11年前に上京して来ましたが、初夏のスーパーに牛乳びん入りのウニが売られていないので驚きました。

ミョウバンを使わない、ウニそのものの甘さが魅力

牛乳ビン入りウニの寄り

 岩手県のウニの生産量は北海道に次いで全国第2位を誇ります。NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台でも有名になった三陸地方は、親潮と黒潮が合流する、全国に広く知られるウニの一大漁場。プランクトンや海の栄養が豊富で、質のいいワカメや昆布を食べて育ったウニの味は格別なんです。

 一般的に売られているウニは、形くずれを防ぐためにミョウバンに漬けられて出荷されます。ぷりっと形のいいウニが日本全国どこでも食べられるのはうれしいのですが、どうしてもミョウバンの苦味が気になることもあります。ミョウバンや添加物がいっさい入っていない牛乳ビンに入ったウニは、ウニそのものの甘さやうま味が堪能できるのです。

 ウニと一緒に入っているのは塩水だけなので、甘く濃厚なウニを自然に近い状態で味わえるのが魅力。ウニは苦手という方も、その甘味、磯の香りに驚かれますよ。お値段は時価でだいたい2000~3000円台、この日のウニはびん1本2980円でした。

海鮮丼の具が入った「瓶ドン」が流行中

海鮮丼の具をビン詰め

 牛乳びん入りのウニからヒントを得て、最近はやっているのは、びんに入った海鮮丼の具「瓶ドン」。宮古市では2020年からお取り寄せができるようになりました。ウニのほかにイクラやタコ、イカ、ホタテ、アワビなどの具がメカブなどとともにびんの中に入っていて、冷凍されて届きます。自然解凍し、ご飯に乗せるだけで海鮮丼のでき上がり。岩手の新鮮な海の幸を手軽に自宅で堪能できる特別感はたまりません。

 筆者の弟が岩手県宮古市に住んでいて、遊びに行くたびにいろいろなお店の瓶ドンを試してみました。お店によって具材はさまざまなので、岩手県の沿岸に旅行をしたら、瓶ドンの食べ歩きもおすすめですよ。

ビン丼の具もさまざま

 ぜひ、実際に岩手県に行ってスーパーに牛乳びんが並んでいる光景を見ていただきたいのですが、今は自粛期間なので、お取り寄せやふるさと納税などで、お家で岩手の海の幸を楽しんでくださいね。

<取材・文/藤原絵里>

藤原絵里さん
俳優。岩手県盛岡市出身。23年間、岩手県で生まれ育つ。短大を卒業し、地元の温泉旅館の仲居に。着つけや日本文化に興味をもつ。その後、カタール航空のキャビンアテンダントへ転職。約4年、国際線に乗務し世界44ヵ国を訪れる。海外での経験を通して、日本のよさ、岩手のよさを再認識する。現在は、女優として、映画やミュージカルに出演。代表作は速水萌巴監督『クシナ』、榊英雄監督『生きる街』など、多数。日本や東北の魅力を伝えられる作品にかかわっていきたいと思っている。

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