―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(39)]―
女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、福井県のアンテナショップ「ふくい南青山291」で見つけた、「おあげ」を使ったおいしいレシピをご紹介します。
大判で肉厚のおあげはカリカリに焼くとおいしい
2024年には新幹線が開通予定の福井県。私が何年か前に「ソースカツどん」の取材で訪れたときからは大変身。大きな駅ビルが建ち、今や恐竜の名所となっています。
そんな福井県。東京のアンテナショップ「ふくい南青山291」は、ファッションブランドが集まる表参道のおしゃれなショップ施設の一角にあり、食品から工芸品まで福井県の物産品がいろいろそろっています。
今回は、福井名物の大きな油揚げを買いに行きました。油揚げ好きにはたまらない、厚いおあげです。豆腐の外側だけを揚げる厚揚げとは違い、一般的に油揚げは、油で完全に煮るように、2度3度揚げているため、内側まで火が通るようにつくります。そのため薄く切った豆腐を使うことが多く、薄揚げともいわれます。
この「谷口屋の、おあげ」(648円税込 1枚/有限会社谷口屋)は、大正14年創業の谷口屋さんが、国産大豆と福井県越前町の海からとれるにがりでつくった豆腐を厚めの正方形に切り、消泡剤(添加物)を使用していない北海道産の菜種油でじっくり揚げてつくっているのです。
縦横約13cm、厚さ約2㎝と、大きなサイズの油揚げです。
まずは、オーブントースターでカリカリに焼いて、大根おろし、ネギ、ショウガがでいただきます。肉厚な皮と中のふんわり食感、そして油揚げ本来の味が楽しめます。揚げ油の質のよさも実感!
アルミ箔を敷いたオーブントースターにのせ、1000Wで片側4分、裏面3分焼きます。食べやすい大きさに切り、ネギの小口切り、大根おろし、おろしショウガをのせ、しょうゆをたらり! おつまみにも、ご飯のおかずにも満足のおいしさです。
肉厚なお揚げは煮ても、詰め物にしてもおいしい!
油揚げを料理に使うと、だしを引き立て、そしてだしが油揚げの油となじんでしみこみ、さらにうま味が増す感じがします。みそ汁には欠かせない具のひとつですし、いなりずしはもちろん、切り干し大根やヒジキの煮物、おでんの袋などいろいろに使います。ここではこのビッグな「おあげ」ならではの料理をご紹介します。
●アレンジレシピ「おあげとシメジのごまみそ煮」
おあげにじゅわっと煮汁がしみて、ご飯がすすむおかずです。冷めてもおいしいので、弁当のおかずにも。キノコはシイタケやマイタケ、エノキダケでも。
【材料】つくりやすい分量
「谷口屋のおあげ」…1枚
シメジ…1パック
煮汁
にそ…大さじ1/2
みりん…大さじ1
砂糖…小さじ1
酒…大さじ1
めんつゆ…大さじ1
豆板醤…小さじ1/2
水…100ml
万能ネギの小口切り…適量
【つくり方】
① おあげは、12~16等分に切る。シメジは石突を切り、小房に分ける。
② 鍋に煮汁の調味料を入れてよく混ぜ、火にかける。煮立ったら、①を入れ、アルミ箔で落しぶたをして、5分煮たら、おあげを全体にひっくり返し、さらに5分から7分煮て、火を止め、そのまま冷めるまでおき、味をなじませる。
③ 器に盛り、万能ネギを散らす。盛るときは好みで温めても。
●アレンジレシピ「おあげのけんちん焼き」
ビッグなおあげに鶏のひき肉と野菜を詰めて、ヘルシーでボリューミーな一品に。表面を焼いてから煮ると型崩れなく仕上がります。意外に簡単です!
【材料】つくりやすい分量
「谷口屋のおあげ」…1枚
具材
鶏ひき肉…200g
干しシイタケ…2枚
ニンジン…50g
青ネギのみじん切り…30g
おろしショウガ…小さじ1
卵…1個
塩…小さじ1/2
酒・みりん…各大さじ1
片栗粉…大さじ1
煮汁
シイタケの戻し汁+水…200ml
めんつゆ…大さじ4
みりん…大さじ1
サラダ油…大さじ1/2
ホウレンソウ…適量
辛子…少々
【つくり方】
① おあげは斜め半分に切り、内側の白い部分をこそげ取る。
② ボウルに具の材料全部と①のこそげとった部分を入れ、全体をよく練る。
③ 具を2等分して、おあげに詰める。
④ フライパンにサラダ油を熱し、③の詰めた口を下にして入れ、焼き色をつける。
⑤ 鍋に煮汁の材料を入れて火にかけ、煮立ったら、④を入れ、アルミ箔でふたをして弱火で10分、裏返して10分煮る。取り出して好みの大きさに切り分け、器に盛り、煮汁をかける。煮汁は好みで、片栗粉でとろみをつけてもよい。ゆでて水気を絞り、3㎝長さに切ったホウレンソウを添え、辛子をのせる。
「谷口屋のおあげ」は、ほかに太白ゴマ油で揚げたものもありました。「越前竹田の太白おあげ」(672円税込 1枚入り/有限会社谷口屋)厚揚げではない油揚げのおいしさ、おすすめです。
<撮影・文・料理制作>坂口明子
―[アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案]―
坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。