アジの大トロ「どんちっちアジ」の水煮も。島根グルメで残暑を乗りきろう

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.20/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は島根県のアンテナショップ「日比谷しまね館」から残暑におすすめのグルメをお届けします。

アジやスズキが食欲不振に効果大。夏バテのときこそ食べたい

日比谷しまね館
島根県アンテナショップ「日比谷しまね館」

 厳しい残暑は薬膳で乗りきりましょう。中医学では夏バテしてしまうのは、汗をかくことによって、体中のいたるところを流れるエネルギーである「気」も一緒に排泄されることが原因と考えます。

 生命活動を維持するエネルギー源である気が不足すると、だるい、やる気がでないといった「夏バテ」の症状を引き起こしてしまうのです。よって、残暑をパワフルに乗りきるためには、目減りした気を補うことが大切。

 おすすめはアジ。気を補って疲労回復に役立ち、「美白」や「残暑の肌ケア」にもうれしい魚です。また、スズキも気を補う作用があります。さらに滋養強壮にも。

 そして、アジもスズキも食欲不振に効果が。夏バテだから、食べて栄養をつけたいのに食欲がない…というときにもおすすめです。

 また、気を補うと同時に、汗で失った体液を増やすことも大切。ならば「水をガブガブ飲めばいい」と思いがちですが、水を飲むこと=体液を増やせるわけではありません。あくまで体に体液を生み出す食材を補って「身体に潤いをとどめる」ことがポイント。おすすめは、イチジク。身体に潤いを与える働きが高いフルーツです。便秘や胃の不調にも役立ちます。

 今回は、島根県アンテナショップ「日比谷しまね館」をお訪ねして見つけた、残暑の身体にうれしい島根グルメをご紹介します。

ブランドアジのおいしさを堪能できる「どんちっちアジ水煮缶」

どんちっちアジ水煮缶
浜田市・シーライフの「どんちっちアジ水煮缶」(702円税込)

 山陰有数の漁獲高を誇る、島根県浜田市浜田漁港。浜田を代表するブランド魚といえば「どんちっちアジ」。全国トップクラスの脂ののりを誇る「アジの大トロ」、肉でいうなら「アジの松阪牛」ともういうべき、とんでもないアジです。

 暖かい対馬海流と島根冷水域といわれる深海の冷たく栄養に富んだ海水が混じり合い、魚のエサとなるプランクトンが多く発生する島根県西部沖で育まれたアジは、サイズが小さい段階からバツグンの脂のりを誇ります。アジの全国平均脂質含有量が3.5%なのに対して浜田産は10%以上。なかには20%を超えるものも!

 刺身でいただくととろりとした舌触り、華やかでまろやかな脂が広がり感動モノのおいしさです。

 そんなどんちっちアジの味わいを存分に楽しめるのが浜田市・シーライフの「どんちっちアジ水煮缶」。全国でも珍しいアジの缶詰です。鮮度バツグンのどんちっちアジを使い、味つけは、日本海の海水を平窯で、丁寧に炊き上げてつくった地元・浜田の「浜守の塩」のみで仕上げます。

どんちっちアジ水煮缶の身

 しっかりとした食感、そして爽快感のあるスッキリさ、豊かなうま味、とろけるような極上の脂のり。缶詰になっても、どんちっちアジならではのぜいたくな味わいが堪能できます。

 身はもちろんおいしいですが、缶汁も素晴らしいおいしさ!! 余すところなく使うことを強くおすすめします。

 たとえば今の時期なら「冷や汁風」。缶汁に水とみそをたし、身とキュウリやミョウガとともに、ご飯にかけて完成。どんちっちアジのとんでもないうま味で、最高においしく仕上がります。

冷や汁

 ご飯に缶汁ごとかけて、ちらっとしょうゆをたしただけの「どんちっちアジ汁かけごはん」も驚きのおいしさですよ。

余韻で飲める!宍道湖のスズキを使った「絶品スモーク」

すずきスパイシースモーク ホワイトペッパー
出雲市・大竹屋「すずきスパイシースモーク ホワイトペッパー」(617円税込)

 宍道湖といえば島根が生産量1位を誇るシジミが有名ですが、スズキも忘れてはならない魚。宍道湖を代表する魚介類「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」のひとつでもあり、古事記の出雲神話「国譲り」では、大和朝廷と和合した祝いの席で献上されたと記されているなど、出雲を象徴する魚です。宍道湖のスズキは冬に脂がのって絶品のおいしさに。松江では和紙に包んで蒸した「スズキの奉書焼」が名物料理として提供されています。

 そんな宍道湖のスズキのおいしさを堪能できるのが、出雲市斐川町「大竹屋」の「すずきスパイシースモーク ホワイトペッパー」。大竹屋は、宍道湖の漁師さんが営む鮮魚店。自ら漁獲したスズキを鮮度バツグンのうちにさばき、出雲の山桜の木でじっくり燻し、独自に調合したスパイスで風味豊かに仕上げてあります。

すずきスパイシースモーク ホワイトペッパーの中身

 スティック状にカットされたドライジャーキー状態のスモークを口に入れると、かむほどにクセのないスッキリとしたうま味がジワジワ広がります。後から追いかけてくるホワイトペッパーの風味が、絶妙! ビールやハイボール、ワインにぴったり。そして特筆すべきは、マイルドな脂がフレーバーとともに残るという、食べた後の「余韻」。ぜひ、このぜいたくな余韻をおつまみに次の一杯を。

高級スイーツみたいな多伎町の蓬莱柿を使った「干しいちじく」

干しいちじく
島根県農業協同組合・出雲市の「干しいちじく」(713円税込)
 
 出雲市多伎町は、イチジクの特産地。日本海に面し、水はけがいい土壌に、潮風、山おろしとイチジクの栽培に適したロケーションで栽培されているのは「蓬莱柿(ほうらいし)」。全国でも珍しい希少な品種で、上質な食感と豊かな甘味が特徴です。

 島根県農業協同組合「干しいちじく」は、多伎町の蓬莱柿を使ったセミドライタイプの加工品。日比谷しまね館でもリピーターの多い人気商品です。ワイン、てんさい糖、レモン汁で煮詰めたイチジクは、ねっとりやわらかくエレガントな甘味、プチプチした食感。ともかくその気品あふれる味わいは絶句モノ。ドライフルーツというより、もはや「高級スイーツ」の領域!

ドライフィグ

 紅茶と一緒に、白ワインやウイスキーのおつまみとしていただくのもおすすめです。

【アンテナショップ情報】
■日比谷しまね館

*発熱や悪寒などの症状がある場合は、早めに医師に相談してください。

<取材・文・撮影> 池田陽子

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)