美肌グランプリ1位の島根県。のりやイカ、桑の実グルメがおすすめ

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.21/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は島根県のアンテナショップ「日比谷しまね館」から美肌グルメをお届けします。

のりやイカで「腎」機能を高めよう

日比谷しまね館
島根県アンテナショップ「日比谷しまね館」

 最近、鏡を見るとなんだか見慣れぬシワやシミ…。若々しい美肌をつくるためには食事がとても大切です。
 薬膳において肌のアンチエイジングに重要になってくるのが、中医学で「腎」とよばれる臓器。腎は人の成長や発育、生殖、老化をつかさどり全身のエネルギーをためておく臓器。

 ここが弱ると耳が遠くなり、足腰が曲がって弱くなる、歯がもろくなり記憶力が低下するなど老化に影響したり、肌も衰えてシワやシミができやすくなってしまうと中医学では言われています。

 エイジレスな美肌を目指すなら、とにかく腎の働きを高める食材を取り入れることが大切です。おすすめはのり。腎のパワーをアップして、若々しさを保つアンチエイジングの強い味方です。また、抜け毛や白髪など髪の老化対策にも威力を発揮します。

 イカも腎を強化する優れた効果が。また、血を補う作用も高く、肌荒れや顔色のくすみにもおすすめ。婦人科系トラブルの改善にも役立つので、とくに女性には美と健康のために積極的に取り入れてもらいたいシーフードです。

 今回、島根県アンテナショップ「日比谷しまね館」から、肌のアンチエイジングにうれしい島根グルメをご紹介します。島根県といえば、化粧品メーカーが実施している「ニッポン美肌県グランプリ」で、5回も1位に選ばれた「美肌県」。美肌を育む食材を発見しました。

素材のおいしさが堪能できる「シロイカ珍味」

花嫁の白無垢
大田市・岡富商店「花嫁の白無垢(白いかゲソロール)」(324円税込)

 島根県民が愛してやまないイカといえば、「ケンサキイカ」。夏から秋にかけて漁獲され、地元では「シロイカ」とよばれていいます。島根沖で獲れるシロイカは、身がやわらかくて甘味が強く、絶品のおいしさです。

 そんなシロイカのおいしさを手軽に味わえるのが大田市・岡富商店の「花嫁の白無垢(白いかゲソロール)」。あまりお目にかからない、ゲソ(足)つきのイカ珍味です。

 早朝に漁へ出て、その日のうちに水揚げされた「一日漁」の新鮮な魚にこだわった干物などの加工品が、高い人気を誇る岡富商店。珍味へのこだわりも並々ならぬものがあります。使用しているのは、一夜干しや塩辛に使う厳選した島根県産シロイカ。鮮度のよいうちに加工し、ほんのりと唐辛子をきかせて仕上げてあります。

白イカゲソロール

 従来の珍味のイメージを覆すような、おしゃれなパッケージをあけると、「白無垢」の名のとおり、白くヒラっとした品のいいたたずまい。ゲソもバレリーナの足のよう。その味わいも、珍味にありがちな雑味やクセがなくいたって上品。シロイカならではのしっとりしたやわらかさ、特有の甘味が口の中いっぱいに広がります。素材そのもののおいしさを堪能できる、ワンランク上の珍味、ぜひお試しを。

海の濃厚な味わい「十六島海苔」

十六島海苔
出雲市・海産物松村「十六島海苔」(1080円税込)

 島根県出雲地方のお雑煮に欠かせない「十六島(うっぷるい)海苔」。 島根半島北東部に位置する平田市・十六島周辺でしか採れない、貴重なのりです。奈良・平安時代には朝廷へ、そして江戸時代には幕府のもとへ献上されていたという歴史あるのりは、12~3月、厳冬の荒れ狂う日本海に面した、足場の悪い岩場で1枚、1枚手摘みされます。

 出雲市・海産物松村の「十六島海苔」は、十六島海苔に清酒をさっとかけて、軽くあぶった商品。のりに含まれる塩気をいかし、清酒以外の味つけはなし。磯の香りが強く、コシのある食感、きめ細やかな繊維質といった、ほかののりとは一線を画する十六島海苔の味わいが堪能できます。

海産物松村の海苔

 かじってみると、シャキシャキとした歯ごたえ。その後に怒涛のごとく、海の味わいが押し寄せます。一度体験すると忘れられないほどの、猛烈な濃厚さ! 次第になめらかでコシのある食感に変わり、豊かなうま味が楽しめます。おにぎりやお茶漬けによし、日本酒やビールのおつまみにも最高です。

ピンクシャンパンのようなやさしい甘酸っぱさの「桑の実サイダー」

桑の実サイダー
江津市・桜江町桑茶生産組合「桑の実サイダー」(216円税込)

 薬膳において、肌のアンチエイジングにおすすめなのが「桑の実」。やわらかい粒が集まった細長い形をした実は、初夏の頃に赤黒く熟し、そのまま食べても甘酸っぱくておいしいフルーツです。英語でマルベリーとよばれ、美に貢献するスーパーフルーツとしても注目されています。乾燥させたものは「桑椹(そうじん)」とよばれ、腎の働きを高める生薬としても使われているのです。

 国産品を入手するのはなかなか難しいのですが、じつは島根では希少な桑の実を使った加工品が製造されています。島根県中央部に位置し、約9割が林野という手つかずの自然が残る江津市桜江町。「桜江町桑茶生産組合」では、桑の有機栽培を行い、桑の葉や実を使った加工品を製造販売しています。

 桑の実が熟すのは5月下旬~6月上旬ごろ。収穫時期がとても短く、なんと1年に2週間だけ。そのうえ、実は柔らかくてとても繊細。つぶれやすいので収穫も大変な作業です。

桑茶生産組合 桑の実サイダー

 そんな貴重な桑の実を使ったとっておきのドリンクが、日比谷しまね館で販売されています。「桑の実サイダー」(216円)は、桑の実そのものの味わいをいかして香料や着色料を一切使わずに仕上げたサイダー。グラスに注ぐと、まるでピンクシャンパンのような、うっとりする美しい色合い。野いちごのような、素朴でやさしい甘酸っぱさが楽しめます。

【アンテナショップ情報】
日比谷しまね館

<取材・文・撮影>池田陽子

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)