新鮮な本格ビールが工場で飲める。盛岡のクラフトビール醸造所

日本各地の醸造所で生産されているクラフトビールは地ビールともよばれ、個性豊かな味わいが人気です。日本ビアジャーナリスト協会主催の「世界に伝えたい日本のクラフトビール」で日本一に選ばれたこともある岩手県盛岡市の「ベアレンビール」を、地元出身で元CAの女優、藤原絵里さんが紹介してくれました。

ビール好き3人が盛岡でスタートしたベアレンビール

藤原さん

 ベアレンビールは、2001年の創業以来、「岩手が誇れるビールをつくろう!」という一貫した思いをもち続けた地域密着型の企業であり、地ビール醸造所の名前(商品ブランド)です。

 ベアレンはドイツ語で「熊」。岩手県の自然のイメージと、本来肉体労働が多く体躯のがっちりとした醸造職人をイメージして名づけたそう。他の地ビールメーカーと大きく違う特徴は、なんといっても、資本的なバックアップをどこからも受けずに、ビール好きの3人が集まってつくった醸造所だということ。

 始めた当初は自分たちの考えを守っていけるように有限会社という形を選び、その考えは株式会社になり従業員が増えた今も守り続けています。

100年以上前の仕込み釜でつくるクラシックビール

ビールの仕込釜

「とりあえずビール」「ビールはのどごし」。日本ではビールに対してそんな言葉が定着していますよね。ベアレンビールは、そんな日本でのビールの概念を変えるために、ドイツから船で運んだ100年以上前の仕込み釜で麦汁をつくり、冷却槽で時間をかけて放冷させるという、ヨーロッパの伝統的製法でクラシックビールをつくっています。日々飲み続けられる味わいながら、ぜいたくなコクと豊かな余韻にあふれる手づくりの本格ビールです。

ベアレンビール

 伝統を守ったつくり方のビールはもちろん、季節のビールもオススメ。夏は、岩手県産のラズベリーを使用した「ラズベリーエール」、ハロウィンの季節は「パンプキンエール」や「アップルラガー」、バレンタインの季節は「チョコレートスタウト」など、気になるビールがたくさんあり、ふるさと納税の返礼品にも採用されました。

 岩手県は全国の約半分を占める山ぶどうの産地ということで、岩手県野田村産の山ぶどう果汁「紫雫」を合わせた期間限定の「山葡萄ラードラー」には注目です。

 もう1つのこだわりが、自然な味わいだということ。香料無添加でビールと果実の味、香りを損ねず、保存料も一切使っていません。ほかにも岩手県産の海塩を使用した「イーハトーブの海」などコラボビールまで、どの商品も岩手県産の、新鮮で、ときには希少な原料を使ったこだわりのビールです。

新鮮なビールがその場で飲める、工場見学

工場見学で見れるホップ

 そんなベアレンビールの製造工程や工場内を30分ほどかけて案内してくれる工場見学もあります。筆者は、ビールになる前のモルト(麦芽)を初めて見ました! ドイツのモルトメーカーから直接購入している、こだわりのモルトだそう。

 ビール=冷たいものなので工場も涼しいのかな、と思っていましたが、とても暑くて驚きました。そして、いちばんの見どころの仕込み釜が、こんなに間近で見られる工場見学はあまりないのではないでしょうか。見学のみから、飲み放題のついたコースまでさまざまなので、子どもから大人までだれでも楽しめます。

 盛岡市内には地産地消をコンセプトにした直営店もあるので、盛岡にお越しの際は、ぜひベアレンビールを堪能してくださいね。

<取材・文/藤原絵里>

藤原絵里さん
俳優。岩手県盛岡市出身。23年間、岩手県で生まれ育つ。短大を卒業し、地元の温泉旅館の仲居に。着つけや日本文化に興味をもつ。その後、カタール航空のキャビンアテンダントへ転職。約4年、国際線に乗務し世界44か国を訪れる。海外での経験を通して、日本のよさ、岩手のよさを再認識する。現在は、女優として、映画やミュージカルに出演。代表作は速水萌巴監督『クシナ』、榊英雄監督『生きる街』など、多数。日本や東北の魅力を伝えられる作品にかかわっていきたいと思っている。

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