生産量日本一。広島のパワフルフード「クワイ」のとっておきグルメ

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.22/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は広島県のアンテナショップ「ひろしまブランドショップTAU(たう)」から美肌グルメをお届けします。

隠れた特産品。広島県は「クワイ」の生産日本一

ひろしまtau
広島県のアンテナショップ「ひろしまブランドショップTAU」

 お正月によく登場する「クワイ」。実から大きな芽が伸びた形から「めでたい」として、お祝いの席やおせち料理に使われることが多い野菜ですが、じつは薬膳面において、うれしいパワーがたくさんあるのです。

 クワイは、血行を促進して、肩こりや関節痛などの改善に役立ち、美容面においてもダイエット、美白におすすめ。また、のどの炎症、せき止め、たんのからみにもよいといわれる「のどあめフード」でもあります。さらに利尿作用が高く、むくみ、結石にも威力を発揮! お正月に食べるだけでは、もったいないパワフルフードなのです。

 クワイ生産量日本一を誇るのは、広島県。今回は、広島県アンテナショップ「ひろしまブランドショップTAU」から、クワイグルメをご紹介します。

 クワイの栽培が盛んなのが、広島県東部に位置する福山市。なんと全国シェア7割を誇ります。瀬戸内の日照量が多く、温暖な気候がクワイの生育に適し、もともと沼地に自生していたものを、明治時代から福山城周辺の堀に植えて栽培をスタートしたという歴史ある産地です。

 栽培されているのは「青クワイ」。ころんとした愛らしい円球形に、ピンと立った立派な芽。そしてつやのある美しい藍色から、「田んぼのサファイア」とも呼ばれています。

 高い品質を維持し、厳しく選別された「福山のクワイ」は2020年、地理的表示(GI)保護制度にも登録されています。福山のクワイは、ほっこりした食感で、ほろ苦さのなかに甘味があるのが特徴です。

福山のクワイ
福山のクワイ

 地元では、お正月以外も日常的に食べられています。学校給食にも登場し、煮物や揚げものなどの料理で味わうことが多いのだそう。ちなみに福山人にとって、クワイの素揚げはおつまみの定番。居酒屋のメニューには欠かせません。

ビールのつまみに最高! 大人のスナック「くわいっこ」

くわいっこ
福山市・福山クワイ協同組合の「くわいっこ」(670円)

 クワイは9月頃から春先にかけて収穫されます。旬の時期以外にも、気軽にクワイそのもののおいしさを気軽に楽しめるのが、福山クワイ協同組合の「くわいっこ」。なんと、おそらく日本初のクワイスナックです。芽がついたクワイをそのまま、まるごと素揚げして瀬戸内の塩をふったシンプルな味つけで仕上げてあります。袋を開けると、コロンとした愛らしいクワイたち。ときどき芽が折れているのもご愛敬(笑)。

くわいっこスナック

 カラリと揚がったクワイは、香ばしくてサックサク。ほんのりした甘味、独特のうま味、そしてほろ苦さがアクセントになって一度食べたすととまらない味わい! おやつにもよいけれど、なんといってもビールに最高! ビールまでとまらなくなる「大人のスナック」です。

ほろ苦さがアクセントになった「クワイのポタージュ」

クワイポタージュスープ
福山市・ぬまくま夢工房の「クワイポタージュスープ」(594円)

 瀬戸内および福山市の特産品を扱う福山市・ぬまくま夢工房の「クワイポタージュスープ」は、福山のクワイの味わいを手軽に楽しめるスープです。

 クワイの香り、苦味を残したままパウダー状に加工。でんぷんや、コンソメ、ホワイトペッパーなどを加え、クワイ本来の風味を残しながらも、親しまれる味わいに仕上げてあります。パウダーにお湯を注ぐと確かに、クワイ独特の少し薬のような香りが漂います。

 ひとくち飲んでみると、まずはポタージュのとろりとした甘さ。そのあとに、クワイのほろ苦い風味をふわっと感じます。けれどそれは、むしろ味わいにおいて効果的! まろやかなポタージュのぼやけた輪郭がいったんキリッとして、口の中をリセット。そしてまた、ひとくち……と極めて快適な食べ心地。苦みがアクセントになって、最後まで新鮮な気持ちで味わえるという、なんとも「ミラクルなポタージュ」!

クワイのポタージュスープ

 しかも、甘味と苦味のバランスが絶妙過ぎて、なんだかやみつきになる味わい! そして、いただいているうち、身体にジワジワとしみてパワーが出てくるよう。クワイの魅力をフルにいかした、新感覚のほろ苦な「大人のポタージュ」、ぜひお試しを。

ひろしまブランドショップTAU

<取材・文・撮影> 池田陽子

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)