生産量日本一のカキ王国。広島のアンテナショップで見つけた絶品グルメ

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.23/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は広島県のアンテナショップ「ひろしまブランドショップTAU(たう)」からカキを使ったグルメをお届けします。

アンテナショップで見つけた、カキのグルメを紹介

ひろしまTAU
広島県のアンテナショップ「ひろしまブランドショップTAU」

 今年もカキのシーズンが到来! カキは薬膳においてうれしいパワーがいっぱいです。まず、心に働きかけ、落ち込み気分と不眠を改善する作用があると言われています。カキの殻を砕いたものは精神安定・不眠の生薬として使用されているほど。不安感を解消して安眠によいとされるヒーリングフードなのです。

 そして血を補う栄養素も含まれるので貧血、立ちくらみ、疲れ目、美髪にもおすすめ。さらに中医学において老化をつかさどる臓器「腎」のパワーをアップし、アンチエイジングへの効果も期待大。

 また、のぼせや不眠に悩む更年期の症状に悩む人には、ぜひとも積極的にとってもらいたい食材。そのうえ肌にたっぷりと潤いを与える保湿パワーも! 潤って癒されるというなんともうれしいシーフードです。

 今回は広島の食の幸が揃う広島県アンテナショップ「ひろしまブランドショップTAU」から、とっておきのカキグルメを紹介します。

 カキ生産量日本一を誇る広島県。その数は全国総生産量の60%強と、国内のカキの過半数を供給する「カキ王国」です。
 広島のカキ養殖は室町時代の終わりには始まっていたといわれ、戦後いかだを使った垂直式の養殖方法を導入したことで、生産量を飛躍的に伸ばし、現在、その量は1万6千トンを誇ります。

 栄養豊かで波が穏やかな瀬戸内海で育った広島のカキは、殻が小ぶりですが身入りが多くプリッとした食感、濃厚な味わいが魅力です。

カキのおいしさを閉じ込めた「広島牡蠣のキッシュ」

キッシュ
呉市・おうちレストランNISHIKI「広島牡蠣のキッシュ」(540円)

 広島県呉市「おうちレストランNISHIKI」は、オーナーシェフ西牧竜也さんによる、フレンチが楽しめるレストラン。自家菜園の無農薬野菜や天然ものの魚介類を使った料理がアットホームな雰囲気で味わえると、多くのファンをもつお店です。

 コロナ禍にあってスタートしたテイクアウトのメニューも大好評。なかでも人気を集めているキッシュメニューがTAUにも登場しました。

「広島牡蠣のキッシュ」は、蒸し焼きにしてうま味を凝縮させた大粒のカキを加えた卵生地をタルトに流し込み、チーズをふって焼き上げたキッシュです。

 冷凍のまま、オーブンでリベイクすること約10分。ふんわりとやさしい卵の香りとともに焼き上がったキッシュをいただきます。タルトはほんのり甘くてサクサク。口当たりなめらかでやさしい味わいの卵生地、こんがりチーズ、加熱してもぷっくり、風味豊かなカキのうま味が口の中いっぱいに広がります。

 いうならば「ほっこりクリーミー」な味わい。カキのおいしさをとことん堪能できる、とっておきキッシュです。

とろりとした口あたり、濃厚な豆腐のような「カキの燻製」

かきくん
広島市・マルヒロ水産「かきくん」(972円)

 多彩なカキ商品がならぶTAU。根強い人気を誇るのが、カキ養殖を手がける広島市・マルヒロ水産「かきくん」。1年でもっともおいしいとされる2~3月に水揚げされたカキを使用。試行錯誤を重ねて2年がかりで完成したという、燻製オイル漬けです。

 スチームボイルでうま味を凝縮して自然乾燥させたのち、中国山地の山桜チップでじっくりいぶします。さらに、ヒマワリ油と菜種油をブレンドしたオイルに漬け込んで完成。調味料は一切使わずに、カキ本来のうま味を生かして仕上げてあります。

カキのオイル漬け

 燻製の風味がほんのり漂うカキは、とろりとした口当たり。かむとレバーのようなしっとり食感。その味わいはカキ特有のクセがなく、豊かな甘味とコクだけが、まろやかに感じられて、まるで濃厚な豆腐のよう! カキのエキスがぎゅっと染み込んだオイルはぜひ、パスタに使うと最高のおいしさですよ。

大粒のカキを串刺しに! おつまみに最高な「カキ大将」

カキ大将
広島市・ふくびし「カキ大将」(430円)

 おつまみにぴったり、しかもワンハンドで食べられるカキグルメを発見! 広島市・ふくびし「カキ大将」は、ボイルした大粒のカキを味つけして、串に刺した商品です。広島駅でも、新幹線に乗車するビジネスマンたちに人気のおつまみだそう。

カキ串刺し

 広島県内でもひときわ粒が大きく、味がよいことで知られる、廿日市市地御前地区のかきをボイル。さらに、ボイルしたときに抽出される液を、長時間濃縮した「カキエキス」入りのタレに漬け込んで仕上げてあります。

 ふっくらぷりっとしたカキは、ひと口かじるととんでもないほどうま味炸裂! 少し甘めのタレでコクがあり、日本酒のおつまみにぴったり。レンジで加熱して、温めるとご飯にもぴったり。常温で保存できるので、お土産にもおすすめです。

ひろしまブランドショップTAU

<取材・文・撮影> 池田陽子

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)