サツマイモでパワーアップ。茨城アンテナショップの「干しいも」グルメ

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.24/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は茨城県のアンテナショップ「IBARAKI sense(イバラキセンス)」から干しいものグルメをお届けします。

パワーアップにうれしいサツマイモ。干しいもで手軽に

イバラキセンス
茨城県アンテナショップ「IBARAKI sense」

 秋を代表する味覚といえば「サツマイモ」。薬膳においてサツマイモは、滋養強壮に優れた食材。消化をつかさどる脾を強め、人間のエネルギ―源である「気」を補い、パワーアップに役立ちます。中国では昔から滋養強壮によく、生命力を養う「最高のご長寿食材」とされてきました。免疫力アップや便秘改善にも役立ち、美容面においてはハリのある弾力肌づくりにもおすすめです。

 今回は茨城の食の幸が揃う茨城県アンテナショップ「IBARAKI sense(イバラキセンス)」から、とっておきのサツマイモグルメを紹介します。茨城県は、サツマイモの生産量が全国第2位を誇ります。そして、干しいもは全国1位。なんと全国の9割を生産するという、「一大干しいも王国」なのです。

 県内でも、干しいもの生産が盛んなのは、ひたちなか市・那珂市・東海村。サツマイモの生育に適した、火山灰由来の水はけのよい土壌を有するエリアです。そして冬場に晴天の日が多く、海風が吹くという環境がサツマイモの乾燥に適していたことから、一大特産地となりました。

 茨城の干しいものおいしさは、恵まれた環境だけではありません。干しいもの加工工程は、サツマイモを蒸してから切り、乾燥させるという、いたってシンプルなもの。砂糖や添加物は一切使いません。だからこそ、サツマイモの品種ごとにそのよさをいかすべく、ひとつひとつの工程において熟練の技が必要です。

 イバラキセンスには、そんなこだわりをつくしたおいしい干しいもが、ズラリと並びます。商品には、使われているサツマイモや、「あまさ/しっとりほくほく/やわらかねっとり」の項目で判定した「干しいも味グラフ」が表示され、見ているだけでもワクワクします。干しいもコーナーはとくに、12月~3月にそのラインナップが充実するそうです。

止まらなくなるおいしさの「海風ほしいも」

海風ほしいも
ひたちなか市・幸田商店「海風ほしいも」(510円)

 ひたちなか市「幸田商店」は、1948年に創業した、干しいも専業メーカーです。おいしい干しいもをつくるためのサツマイモを自社農園で栽培し、もっとも製造に適した時期に収穫。品種に合わせたベストな温度で、ゆっくり時間をかけて蒸し上げ、天日干しにして仕上げています。

「海風ほしいも」は、茨城県産「玉豊」種を使用した干しいも。玉のような形が特徴で、茨城の干しいもに使われるスタンダードな品種です。素朴ですっきりした甘味に仕上がり、地元では根強い人気があるそう。

 海風ほしいもは、自社農園で栽培した良質な玉豊を冬の海風で天日干しにて、じっくり甘味を引き出して仕上げます。

海風ほしいも皿

 玉豊を使った干しいもは、少しひなびた色合いに仕上がりますが、食べてみると、そのしみじみしたおいしさは感動モノ! しっかりしたかみごたえで、サツマイモ本来の素朴な味わいが楽しめます。そして、かみしめるたびに、ジワジワと広がるどこか懐かしい、おだやかな甘味。後味がスッキリしているので止まらなくなってしまうおいしさです。

華やかな甘さの「べにはるか 丸干し」

紅はるか
ひたちなか市・幸田商店「べにはるか 丸干し」(602円)

 同じく、幸田商店「べにはるか 丸干し」は、甘みが強く、焼きイモにしてもおいしい品種「紅はるか」を使った干しいもです。

 干しいもといえば通常はスライスした「平干し」が主流ですが、こちらは「丸干し」。茨城ならではのスタイルで、蒸した芋をまるごと干しであります。平干しに比べて分厚いために乾燥に時間がかかり、生産量は少なく貴重品。けれど、水分量が多くねっとりした独特の食感が楽しめます。

 べにはるか 丸干しは、紅はるかの上品な甘さとやわらかさをいかしながら、丁寧に、ゆっくり干し上げてつくられます。

紅はるか まるぼし

 まるでスイートポテトのような美しい黄金色の丸干しは、はちみつが入っているかのような、華やかな甘さ。もっちりした食感、しっとりなめらかな口どけでが楽しめます。干しいもというより、「極上のスイーツ」という表現がふさわしい逸品! 丁寧にいれた紅茶と一緒にいただきたい味わいです。

まるで高級ブランドのクッキー「干しいもスイーツ」

プレスタ
東海村・圷ほしいも直売所「硬派なほしいも ぷれすた」(806円)

 イバラキセンスには、干しいもを使ったスイーツもたくさん揃っています。東海村・圷(あくつ)ほしいも直売所「硬派なほしいも ぷれすた」は、なんと干しいもをプレスした新感覚のお菓子。

 圷ほしいも直売所は、苗栽培からほしいも加工まで自社一貫生産しています。土壌燻蒸剤を使用せず、発酵させた竹パウダーや微生物で元気にした土壌において、できる限り農薬を使わず、減農薬栽培で育てたサツマイモを使って干しいもを製造しているのです。

 そのままでもおいしい干しいもを、さらに1枚1枚プレスして、一切油を使わずに焼き上げ、完成。

ぷれすた

 驚くのは、あの干しいもからは考えられないほどの、パリパリサクッサクの食感。そして砂糖や調味料は無添加、サツマイモのみでつくられているのに、その味わいは「高級ブランドのクッキー」のよう! サツマイモの豊かな甘味、香り高い風味に圧倒されます。単なる「チップス」とは一線を画する、干しいもスイーツ、ぜひ試してみて!

■ IBARAKI sense(イバラキセンス)

<取材・文・撮影> 池田陽子

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)