つくりおきにも。発酵調味料「ひしお」でおいしくなる野菜のおかず

―【アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(47)】―

女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、奈良県のブランドショップ「奈良まほろば館」で見つけた、「古代ひしお」を使ったおいしいレシピをご紹介します。

麹と塩でつくるひしおは万能調味料

奈良料理

 健康な食生活に欠かせない発酵食品。漬物や納豆、しょうゆ、みそなど日本でも伝統食品として古来より使われています。

 今回ご紹介するのは「ひしお(醤)」。麹と食塩でつくる発酵調味料のことで、「醤」は豆板醤や甜面醤、XO醤など中国の発酵調味料の名前に使われています。

 東京にある奈良県のブランドショップ「奈良まほろば館」で見つけたのは「古代ひしお」(70g 1512円/奈良県醤油工業協同組合)。奈良県醤油工業協同組合の有志12社、『なら食』研究会、奈良県工業技術センター(現・産業振興総合センター)からなる「ひしおの会」によって、奈良時代のひしおを2010年に「古代ひしお」と銘打ったものです。

古代ひしお

「古代ひしお」は、黒大豆、大麦、コウリャン、食塩からつくられた穀物由来のひしおでしょうゆやみその原点。ちょっと高価ですが、友人が数年前から手づくりのひしおに凝っていて、食塩の代わりにひしおを使うだけでいつもより数段おいしくなるし、発酵調味料で体にいい!と力説していたのを思い出し、購入してみました。

ひしお

 塩分はしょうゆぐらい。ただ後味がまろやかです。発酵した大豆はなんとなく形が残っているように見えますが、食感としては気にならないので、そのまま料理の味つけに使えます。そのままご飯にのせたり、豆腐にのせるたりするだけでも楽しめます。今回は、だしやほかの調味料を入れなくてもおいしくできるという、野菜のおかずに挑戦です。

つくりおき料理におすすめ「古代ひしお」レシピ

ナムル

 ニンジンのナムル、無限ピーマン、キノコのマリネ。よくつくりおきする野菜のおかずを「古代ひしお」で調味。たしかにやさしい塩味とうま味で、じんわりおいしい仕上がりに。おすすめです。

●アレンジレシピ「ニンジンのレンジナムル」

 ニンジンの千切りにゴマ油をかけてレンジでチン。「古代ひしお」と酢、いりゴマを加えればできあがりです。ニンジンの常備菜はつくっておくと、お弁当にも使えて重宝します。

ニンジンナムル

【材料】つくりやすい分量
ニンジン…1本
ゴマ油…大さじ1
「古代ひしお」…小さじ1
酢…大さじ1
白いりゴマ…大さじ1

【つくり方】
① ニンジンは千切りにする。
② 耐熱ボウルに入れ、ゴマ油を加えてさっと混ぜたらラップをかけ、600Wの電子レンジに約1分10秒かける。
③「古代ひしお」、酢、いりゴマを加え混ぜる。

ニンジンナムルレシピ

●アレンジレシピ「無限ピーマン」

 いつの間にか定番おかずになったピーマンとツナ缶でつくる「無限ピーマン」。こちらも「古代ひしお」でひと味まろやかなおいしさに。ご飯にも、酒の肴にも合います。ツナは水煮でもオイルでも。ツナ缶の汁気があるので、ゴマ油は小さじ1で香りづけに。

無限ピーマン

【材料】つくりやすい分量
ピーマン…5個
ツナ缶…1缶
ゴマ油…小さじ1
「古代ひしお」…小さじ2
黒コショウ…少々

【つくり方】
① ピーマンは種を取り、千切りにする。ツナ缶は汁気を軽くきる。
② 耐熱ボウルに①を入れ、ゴマ油を加えてさっと混ぜたらラップをかけ、600Wの電子レンジに約2分かける。
③「古代ひしお」、黒コショウを加え混ぜる。

無限ピーマンレシピ

●アレンジレシピ「キノコのマリネ」

キノコのマリネも「古代ひしお」で。オリーブオイルとの相性も抜群です。

キノコマリネ盛付

【材料】つくりやすい分量
シメジ…1パック
マイタケ…1パック
シイタケ…4枚
エリンギ…1本
ニンニクのみじん切り…1/2片分
オリーブオイル…大さじ1
白ワイン…大さじ1
「古代ひしお」…小さじ2
レモン汁…小さじ2
青ジソのみじん切り…3枚分

【つくり方】
① キノコは石づきを切り、食べやすい大きさに切る。
② フライパンにオリーブオイルとニンニクを熱し、香りがでたら、キノコを加える。全体に油が回ったら、白ワインと「古代ひしお」を加えて蓋をする。
③ キノコがしんなりしたら火を止め、レモン汁と青ジソを混ぜる。

キノコのマリネ

●アレンジレシピ「インゲンの肉巻き 卵黄ひしおだれ」

「古代ひしお」についていたレシピ集にあったソースをヒントにたれをつくってみました。とろりとした卵黄だれで、いつもの肉巻きがごちそうに変身。ステーキや魚介のソテーにもおすすめです。

インゲン肉巻き

【材料】2~3人分
豚の薄切り肉…6枚
サヤインゲン…18本
塩、コショウ…各少々
サラダ油…大さじ1/2
卵黄ひしおだれ(卵黄…1個、「古代ひしお」…小さじ2、和からし…小さじ1)

【つくり方】
① サヤインゲンはさっとゆでて、へたを切り落とし、半分に切る。
② 豚肉を広げ、軽く塩、コショウをふる。1枚につき、サヤインゲン6本を巻く。
③ フライパンにサラダ油を熱し、②の巻き終わりを下にして並べ入れ、全体に焼き色をつける。
④ 好みで食べやすい大きさに切って器に盛る。
⑤ 卵黄ひしおだれは材料を合わせてよく混ぜ、別の器に入れて添え、好みの量をかける。

卵黄ひしおだれ

 奈良県のブランドショップ「奈良まほろば館」で見つけた「古代ひしお」。いろいろ使っていたらあっという間になくなっていまいました。発酵調味料、いいですね。またチャレンジしてみたいと思います。

「奈良まほろば館」は、2021年の夏に日本橋から新橋に移転しました。2階にはレストラン&バルも併設。銀座通り沿いで、新橋駅からも近いですよ!

奈良まほろば館
奈良県ブランドショップ「奈良まほろば館」

撮影・文・料理制作/坂口明子

―【アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案】―

坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。