珍味「タコとんび」や黒豆ゼリーも。足腰のトラブルにうれしい岩手グルメ

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.29/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」から足腰パワーアップグルメをお届けします。

多くの日本人が抱える足腰の悩みに強い味方

いわて銀河プラザ
岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」

 なんだかいつも腰が痛い、しょっちゅうこむらがえり…。足腰のトラブルはしんどいもの。薬膳で体の中からケアしましょう。

 中医学では「腰は腎の府(容器)」といわれ、「腎」とよばれる臓器との関係が深いとされています。腎は老化をつかさどり、骨や髄とも関わる臓器。よって腎が弱ると腰痛、腰が重だるい、足腰に力が入らないといったトラブルが起きてしまいます。改善のためにおすすめなのは、クルミ。中国では足腰強化には欠かせない木の実なのです。

 また、ぎっくり腰の場合は、血行不良がおもな原因と考えます。こちらは、黒豆が強い味方。血を補って巡らせるというパワーがあり、早期回復に役立ちます。

 こむらがえりは、中医学で筋肉をつかさどる「肝」とよばれる臓器の働きが低下していることから起きるとされています。症状を改善するためには肝のパワーをアップするタコがおすすめです。

 今回は、いわて銀河プラザから、足腰のパワーアップにおすすめのグルメを紹介します。

やさしい味わいの岩手で愛されるクルミのむき実

SAVE IWATEの和ぐるみ
盛岡市・SAVE IWATEの「和ぐるみ(むき実)」

 岩手の郷土料理でよく使われるのが「クルミ」。お雑煮の中に入っているもちを「クルミだれ」につけて食べたり、クルミご飯、クルミ豆腐、クルミ和えなどの料理は、家庭の定番メニューです。

 じつは、岩手は日本で自生する「和グルミ」の特産地。オニグルミという品種で、あっさりとしたやさしい味わいが魅力です。ただし、オニグルミは殻が厚めでとても固いので、割るのがなかなか大変。そんなオニグルミのむき実をいわて銀河プラザで発見しました。

 SAVE IWATE「和ぐるみ(むき実)」(540円)は、岩手県産のオニグルミを割って丁寧に皮を取り除いた商品です。かじるとしっとりとした食感、えぐ味や渋味がなくてやわらかい甘味、深いコク。海外産のクルミとは違う、おだやかな味わいに驚きます。

和ぐるみ

 料理やスイーツにトッピングしたり、すり鉢ですって和え物に使うのもおすすめ。食感とコクで、料理がワンランクアップするはずです。

 ちなみに、いわて銀河プラザには殻付きのクルミ、クルミ割り器も販売されているので、むきたての味も楽しんでみてはいかが?

知る人ぞ知る珍味。「北三陸タコとんび」

越戸商店のタコとんびバル
普代村・越戸商店の「北三陸タコとんびバル」

 岩手県北三陸エリアで多く水揚げされるのが「ミズダコ」。やわらかくて甘味が強いのが魅力です。岩手県沿岸北部に位置する普代村で、水産加工を行う越戸商店の「北三陸タコとんびバル」(764円)は、ミズダコの口の部分「タコとんび」を使ったユニークなグルメです。

 新鮮なミズダコを使った蒸しダコが人気の越戸商店。タコの部位のなかでも、味と食感はもっともおいしい、というタコとんびを、手軽においしく味わってもらいたいと試行錯誤。そのうま味を引き出す調理法を、2年がかりで開発したそうです。

 タコとんびは当然ながら、タコ1匹あたりから1個しかとれない貴重な部位。まとまった量が手に入りづらいため、「知る人ぞ知る」という珍味を、蒸気で蒸し上げて、プリッとふっくら仕上げます。さらにあぶってからレモンで風味をつけて、「バル風」の一品に。

 初めて見るタコとんびは、まるっこい不思議なかたち。黒い部分はタコの歯なので、そのまわりをくるりとむいていただきます。

北三陸タコとんびバル

 食べてみるとまたまた不思議!「タコのやわらか煮」のようなほどよくプリプリ、ふっくらしたやわらかさがありつつも、歯のまわりの身はシコシコとした貝のよう。一方、歯の中の身はしっとりしてお魚のよう。そしてかむたびに広がる豊かなうま味に感動!

 これまでにないタコグルメは、ワインやハイボールのおつまみにぴったりですよ。

透き通るような味わいの「黒豆ゼリー」

竹屋の黒豆ゼリー
久慈市・竹屋の「黒豆ゼリー」

 いわて銀河プラザで高い人気を誇るのが久慈市・竹屋の「黒豆ゼリー」(184円)。竹屋は昭和31年に創業、厳選した岩手県産黒豆を使ったお菓子が人気のお店です。

 黒豆ゼリーに使われているのは黒豆の煮汁。豊かな香りと素朴な味が特徴という岩手の黒豆を、日本三大鍾乳洞のひとつとして知られる「龍泉洞」内の地底湖から湧き出る水で煮込みます。

 名水百選にも認定された清らかな水を使った煮汁に加えるのは、はちみつと、寒天のみ。添加物や着色料は一切不使用のゼリー液に、黒豆そのものも加えて固めて仕上げます。

黒豆ゼリー

 極めてシンプルなゼリーは、透き通るような味わい。たとえるならば「フレッシュな水ようかん」。さりげない甘味、ベタつかずスッキリした後口です。つややかに煮上がったシルキーな黒豆の食感も、心地よいアクセント。一度食べると忘れられない、記憶に残る味わいです。

■ いわて銀河プラザ

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)