「栗の小径」はクリの産地、小布施の銘菓
数年前に長野旅行に行きまして(今となっては旅行というもの自体を遠くに感じてしまいますが…)。その際にも立ち寄ったのが小布施堂(おぶせどう)。わが家はクリが、とくに小布施堂のクリ菓子が大好物。もちろん渡しても喜ばれる定番の長野お土産…ということで今回は小布施堂のすてきな詰め合わせ「栗の小径」を取り上げて、あらためてその魅力に迫りたいと思います。
長野県東北部に位置する小布施町は、栗の名産地。県内でもっとも面積の小さい自治体でもあり、生産量そのものが多いというわけではないのですが、徳川の将軍家にも献上されたという「ブランド栗」ぶりは今も健在。
そしてその栗を使った小布施堂の「栗の小径」ですが、栗鹿ノ子・楽雁・栗羊羹のセットとなっています。
小布施堂の名物3品を食べ比べ
小布施堂と言えばこの3点でしょう! といそいそとパッケージを開き……(またこの上品なデザインが好きなんですよね。小布施町の歴史ある蔵や、瓦屋根が並ぶ町並みと栗をもとに2017年にリニューアルされたデザインだそうです)。
まずは栗鹿ノ子からいただきます。ちなみに「クリきんとん」は東京近郊では「お正月に食べるサツマイモとクリの料理」、中部地方では「クリと砂糖だけで練ったクリあんにクリを入れた和菓子」と、地方で定義が異なるんだそう。小布施堂HPでは「クリきんとん」とも表記があったので栗鹿ノ子=(和菓子としての)クリきんとん、ですね。
さてその栗鹿ノ子、ア~しみじみとうまい~。甘くて濃厚なクリのペーストの中にクリのかたまりが3つゴロゴロと入っています。口当たりもなめらかでスッと溶けて後味さっぱり。
焼いたトーストに乗せてもうまいという話を聞いたけどどうなのでしょう。もったいなくてできなかった。お次は「栗羊羹」を冷やしていただきます。
素朴なんだけどめちゃくちゃおいしそうなビジュアルです。缶というのがまたいいんだろうな。栗鹿ノ子よりさらにクリの濃厚さをガツンと感じられます。栗鹿ノ子はお砂糖の感じもあったけれども、こちらはクリそのものを食べているような感覚。あっという間にペロッと食べてしまいます。バケツ1杯食べたい。最後は「楽雁」を。
この渋い見た目よ。茶席や供物の代表的干菓子で、小布施の場合は赤エンドウの粉を練って乾燥させたものだそう。ポリポリと心地よい食感と、優しい甘さが口の中で溶けていきます。
そんなわけで「栗の小径」3種、あっという間に食べきってしまいました。今回の定番の品ももちろんおいしく日もちもするし小分けもできる、詰め合わせのバリエーションも豊かと完全におすすめなのですが、私のあこがれは「かき氷」そして「栗の点心 朱雀」!
「かき氷」はクリあんソースとクリあんがふんだんに氷にかかった、本店でのみ味わえる夏の風物詩。「朱雀」はさらにレアで、新クリの季節9~10月にしか味わえないしろもの。「栗の点心 朱雀」はクリあんの上に注文を受けてから蒸して裏ごししたクリを乗せたものだそう。
どちらも現地に行かなければ食べられず、いつになるかわからないと思えば思うほど欲してしまいます。早くあちこち旅行に行ってご当地うまいものを気兼ねなく食べられる世の中に戻りますように。
小布施堂
「栗の小径(6個入)」3,240 円(税込)
日もち ★★★★☆
配りやすさ ★★★★☆
小布施のクリを味わいつくす度 ★★★★★
西園フミコ
漫画家。「コミックDAYS」で2018年から全国のおみやげをとりあげる『おみやげどうしよう?』を連載(全4巻)。