3月8日はサバの日。冷えを青森県八戸のサバパワーでのりきろう

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.30/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は青森県南東部・八戸圏域のアンテナショップ「8base」からサバグルメをお届けします。

青森県南東部8市町村のサバグルメに注目

8base
青森県南八戸圏域8市町村のアンテナショップ「8base」

 手や足がいつも氷のように冷たい、足の先が冷たくて眠れない…。手足の末端の冷えは、血の巡りの悪さが原因と考えます。中医学で「お血」といわれる状態で、体に栄養を与える大切な成分である血が十分に手足の末端まで行き届かないために冷えてしまうのです。

 冷えに加えて、しもやけや、肩こり、関節通、頭痛といったトラブルをともなうこともあります。改善のためには血行を促進する食材を取り入れることが大切です。

 おすすめはサバ。薬膳で「活血」とよばれる効能があり、読んで字のごとく血行を促進して老廃物を洗い流す働きがとても高いのです。まだまだ続く寒さを、サバパワーでのりきりましょう。

 今回は、青森県南東部8つの市町村のグルメがそろう八戸都市圏交流プラザ「8base」(エイトベース)から、とっておきサバグルメをご紹介します。

 八戸圏域を代表する魚といえばサバ。八戸市のブランドサバ「八戸前沖さば」は三陸沖以北の日本近海で漁獲し、八戸港に水揚げされます。

 八戸はサバの本州における最北端の漁場。秋の早い時期から海水温が下がり、冷涼な親潮によって育まれ八戸前沖さばは、脂ノリがバツグンです。脂が身全体に入り、肉でいえば、「霜降り」状態。まさにサバの大トロ! きわめつきのとろける味わいで、刺身でも煮ても焼いてもバツグンのおいしさです。

うま味引き立つ「八戸前沖さばの串焼き」

サバの串焼き
マルヌシの「あおもり串酒場 サバ 津軽海峡の塩」

 八戸前沖さばを使ったワンハンドで楽しめるグルメを発見しました。昭和27年創業、八戸港のすぐそばに位置する水産加工メーカー・マルヌシの「あおもり串酒場 サバ 津軽海峡の塩」(400円)は、八戸前沖さばを串に刺してじっくり焼き上げた商品。

 味つけに使われているのは下北半島・風間浦村にある「駒嶺商店」の「津軽海峡の塩」。沖合80mの海底からくみ上げた地下海水を、16~20時間かけてゆっくり蒸発させながら煮詰めてつくられ、まろやかな味わいが特徴です。

サバの串焼き

 串焼きのサバをかじってみると、少しスモークされたような香ばしい風味。そして、八戸前沖さばならではのとろけるような脂のり、ふくよかなうま味が口の中に広がります。味つけが塩だけとは思えない、「青森コンビ」が生んだ豊かな味わいに驚きます。ビールも日本酒も思わずすすんでしまいそうなおいしさです。少し温めて食べるのもおすすめ。

まろやかな酸味であとを引く「キムチしめさば」

しめさば
マルカネの「キムチしめさば」

「8base」はしめサバのラインナップも豊富です。さまざまな味つけのしめサバがズラリと並びますが、ユニークなのがマルカネの「キムチしめさば」(450円)。

 マルカネはおもにサバの水産加工品を製造するメーカー。八戸市で開催される日本最大級の朝市「館鼻岸壁朝市」にもサバ専門店として出店、高い人気を誇っています。

 しめサバは、サバの身に含まれる水分を取り除き、身を締めて食感を高めるために、サバの切り身をキッチンペーパーで包み、粉状調味料をまぶす「紙技」という独自の技術を施してつくられます。

しめさば

 キムチしめさばは、八戸前沖さばを使用。唐辛子や魚醤、だしなどを加えてキムチ風味に仕上げてあります。しめサバとピリ辛キムチの相性はバツグン。辛味はマイルドでサバの味わいがしっかりと感じられ、発酵感のあるまろやかな酸味で、あと引くおいしさです。ゴマ油を少しかけると、ご飯がすすむ味わいになりますよ。

レストランで大人気の「鯖パテ」

鯖パテ
8baseのオリジナル「鯖パテ」

 8baseのオリジナルサバ商品もあります。「鯖パテ」(400円)は併設されているレストランで提供され、あまりの人気に商品化されたという一品。サバのほぐし身に、クリームチーズ、ニンニク、青南蛮、みそ、米麹、みりん、しょうゆなどを加えて仕上げてあります。

サバパテ

 サバのうま味がきいた濃厚なパテは、ほどよいピリ辛で一度食べるとクセになる味わい。野菜スティックやクラッカーにつけると、お酒のつまみにバッチリ! 青森県南部エリアならではの「南部せんべい」に、そばや麦でできた生地をゆでた郷土料理「かっけ」につけて食べてもおいしくいただけます。また、ご飯の友としてもよし、バケットにのせてもよしと和洋万能なのも魅力です。

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)