ナガイモ、リンゴ、豆類。パワーアップにうれしい八戸エリアのグルメ

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳vol.31/池田陽子]―

美容や健康の観点から人気の薬膳料理。疲れた現代人を癒す薬膳の素は、全国各地に存在します。そこで、薬膳アテンダントの池田陽子さんがアンテナショップで入手できる選りすぐりの薬膳グルメを紹介。今回は青森県南東部・八戸圏域のアンテナショップ「8base」からパワーアップグルメをお届けします。

疲れたときは気を補う食材がおすすめ

8base
青森県南八戸圏域8市町村のアンテナショップ「8base」

 最近なんだか疲れやすい。ぐっすり寝ても疲れがとれない…。中医学では疲れやすい状態は「気が不足した状態」と考えます。気とは全身のいたるところを流れている目には見えないエネルギー。生命活動を維持するエネルギー源である気が不足すると、常に倦怠感や疲労感があり、新陳代謝も悪くなるので、美容にも悪影響を及ぼします。パワーアップのためには、気を補う食材をしっかりと取り入れることが大切です。

 おすすめはナガイモ。薬膳では気を補う代表的な食材です。「山薬」の名前で生薬としても使われるほどそのパワーは絶大。疲労回復、滋養強壮、体力増進に威力を発揮する、まさに「食べる栄養ドリンク」! アンチエイジングや美肌にもおすすめです。

 豆類も、中医学で気と関わりの深い臓器「脾」の働きを高めて、気を速やかにチャージする効果があります。
 フルーツではりんごがおすすめ。気を補うとともに、胃腸虚弱、便秘、下痢の改善にも役立ちます。
 今回は、青森県南東部8つの市町村のグルメがそろう八戸都市圏交流プラザ「8base」(エイトベース)からパワーアップにうれしいグルメをご紹介します。

リンゴのような食感のナガイモ甘酢漬け

ながいもくん
五戸町・中里青果の「芋の唄 ながいもくん」

 青森県は全国有数のナガイモの生産地。国内シェアの約4割を占めています。生産が盛んなのは南部地方です。県内で栽培されているのは青森で誕生した「ガンクミジカ」という系統のもの。色白でねばりが強く、やわらかでアクが少ないという特徴があります。その品質の高さは、市場でも高い評価を得ています。

 青森のナガイモを手軽においしく味わえるのが、五戸町「中里青果」の「芋の唄 ながいもくん」(420円)。ナガイモの甘酢漬けです。中里青果は、火山灰土壌からできた肥沃で水はけのよい黒土で自社ブランドナガイモ「里の唄」を栽培、加工、販売まで行っています。

 ながいもくんは、漬物に適しているという、直径が細めで長さも40センチ程度のサイズだけを厳選して使用。通常のナガイモより繊維が細かいので、漬物にしても歯ごたえが軽く、フレッシュな食感が楽しめます。

ながいもくん

 味つけは甘酢をベースに、シソ風味、ワサビ風味、ユズ風味の3種類を用意。今回ご紹介している、シソ味は、ほんのりきれいなピンク色。カットすると、ちょうどよい一口サイズになるので、ピンチョスにも使えそうなビジュアルも魅力です。

 食べてみると、まるでリンゴのようなサクサク感! 漬物なのに身が締まることなく、生のような軽快な歯ごたえが楽しめます。ほどよい甘酸っぱさ、シソの風味がさわやかでとまらなくなるおいしさです。

8baseだけで販売中。南部町のリンゴジュース

りんごジュース
久保田農園「りんごジュースストレート」

 リンゴ生産量日本一を誇る青森県。生産地としては津軽地方が有名ですが、南部地方も知る人ぞ知る、リンゴの産地。昼と夜との気温差が高いという気候をいかして、品質の高いリンゴが栽培されています。

 そんな南部町のリンゴのおいしさをジュースで味わえるのが、久保田農園「りんごジュースストレート」(690円)。購入できるのは8baseのみというジュースは、毎日、ほぼ完売の大人気商品。

りんごジュース

 甘みと酸味がほどよい「サンふじ」、酸味が強い「紅玉」、甘味が強く酸味が少ない「静香」、甘味はあるけれど甘すぎず濃厚な「4-23」と4つの品種をブレンドした100%ストレートジュースです。

 飲み口はさっぱり。そしてまろやかで、やわらかいおだやかな甘味が、なめらかに口の中に広がります。とがったところがまったくない、やさしい味わいにホッと癒されます。

青大豆の風味の南部地方のおやつ「青豆しどき」

青豆しとぎ
八戸市・しんぼりの「青豆しとぎ」

 8baseでちょっと珍しいスイーツを発見しました。八戸市・「しんぼり」の「青豆しとぎ」(400円)です。「豆しとぎ」は、南部地方の伝統的なおやつ。もともと、「しとぎ」は米をつぶして粉にして水でこめて丸めたもので、津軽地方ではあんこ入りでつくられています。一方、南部地方は冷害に見舞われることが多く、米が貴重だったことから青大豆も加えてつくり、あんこはなし、というスタイルになったとされています。

 青豆しとぎのつくり方はシンプルです。青大豆を煮てつぶし、米やもち米の粉、砂糖などを混ぜてこね、かまぼこ状にまとめます。

青豆しとぎ

 そのまま食べても青大豆のいきいきした風味がいっぱい、やわらかくてほろりとした食感でおいしいのですが、こげ目がつく程度に焼いて食べるのがおすすめ。

 焼いた青豆しどきは、香ばしく、豆の風味や甘味が引き立って、ホックリした食感に。ふかしたサツマイモを思わせるような、素朴で懐かしい味わいが楽しめます。

■青森県八戸都市圏交流プラザ 8base

―[日本全国アンテナショップでゆる薬膳/池田陽子]―

池田陽子さん
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。宮崎県生まれ、大阪府育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは? という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。近著に『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング)ほか、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)