おいしい漬けだれにも。銘酒「八海山」の酒粕は万能調味料だった

―【アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案(49)】―

女性誌の料理企画の編集歴はウン十年。フードコーディネーターの顔ももつ、編集者兼、出版プロデューサーの坂口明子さんが、新潟県のアンテナショップ「表参道・新潟館ネスパス」で見つけた、「八海山の酒粕」を使ったおいしいレシピをご紹介します。

「八海山」のなめらかでコクのある酒粕を料理に

酒粕

 酒粕というと、祖母がつくってくれた甘酒を思いだします。麹ではなく酒粕ならでは発酵の香りとまったりとした甘さとともに、ひんやりとした縁側に座り、ふうふうと冷ましながら、梅の花が咲き始めたばかりの早春の庭の風景がよみがえるようです。

 その後、何度か板状の酒粕をいただくことがありましたが、そんなに甘酒を飲むわけでないし、肉や魚を漬けるといっても、粕床をつくるのも面倒で、使いこなせないままに終わっていました。
 でも今回、新潟県のアンテナショップ「表参道・新潟館ネスパス」の冷蔵コーナーで「八海山 酒粕」(300g 324円/魚沼新潟物産)のやわらかなピンク色に魅かれ、久しぶりに購入してみることに。

「八海山 酒粕」(300g 324円/魚沼新潟物産)

 板状ではなく、すでにペースト状になめらかになっていて、熟成の度合いもわかるように記載されています。ちょうど少し熟成が進んだぐらいの感じ。
 家に戻り、保存容器に入れ、早速使ってみました。なんといっても銘酒「八海山」の酒粕。芳醇な香りがします。

絶品、鮭のかす汁の完成

かす汁

 そうだ、久しぶりにかす汁をつくってみよう、と早速生鮭を購入。みその感覚で入れ、塩味を調えるだけで、滋味あふれるかす汁ができあがりました。素材の味も引き立ち、酒粕のクセはなく、でもみそとは違ったうま味とコク、自然の甘味が体に染み入ります。
 あまりのおいしさに、家人もお替わり、お替わりとあっという間にお鍋がカラに(笑)。夜につくり、翌朝温め直したほうがさらになじんでおいしくなるはずが、まったく残りませんでした。

●アレンジレシピ「鮭と根菜のかす汁」

 大根、ニンジン、ネギ、油揚げ、コンニャクを鮭と同じぐらいの大きさに切るとボリュームが出ます。鮭の代わりにブリやタラ、または豚肉や鶏肉でも合います。仕上げは、万能ネギのかわりにおろしショウガでも。

【材料】つくりやすい分量
生鮭の切り身…2枚
大根…1/3本
ニンジン…1/2本
ネギ…1/2本
コンニャク…1/2枚
油揚げ…1枚
だし汁(濃いめ)…800ml
塩…適量
酒・しょうゆ…各適量
「八海山 酒粕」…大さじ3
万能ネギの小口切り…少々

【つくり方】
①生鮭はひと口大に切って、塩少々をふり、10分おく。ザルにのせ、熱湯を回しかけ、水気をきる。
②大根、ニンジンはいちょう切り、ネギは2㎝長さの小口切り、コンニャクもひと口大にちぎる。油揚げは1.5cm角ぐらいに切る。
③鍋に濃いめのだし汁を入れ、大根、ニンジン、ネギを入れる、煮立ったら、コンニャクと油揚げを加える。
大根とニンジンがやわらかくなったら、①の鮭を入れ、10分ぐらい煮たら、「八海山 酒粕」を溶き入れ、塩としょうゆで味を調える。
④器に盛り、万能ネギを散らす。

混ぜるだけで肉や野菜のうま味がアップ

みそだれ

「八海山 酒粕」はすでにペースト状になっているので、調味料を加えれば、簡単に漬けだれがつくれます。

●アレンジレシピ「味噌かすだれ」

 みそと甘味、塩味をプラスして、かす床の「みそかすだれ」をつくります。肉や野菜を漬けると、うま味がギュッとなり、甘味もプラスされておいしくなるのはもちろん、簡単なのがうれしいところ。ぜひお試しを。半日漬ければOKですが、味が濃くないので、2日ぐらい冷蔵庫でおいても、大丈夫です。

【材料】つくりやすい分量
「八海山 酒粕」…100g
砂糖…大さじ2
みそ…大さじ1
みりん…小さじ2
塩…小さじ1/2

【つくり方】
①耐熱ボウルに材料をすべて入れ、よく混ぜる。
②600Wの電子レンジにラップなしのまま約1分かけ、さらに混ぜたら、冷ましておく。

●アレンジレシピ「鶏のみそかす漬け焼き」

鶏の味噌かす漬け焼き

 鶏肉をみそかす漬けにして焼くだけ。はじめに薄く塩をふり、下味をつけてから漬けるのがコツです。焼くのはグリルでもオーブンでもいいのですが、フラインパンにクッキングペーパーを敷いた上で焼くと、きれいに焼けて、後片づけもラクですよ。冷めてもおいしいので、お弁当のおかずにも。

【材料】つくりやすい分量
鶏モモ肉…1枚
「みそかすだれ」…大さじ2
塩…少々
つけあわせ(野菜のみそかす漬け※下記参照)適量

【つくり方】
①鶏肉は広げて厚さを均一にし、全体に竹串かフォークで穴をあけ、軽く塩をふる。10分ぐらいおいたら、汁気を拭く。
③「みそかすだれ」を両面に塗り、ラップで包み、冷蔵庫で半日以上おく。

味噌粕漬

③「みそかすだれ」をぬぐう。フライパンにクッキングペーパーを敷いた上にので、弱火で両面を色よく焼いて、仲間で火が通ったらできあがり。
④食べやすく切り、器に盛る。好みの野菜とつけあわせる。

●アレンジレシピ「野菜とチーズのみそかすだれ漬け」

野菜とチーズ

 芳醇な香りも酒臭さは少なく、どんどん漬けたくなる万能なたれです。ここではキュウリ、ニンジン、大根を漬けてみました。酒の肴ならそのまま、ご飯の副菜にするなら、好みで、少ししょうゆをかけても。クリームチーズは濃厚な味わいになり、ワインのお供にも。

【材料】つくりやすい分量
ニンジン…縦割り1/2本
大根…3cm厚さの輪切り
キュウリ…2本
塩…少々
クリームチーズ…適量
「みそかすだれ」…適量

【つくり方】
①野菜は洗って水気をよく拭く。大根とニンジンは皮をむく。ニンジンはラップに包み、600Wの電子レンジに40秒かけてからそのまま冷ます。全体に薄く塩をふり、10分おく。
②①とクリームチーズの周りにそれぞれ「みそかすだれ」をつけて、ラップに包む。冷蔵庫で半位置以上おく。

ラップ包み

③野菜は「みそかすだれ」をさっと洗い落し、水気を拭いて、薄切りにして器に盛る。好みでしょうゆを添える。クリームチーズはだれをぬぐうだけでよい。食べやすい大きさにきって、そのままでも、クラッカーにのせてもおいしい。

 ミニトマトとミックスナッツとともに、仕上げに黒コショウをふり、ワインのおとものひと皿に。

ワインのお供

「八海山 酒粕」は想像以上においしく使いやすいものでした。早速家族から、あのかす汁をまた食べたい、とリクエストがあるので、リピ買いに行かなくては!
 甘酒にするなら、酒粕を4倍の水で薄めて温め、塩少々で甘味を引き立てます。おろしショウガ少々を加えるとさらに体が温まります。今回は甘酒をつくる間もなく、使いきってしまいました。

 新潟のおいしいものがいっぱい揃う「表参道・新潟館ネスパス」は、表参道駅から徒歩1分、表参道ヒルズのすぐ裏なので、アクセスも便利。名物の笹だんごも粒あん・こしあんが両方が購入できますよ。

新潟ネスパス

<撮影・文・料理制作/坂口明子>

―【アンテナショップで見つけたご飯のともでおいしいレシピを提案】―

坂口明子さん
編集者、編集プロデューサー、フードコーディネーター。女性のライフスタイル全般(料理、グルメ、旅、ほか)の企画提案から、執筆、スタイリングなどの製作、WEB媒体でのアンテナショップめぐりの連載、企業の商品開発アドバイスなどを行う。長年の料理企画編集者として培った料理の腕は料理家並。おいしいレストランにも詳しい。「ご飯のとも」の識者としてテレビ出演も多数。